11話 武器
出来立てホヤホヤの冒険者カードを眺めながら、これからの事を考える。
アーサーさんとの魔法の訓練まで1週間ある。
念願の冒険者カードは手に入ったが、依頼をこなすのは明日からだ。
問題は今日!
まだまだ疲れてない!
今まで、警備隊の職質が怖くてまともに街の散策が出来なかった。
寝床はギルドでもいいし、街に繰り出そう。
~~~~~
良い匂いのする屋台、魔法のアイテムのお店、オシャレな服屋、薬屋…色々ある。
その中で、最初に入ったのは無一文の時にチラ見していた武器屋。
他の武器屋が店先に自慢の逸品らしき豪華な武器を並べる一方、そこは飾り立ての無い無骨な武器が並んでいて気に入った。
あと安そう。
ただ店主のおっさんが強面で長居できなかったんだよな…
だが冒険者になった今なら怖くないぞ!
お目当ての短剣はまだあるかな?
お!あるある!…...たっっか!
金貨10枚、約10万円。
おれの所持金はデカ角ウサギ一匹分の銀貨4枚と銅貨5枚、計4500円。
あと20匹狩っても足りない。
さすがに値切れないよなー。
仕方がない。
他に買える武器がないかカウンターの店主に聞いてみる。
「すいません!今日から冒険者になりましたユウキです。狩りで使えるオススメの武器が欲しいんですけど。」
おっさんがでてきた。
「んー。なんだ坊主ずいぶん若いな。本当に冒険者か?」
ふふふ。その反応は予想済みだ。
「まぁまぁそう言わずに。これを見てくださいよ。」
そう言って余裕を持って新品の冒険者カードを見せる。
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ユウキ
G級冒険者
資格 葉っぱのマーク(✴︎)
宝箱のマーク(✴︎)
剣のマーク(✴︎)
日付 ○○○○○
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「ほーー、坊…お前さん、全ての資格持ちか。」
「ええ。これでもC級冒険者のアーサーさんから期待の新人だと言われているんですよ?どうです?新規客として最適ですよ?」
「そ、そうか。アーサーから期待されてるとはな。まぁその若さなら確かに凄い。お前さんの体格だと短剣だな。獣人じゃ弓は使わないだろうし、これなんてどうだ?」
獣人は爪や耳が邪魔になる弓は不人気なのだ。
そう言って見せられたのはさっきまで見ていた短剣。
「あーいいですね…でもちょっとお値段が…」
「予算は?あのアーサーのお気に入りなら多少はまけてやる。」
「銀貨4枚ぐらいでお願いします。」
「そろそろ店を閉める時間か…」
ちょっと!
「じょ冗談ですよ〜。もうちょっと出せます!」
もうちょっと(銅貨5枚)出せるから嘘じゃないぞ。
「うーむ。だが短剣じゃ安くても金貨2〜3枚はするぞ。出せるのか?」
「すこし厳しいです…」
「すべての種類の依頼が出来るんだろ?採取から始めたらどうだ?G級依頼なら武器は使わないで済むだろう。」
「なるほど…でも防具も無いですし、最低でも護身用の武器は欲しいんですけど…」
「仕方ないなー。見捨てて死なれると夢見が悪いしな…ガントレットはどうだ?中古だが頑丈な品でまだ使えるやつがある。返却されたんだが小さくて使い手が見つからなくて溶かすかずっと迷ってるんだ。」
頑丈か…良い言葉だ。
「ちなみに元の持ち主はイアラだぞ」
「?。どなたですか?」
「お前、イアラを知らないのか?!」
やべ、知らなきゃまずいレベルの有名人だったか。
「あーイアラさんねー、ガントレットのー。」
「おいおい、徒手空拳ならこの国で最強の獣人だぞ?去年の闘技大会で優勝してB級冒険者になったんだ。」
「お、おれの師匠はアーサーさんだけなんです!他の冒険者に興味ないんです!」
「その師匠が所属してるB級パーティ 獣王の牙のアタッカーなんだが」
おっとそれは初耳だ。
「このガントレットだって、オークションに出せばイアラのファンが金貨50枚はつけるだろうな。」
ファンまでいる⁈
って、あれ?
「アーサーさんはC級ですよね?B級のパーティなんですか?」
「パーティと個人のランクは別だからな。パーティを組んだらパーティ用の冒険者カードがリーダーに配られるんだよ。」
マジか。
たしかメルさんに絡んでたカギルは「おれ達は」って言ってたよな?
パーティがC級なだけで、アイツ本人は違うのかもな。
「この前C級に上がった黒の群狼なんて、リーダー以外はみんなD級以下だが、数とチームワークで上がってる。逆に獣王の牙はアーサーの奴も含めて全員実力はB級並みだ。ただタンクは功績をたてにくいからアーサーはまだC級になのさ。」
初めて知ったな。
今度、本人に聞いてみようかな。
「そんな凄い人の武器を売っていいんですか?金貨50枚なんて出せないですよ?」
「いいんだよ。さっきも言ったろ?使い手がいないって。おれは使われるために武器を作ってる。欲しいのは買い手じゃなくあくまで使い手だ。お前さんはアーサーに目をかけられてる冒険者なんだろ?それに武器は武器としての価値で売る。このガントレットは金貨1枚でいい。」
「そう言いましたけど、嘘かもしれないですよ?」
「おれはアーサーともイアラとも知り合いだ。この街で2人の名を騙る獣人はいねーよ。」
「いちおう、見せてもらえます?」
鈍い銀色のガントレットは手首までの簡素なもの。
西洋甲冑というより忍者がつけてそうな手甲みたいな感じで、前の持ち主も獣人なだけあって、指が出ていて手を開けば爪も使える。
甲と握ったときの前面部には、肩につけたら世紀末でヒャッハーしそうな棘が付き。
殴られたら痛そうだ。
多少の傷はあるが、ピカピカに磨かれ錆もない。
持つと意外に重い。
片手2キロぐらいか?
まぁ今のステータスならギリ大丈夫そう。
その場でシャドーボクシングしてみる。
「うむ、ちゃんと振れるステータスもあるようだな。使い手としも合格だ。」
狩猟試験でレベル上がってて良かった...
「いいガントレットですね。それで...あの銀貨4枚と銅貨5枚になったりしません?」
「……お前、もしかしてそれが予算上限か?」
「はい…」
「ほんとにちょっとじゃねえか!」
「ごめんなさい!」
「しょうがねーなぁ。このまま倉庫で留守番させるよりはいいか...」
「はい!ありがとうございます!」
「大事にしろよ?」
「は〜い!」
〜ユウキが去った後〜
「ふぅまったく、あんな図々しい新人は初めてだな。アーサーの教育方針はどうなってんだか…ユウキ。覚えておくか。」
〜〜〜
いや〜良い武器を手に入れたな~
買ったばかりのガントレットをつけて、シャドウボクシングをしながら歩く。
また無一文になってしまったので、散策は中止して最後の干し肉を食べて寝ることにする。
明日は初依頼だ、しっかり休もう。
狩りか、採取か、探索か...どれにしようか.....
反応などいただけたら幸いです。
誤字脱字、気になる点も遠慮なくどうぞ。




