9話 レベル1
ーーーside アーサー ーーーー
おれの名前はアーサー。
B級冒険者パーティ 獣王の牙 のタンクをしている。
まだ個人ではC級だが、マスターからはさっさと個人のB級を目指せと言われている。
おそらく、おれをB級にしてギルドマスターの任を押し付けて旅にでも出たいんだろう…
マスターは最強の勇者 獅子獣人バハルのような生活に憧れてるからな。
今はおれの代わりに獣王の牙に入って、緊急依頼をこなしてるはずだ。
ただギルドマスターに任命できるB級以上の昇格には、強さだけじゃダメだ。
任命先のギルドでの他の冒険者やギルド職員からの評価も必要となる。
おかげで最近は、マスターの命令でヒヨッコ冒険者の試験官なんかをやらされている。
評価は上々らしい。
そんなおれだが、とある少年の試験官をする事になった。
採取試験で毒草を食べた変わり者らしい。
ずいぶん食い意地の張った奴だ。
採取は合格しているし、試験が終わったら飯でも奢ってやるか。
〜〜探索試験前〜〜
想像以上の変わり者だった。
まず犬獣人だ!それも見た事もない黒色!!
犬獣人は総じて小柄で大人しく、人懐っこい。
採取や探索ならともかく、狩猟まで受ける気らしい…大丈夫なのか?
犬獣人らしく見た目は10歳ぐらいで幼いが、敬語はしっかりしていて逆の意味で16歳と思えない。
どこかの貴族に飼われていたんだろう。
〜〜探索試験後〜〜
おれは犬獣人をみくびっていた。
まさか噛みついて来るとは。
久々に魔獣以外の相手に血を流した。
ユウキと言う名前、覚えておこう。
動きは拙いが、根性はある。ステータスも16才にしては高めだ。
レベルは20〜25ぐらいだろう。
まだ伸びるはず。
動きは素人なところを見るに、貴族のもとでパワーレベリングを受けていたのかもな。
貴族は家族や高価な奴隷に《自動防御》を覚えさせるというのも聞いた事がある。
無一文だと言っていたし、飼われていた貴族が没落して手放されたんだろう。
犬獣人やエルフは人攫いに狙われやすいから、身を守る手段を教えてやるか。
ちょうど魔法に興味があると言っているし、ついでに教える事にする。
〜〜狩猟試験後〜〜
狩猟試験はスムーズに終わった。
最初はビクついていたが演技だったのかと思ったほどだ。
犬獣人の毛色は、ピンク、水色、オレンジ、虹色などの目立つ色が多く全く狩猟に向かない。
癒しの女神様が、自分が癒されるために創造したと言われる理由の1つだ。
これまで犬獣人の狩りの姿など見た事がなかったが、嗅覚も聴覚も問題なかった。
案外犬獣人は狩猟に向いているのかもしれない。
あの毛色がなければだが。
問題はその後だった。
角ウサギを狩ってレベルが上がったと言ったのだ。
角ウサギは弱く、もらえる経験値も少量だ。
ちょうど上がる手前だったのかと思ったがそうじゃなかった。
ユウキのレベルは1だったのだ。
ステータスの上昇はレベル帯によって異なる。
15〜25レベルあたりで上昇値がピークを迎え、おれのように50を超えてくるとほとんど上がらなくなる。
ユウキは初めから25相当。
ここからどこまで伸びるのか…
念の為マスターには報告しておこう。
反応いただけたら幸いです。
誤字脱字、気になる点も遠慮なくどうぞ。




