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獣人転生  作者: 雪
一章 タカンの街

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16/20

13話 vsカギル

いつもより少し長めです。

ギルドの訓練場に来た。


野次馬が多い。

群狼に依頼を奪われて、やることがない低級の冒険者達が全員ついて来てしまった。


「お前思い出したぞ!この前メルの前でおれに恥をかかせたガキだな?」

ちっ、こいつの周りって狼獣人だらけだし、バレないかと思ったんだけどな…

「だとしたらどうかしました?」


「悪食のユウキとか言われてんだろ?」

そっちもバレてる!

野次馬の前で言うなよ!広まったらどうすんだ!

「さ、さあ。僕は普通のユウキです。」

「しらばっくれてんじゃねえよ!」

しらばっくれさせてくれよ!


「新人のガキが、C級冒険者様に恥をかかせたんだ。群れに入れる前に教育が必要だよなぁ。お前は前線で使い古して、()()()()()()()()に改名させてやるよ」

「これ以上変な名前を付けるな!」

てか、こいつ個人でもC級なのか。


「準備はいいですね?見届け人はこの森の木剣 セロンが行います。」

「よおセロン、お前んとこのニーナも前線で頑張ってくれてるぜ?既にボロ雑巾だけどなあ。」

「貴様!」

どうやら、同族だからって手加減してもらえるとは思わない方が良さそうだな。

その名の通り、ブラックな群れのようだ。


「すまないユウキ君。僕が甘かったかもしれない…君を巻き込んでしまった…」

「いえ、僕が声を出したのが原因ですから。それに、狼獣人の名誉のためにも、いつかは倒そうと思ってたので。」

「そうか…悪いけど致命的な傷を負いそうになったら止めるからね?」

「はい。その時はお願いします。死ぬよりは群狼に入った方がまだマシだと思うので。」

さすがに転生して1週間足らずで死にたくはない。


「それでは、構え!…」

カギルが2振りの長剣を構える。

訓練用に置いてある刃が潰された剣だ。

おれの頑丈な体を傷つけられるかな?


対するおれは無骨なガントレットを嵌めてボクサーの構え。


武器でも、体格でも、リーチは遥かに負けてる。

が、武器の格はこっちの方が上だ。

壊れる心配なく殴れる。


ーーー

「始めぇー!」

ドンっ!

おれは掛け声が終わると同時に踏み込んだ。


角ウサギなら確殺の踏み込みだ。


「ぬっ!」

ガギン!


ちっ、こっちを舐めてる隙につけ込みたかったが防がれた。

さすがは腐ってもC級冒険者。


だが懐には飛び込めたぞ!


間違いない。コイツの防御はアーサーさんの足元にも及ばない。

あの人なら今程度の攻撃、素手で軽く受け止めただろう。

同じC級でもコイツは防御においては格下だ。


「うおぉぉーーーー」

ガガガガガガ!

探索試験でアーサーさんから指導された拳。

とにかく打ち込む。


「クソガキがっ」

この至近距離なら長剣より拳の方が有利だ!

それでも防いでくるあたり、素早さはおれより上だ。

しかも、剣が折れないように注意して受けられてる。

技術でも負けてるな。

距離を取られたら一方的にやられるかも。


「離れろや!」

ブウン!

右手の剣を大きく薙ぎ払ってくる。

だが、この程度の速度なら弾ける!

「スラッシュ!」

ヒュンッ!

「!?」


「がふっ!」


吹っ飛ばされた…

突然、剣速が上がった。

あれが剣技か。


まずい。もう離された。

「なるほど、新人の割には良いラッシュだったな。一匹狼を選ぶ訳だ。」

剣筋がほとんど見えなかった。

あれは今のおれじゃ避けられない。

でも、耐えることはできる。

諦めるような差じゃない!


大したダメージを負わずに相手の初撃を受け止めてられたのはラッキーだ。


「今度はおれから行かせて貰う、ぜ!」

グンッ!

今度はカギルが踏み込んで来る。

ヒュン!ヒュヒュッ!

おれも必死に防ぐ。

ガガガガ!

「クロススラッシュ!」

ザシュッ!

