15話 上級冒険者
サブタイトルをつけるかもしれません。
今後もよろしくお願いします。
教会に着いて、最初は森の木剣に会いに行くことにした。
リーナさんに教会の一室に案内される。
来るまでにすれ違う狼獣人達へ、アーサーさんが指示を出す
「お前ら、動けるメンバーはすぐ礼拝堂へ行くように伝えてくれ。カジルは絶対だ。」
おれを知ってる人には会わずに済んでよかった。
今カジルに会ったら面倒くさい。
コンコンッ
「どうぞー」
「失礼します!」
中には5人。
ベッドの上で胡座をかいてる狼獣人の女の子がニーナさんだろう。
あとはセロンさんと、知らない男女がいる。
パーティのメンバーなんだろうけど、耳を見ると2人ともたぶん人間種じゃない。
もしかしてエルフ?
「ユウキ君!無事だったんだね!!」
「はい!おかげ様で助かりました。」
「君がうちのニーナを助けてくれたんだね。僕も礼を言うよ。」
「私からも礼を言うわ。ありがとう。でも本当に若いのね…っと、アーサーはデカいから、全員はちょっとキツいわ。私達は部屋の外で待ちましょう。」
「そうだな。」
「デカくて悪かったな!」
エルフっぽい2人が出ていった。
「……」
「ニーナ?どうした?」
ニーナがおれを見つめて動かないんだけど…
「…信…ら…な…」
「え?」
「んーん。何でもない。こんなに若いなんて思わなかったの。ありがとう!君は命の恩人だよ!」
何が気になったんだ?
それにしても、おれが誰かの命の恩人かあ…
「そ、そうかな?勝手に群狼から戻る条件を付けちゃって迷惑じゃなかった?」
「迷惑な訳ないよ!あたしは狼獣人だけど、戦闘が苦手でさ、だから採取専門の森の木剣に入ったの。なのに無理やり群狼に入らされて大変だったんだから!」
今は元気そうだけど、カギルもニーナはボロボロだって言ってたな。
「そっか、迷惑じゃなくて良かったよ。それにこっちこそ、最高級のポーションを使わせてしまってごめ…
「そんな事はない!!」
「セ、セロンさん?」
「僕は…大馬鹿者だ!クロススラッシュが君の首に当たりかけた時、僕は止めるべきだった!、奴が狼牙を使うと言った時もだ!!」
そんなに気にしなくても…
「僕は…僕は…ニーナが戻るかもしれないと言う期待で、君を見殺しにしかけた!冒険者失格だ…」
「セロンさん…」
「最初はすぐに止めるつもりだったんだ。決闘を受けたって事実だけ作ればいいと…だけど、君が奴に勝てそうだと思ったら、止められなくなった…最高級のポーションだって死んだら何の意味もないのに…!!」
「…」
「君は命をかけて格上の冒険者と闘った。死にかけてもなおカギルを殴り飛ばした。なのに僕は、安全な位置から致命傷を受けた君を止めただけだ!」
やめてくれ…
覚悟が無かったのはおれも一緒なんだ。
「僕はいつだってそうだ!逃げてばかりだ。闘いから逃げて採取をしてる。群狼から逃げるように君を隠した。群狼にニーナが連れて行かれた時だって…僕は連れ戻そうとしなかった…」
「リーダー…」
アーサーさんがセロンさんの肩を掴んだ。
「そこまでにしとけ、セロン。お前はニーナが連れて行かれてから、それ以上狼獣人達が巻き込まれないように最善を尽くしていた。そうだろ?」
「…だけど、立ち向かえなかった。同じC級冒険者なのに。ユウキ君は1人で立ち向かったのに!」
「はっ、それこそ気にすんな。人間と獣人じゃ考え方が違う。ユウキぐらいの歳の獣人は死ぬような無茶してなんぼなんだよ。特にユウキは無茶なやつだ。比べるなよ。」
「そうだよリーダー。そんな事言ったら、獣人なのに戦闘が苦手なあたしなんてもっと意気地なしだよ?」
「意気地なし…」
「あっ」
ニーナさん!?
「僕は…」
「引退するなんて言うんじゃねえぞっ!!」
うぉっ!
アーサーさんの怒声は怖い。
「っ、だけど…」
「それこそ逃げだろうが!お前、引退の責任をユウキに負わせて去るつもりか?」
「そんなつもりは…!」
「なら続けろ。これからも色んな冒険者を助けてやればいい。……いずれ、おれはイアラを抜いて、この街の獣人冒険者のトップになるつもりだ。」
「!?」
「お前は、マスターを抜かせば既に人間の冒険者のトップだ。ギルドはお前が申請すればすぐにでもB級に上げる準備も出来てる。」
「は?」
「最高級ポーションの素材を集められる冒険者はそうはいない。エルフと獣人を纏められる人格も申し分ない。他の冒険者達からの信頼も厚い。断る理由がない。」
「アーサー、何を言ってるんだ…」
「覚悟を決めろと言っているんだ!B級になれセロン。」
「僕は…」
「おれもすぐに追いつく。」
「ちょっと、考えてさせてくれ…」
「早めの返答を期待してる。」
「あたしはリーダーを応援してるよ!それに、木剣はあたしの居場所。解散なんて言わないでね?」
「え〜っと、2人とも?とりあえず、ここは教会だから静かにしてね?」
あ、リーナさんがちょっと怒ってる。
「お、すまん」
「す、すみません!」
おれとリーナさん、アーサーさんは部屋を後にして、今度は礼拝堂に向かう。
群狼達が待ってる。
「ユウキすまなかったな。良い機会だったんで、セロンを焚き付けるのに利用しちまった。」
「いえ、平気ですよ。僕もセロンさんが引退するなんて嫌ですし。」
「そう言ってもらって助かる。あいつは自分を過小評価してる。ただの臆病者がC級になれる訳ないのによ。」
上級冒険者は、おれが思ってたより凄い人達だった。
カギルもただのチンピラじゃなかった。
大勢の狼獣人達を束ねる覚悟を持ってた。
死ぬ覚悟ではなく、同族だろうと殺す覚悟だったけど。
リーナさんも、アーサーさんも、セロンさんも、皆んなおれを買い被り過ぎだ。
どこかでヘルプさんがいるから、死ぬことはないと思ってたから無茶できた。
実際、助かったのはヘルプさんのおかげだ。
しかも、おれは攻撃で気絶したんじゃない。
ヘルプさんの声を聞いた瞬間、安心して気絶してしまったんだ…
おれの中身はただの平和ボケした地球人だ。
だけど、みんなはそんな事は知らない。
おれが死ぬ覚悟を持って戦ったと思ってる。
おれは、皆んなの期待に応えられるのか…
反応などいただけたら幸いです。
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