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獣人転生 犬獣人は癒しの女神を癒せるか?  作者: 雪
一章 タカンの街

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26話 究極の2択

「魔牙を止めろと言われたのか?」

「はい。止めろと言うか、潰して欲しいと。」

「断れ。」

「え?」

まさかこんなはっきりと言われるとは…


「あの領主め、ユウキと群狼を生贄に捧げるつもりか!」

おれが生贄?

「魔牙は獣人が対処しなければならない…最初の一手はな。」

「最初ってどう言う事です?」


「いきなり人間が動いて獣人を殺せば問題になる。だが、まず獣人が動いて失敗した後ならば尻拭いをしたと言い訳が立つ。男爵はお前と群狼達を最初の生贄にするつもりだ。」

失敗前提で提案されてたって事か…


「成功すればタカンの街の名声になる。失敗してもタカンは犠牲を払ったと王都にいる貴族共に借りを作れる。死ぬのは新人冒険者と炭鉱労働力から抜け出した獣人だけ。しかも厄介な事に奴らは獣王国ではそれななりに人気が出てる。仮に潰せても獣人から恨まれるぞ。」

断るか?

良いように利用されるなんてごめんだ。

しかも、成功しても同族に恨まれるおまけ付き。

でも世界のためを考えるなら、獣人の地位を下げる魔牙を放置する訳にはいかない…


「僕がやらなかったらどうなると思います?」

「王都の騎士団が直接動くだろうな。」

「それってつまり、獣人国とセレーナ王国との関係が悪くなるって事ですよね?」

「まあな。ついでに言うとこの国の獣人の立場も下がってしまうだろうな。本当に厄介な連中だ…」

おいおい、それは困るぞ!


「魔牙って僕1人でどうにかなる相手でしょうか?」

「無理だ…と思う。ユウキなら…と思わなくもないがな。おれをスカウトして来た連中はカジルぐらいに見えたが、魔法使いは強さが分かりにくいんだ。だが連中はおれにビビらなかった。少なくとも、そいつらが信奉してるトップはおれより強いって事だろうな。」

師匠より上かあ、キツいなあ。


「…師匠が手伝ってくれませんか?」

「おれは構わ……ぐっ…う…」

ん?どうしたんだ?

「はぁ…すまん。了承しようとしたら、強制的に動けなくなった。マスターからの命令に違反するようだ。この街の冒険者達の面倒を任されてるからな…」

そういえば師匠はギルドマスターの奴隷だったな。

かなり自由裁量権を持たされてるから、つい忘れてしまうんだけど。


「そうですか…」

「すまん。だがユウキが受ける必要はない。堂々と断れ。その依頼はおれが男爵に話をつけに行く。仲間達がそろそろ帰ってくるんだ。」

それって確か…


「獣王の牙!ですよね!」

たしか、その1人がおれの使ってるガントレットの元の持ち主だったはずだ。

「あぁ、ついでにギルドマスターもな。」

そっちはあんまり会いたくないな。

「マスターはお前に会いたがってるぞ。」

え〜。

「そうですか…」

「マスターをがっかりさせないためにも、きっちり修行をつけておこう。」

「なんか、そのマスターにあったら酷い目に合わされそうな予感がするのでがんばります。」

「はっはっはっ!おれも同じ予感がするよ!」

勝手に期待されて、がっかりされるのも何か癪だしな。



「んじゃあ、まずは魔法。特に獣人と相性の良い身体強化からだな。ユウキ、魔法の基礎、魔力を感じた事はあるか?」

「魔力ですか…正直、全然分からないですね。」

「むぅ。治癒魔法は何度かかけられてるはずだが…」

「たぶん、全部意識を失ってる時ですね…」

おれ、なかなかハードな時間を送ってるなあ。


「お前はなかなかハードな時間を送ってるな。」


《主様は無茶をし過ぎかと。》


最近よく言われるよ…いや前世でも無茶してたから倒れたのかな。


「なら仕方ないな。おれは治癒魔法が使えない。」

「え!諦めるんですか!?」

「もちろん違う。魔力を込めたおれの攻撃を受けるか、魔法を使える魔物の攻撃を受けるか。どっちがいい?」


うわぁ、究極の選択だぞこれ。

反応などいただけたら幸いです。

誤字脱字、気になる点も遠慮なくどうぞ。

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