「がっ」

さっきと同じ展開だ。

ここからは耐久だ…

おれは10分間、カギルに斬られ続けた。

「ふぅ…馬鹿みたいな根性だな。何か耐久系のスキルを持ってるな?ボロボロにしないと倒れないか…これじゃ入れても即戦力にならねぇじゃねーか。」

痛ぇ…

普通の剣撃だけなら、拳で7、8割は弾けるし当たっても大したことがない。

だが、合間に挟まれる剣技が厄介だ。ダメージを受けるし、速すぎて避けることもできない。

ダメージ覚悟で近づこうともしてみたが、向こうのほうが速くて近づかなかった。


今のおれのステータスは、

体力 A

攻撃 C−

魔力 D+

防御 B+

精神 B−

素早 C−

耐久に特化してるから、なんとか立ってられる。

 

カギルは攻撃と素早さがおれより上だ。

おそらく攻撃、素早さはA〜Bぐらい。


今はまだ、耐えるしかない…


「再開するぜ?」

またおれは斬られ始めた…

10分後

「ふぅ、はぁ…いい加減に諦めろよ…」

カギルの手がまた止まった。

これで3度目だ。


「…断る。」


攻撃でも素早でも負けてる。

でも耐久はこっちが上だ。


それに途中で気付いた。

カギルが剣技を撃てるのは()()()()だ。


二刀流のくせに、右手でしか剣技を放たない。

一度だけクロススラッシュという技を両手で放った後は、左手を使う技を放たなくなった。


手を抜いているのかと思ったが違う。

カギルの左手は本調子じゃない。

依頼をしくじった時にでも負傷したのだろう。

その後もカギルは離脱せずに依頼をこなしていたようだし、たぶん体力も万全じゃない。


(今のカギルになら勝てる…亀のように守り抜き、体力が尽きたところを畳み掛ければ…)


カギルもそれに気付いたようだ。

途中から剣技の使用が一気に増えた。

それでも完全に守りを固めたおれを抜けない、

すでに息が上がってるカギルでは、アーサーさんの足捌きを真似たおれの後ろは取れない。


野次馬が騒ぎ始めた。

「あの子供、カギルの攻撃を完全に防ぎ始めたぞ?アーサーさんみたいな防御力だな」

「あんなに傷だらけなのに動きが悪くならない。体力もかなり高い!」

「てか、傷の割にほとんど血が出てないような…」

「だが動きは素人だぞ?実はカギルが弱いんじゃないのか?」

「集団戦ばかりで、個人の戦闘勘が鈍ったんだろ?」


群狼の連中も動揺してる。

「またリーダーの手が止まった…」

「リーダーが負けるなんて事は…」

「黙れお前ら!カギルさんがあんな子供に負けるはずがねぇ!」

「もし負けたら群狼は…」


おれの犬耳にも聞こえたのだ、カギルの狼耳にも聞こえただろう。


「クソがぁ!」

しゃにむにかかって来た。


今度はなかなか止まらない。

こっちもキツくなって来た。

だが、カギルの方がキツいはず。

「っ!クロススラッシュ!!」

「ぐッ!」

なに!

苦し紛れか、クロススラッシュを使って来た!

しかも首に受ける所だったぞ!

殺す気か?!


セロンさんがキレた。

「カギル!貴様!今のは危険技だ!反則負けだぞ!」

「う、うるせぇ!偶然入っただけだ!」


あれ?

カギルも青ざめてる?

もしかして本当に偶然首に攻撃が行ったのか?

そういや、首に来たのは左手だったか…


「お、おい。今リーダー、ガキの首を狙って…」

「嘘だ!…カギルさんが同族を手にかけるはずが…」


カギルはどんどん青ざめていく。

もう少しで勝ちが掴めそうなんだ、こんな終わり方はごめんだぞ?

「いえ!今のは僕も偶然だと思います!」

「いいのかい?偶然だったとしても、危険な攻撃だったのは違いないんだよ?」

「大丈夫です!」

「分かった…再開しよう。だが次はないぞ。分かったかカギル!」

「分かってる!!」


再開したが、なぜかカギルが攻めて来ない。


「なあ、もしリーダーが負けたらおれたちどうなんだ?」

「知るかよ!カギルさんが負けるはずねえ!」

「あの子供がリーダーになるのか…?」


群狼が崩壊しかけてる…大丈夫か、これ。



そんな中、カギルが話しかけて来た。

「…おい、聞けガキ。今から…おれは、おれの持ってる一番の必殺技を使う。」

必殺て!殺すなよ!?

「それをお前が受け切ったら、おれは負けを認める。」

「カギルさんッ!?」

「黙っとけ!カジル!」

あの熱い男はカジルって言うのか…


「どんな命令にも従う。だが…群狼を潰さないで欲しい。俺たち狼獣人には強いリーダーと群れの存在が必要なんだ…一匹狼のお前だって分かるだろう?」

いや、ごめん。

転生者のおれには分かんないんだよ…

そもそも犬獣人だし…


何も言えなくて黙っていると、カギルは覚悟を決めたのか、両手の剣を構えた。


「行くぞ」

ちょっと!おれは覚悟決まってないぞ!

なんかリーダーを継ぐ感じになってないか!


「狼牙!」

反応などいただけたら幸いです。

誤字脱字、気になる点も遠慮なくどうぞ。

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