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GAME3 遊園地


 デスゲーム『FATAL NUMBER GAME』の開幕を宣言すると、GMゲームマスターの『ハート』はいつの間にか姿を消していた。


 あとに残ったのはプレイヤー10名だけ。


(始まってしまったか。……一応ルールを再確認しておくか)


 警察官、高橋は支給された端末からルールの項目をタッチして表示する。




【FATAL NUMBER GAME】【ルール】




【プレイヤー数は10名】


【プレイヤーはそれぞれ『運命の数フェイタルナンバー』を持つ。『運命の数フェイタルナンバー』は被りの無い連続した数である】




【プレイヤーは他のプレイヤーと対面している場合に端末から『アタック』『コール』二つのアクションを取ることが出来る】


【『アタック』は対峙しているプレイヤー同士の『運命の数フェイタルナンバー』の大小を比べて、小さい数字のプレイヤーが死亡する】


【『コール』は相手の『運命の数フェイタルナンバー』を推測して宣言する。当たった場合相手プレイヤーは死亡。外した場合はコールしたプレイヤーが死亡する】




【ゲーム開始から一週間過ぎるか、生存プレイヤーが1名になった時点でゲームクリア。クリアしたプレイヤーは元の生活に帰ることが出来る】




【『アタック』において例外として最大の数は最小の数に負ける】


【『アタック』による勝負結果、負けたプレイヤーの『運命の数フェイタルナンバー』は全体に公表される】


【『コール』による結果は公表されない】




【ゲーム会場は遊園地全域。脱出行為を禁ずる】


【プレイヤー同士の暴力行為を禁ずる】


【端末のステータス画面を他のプレイヤーに見せることを禁ずる】


【禁止事項に違反した場合そのプレイヤーは死亡する】


【ルールが変更・追加されることは無い】




(こんな人の命を弄ぶようなゲームに加担したくはないが……この首輪で命を握られている以上仕方ない。ルールに則って全員生存しての一週間経過、これを目指すしかないだろう)


 高橋は自身の目標を確認していると。




「改めてになりますが、私は総理大臣の加藤律です。よろしくお願いします」


 加藤がGMゲームマスターが去ってから保たれていた静寂を破っていく。


「一国の長、もちろん知っているけれど、どうして自己紹介を……?」

「どうやら一週間共に過ごす仲間になるようですから」


 デスゲーム、殺し合えと言われている状況でこの歩み寄る姿勢を率先として見せていく加藤。


「その通りだ! 俺たちはあの訳分からない着ぐるみに誘拐された被害者だ! 一致団結していこうではないか!」


 その意図を汲み取って高橋も同調する。


「……それもそうね。私はさっき質問したときに開示したけれど中村澪、教師を勤めているわ。それで一つ提案なんだけど、とりあえず現状を把握する意味でもゲーム会場のこの遊園地をみんなで回ってみないかしら?」






 プレイヤー10名は女教師、中村の提案に従うことにした。

 GMゲームマスターから支給された端末からこの遊園地の地図を表示することは出来たが、それでも実際に見て回った方が色々と分かることもあるだろう。

 というわけで目が覚めたときからずっといた屋外ステージ会場を出るとまず目についたのはメリーゴーラウンドだった。


「本当に遊園地なんですね……みんながいたら喜んだだろうな……」

「みんな?」

「あ、すいません。私、保育士をしている佐藤陽葵っていいます」


 高橋に対して、優しげな女性が名乗る。


「そうだったか」

「どうやら遊具も普通に動いているみたいですね。でも一体誰が……って」

「あのロボットか」


 乗り場の入り口の前に立っているのはルール説明のときに端末を渡してくれたスペード型のロボットだった。

『乗リマスカ?』

「いや、遠慮しておこう」


 ハートの合成音声とは違った抑揚もない平坦な機械音声で問われるが、当然遊ぶつもりはないので断る。






 メリーゴーラウンドを離れて歩を進めていくプレイヤーたち。ジェットコースター、コーヒーカップ、フリーフォールと数々の遊具を通り過ぎていく。

 どの遊具にもダイヤ、スペード、クラブ型のロボットたちが受付として立っていた。


(全て稼働中の遊具に控えているロボット。なのに人間は俺たち10名しかいない。……わざわざこんなデスゲームのために貸し切ったのか、造ったのか……どちらにしろ途方もない規模だ)




「ロボットが運営している私たちしかいない遊園地。何か不思議な雰囲気じゃないの」


 呟くのはプレイヤーの一人、女性の作家、伊藤凛。


「それにしても広すぎるな。普通の遊園地くらいの広さはありそうだ」


 現在プレイヤーたちはとりあえず遊園地の端を目指そうと一つの方向にずっと進んでいるが、それでも辿り着かない。

 その広さに男性のフリーター、鈴木碧は項垂れている。


(誘拐して人知れぬ狭い場所に閉じ込めるならともかく、ここまで開けた広い場所に連れてくるとは。普通に考えれば捜索の手に見つかるはずではあるが……やはりこれは普通の事態ではないということなのか……?)




 それからまたしばらくしてプレイヤーたちは遊園地の敷地の端に辿り着いた。

 しかし。


「少し前から見えていたが……どうやらかなり高い壁だな」


 そびえ立つ壁はとてもじゃないが登ったりは出来ない高さだ。見上げ続けていると首が痛くなる。ルールで脱走は禁じられているが、そうでなくてもこの壁から脱出するのは無理だろう。




「どうやら見渡す限りこの壁で遊園地は囲まれているようですね。……ふむ、少なくとも私の知る限りこのような壁で囲まれた遊園地などこの日本にはなかったはずですが」


 総理大臣、加藤が壁を見上げながら左右を見回す。


「そうですね。こんな壁に囲まれた遊園地、物々しい過ぎますよ」


 外の様子が一切窺えないということは、逆に外からも中の様子が全く分からないはずだ。外から見ればただの壁に見えるわけで、そんな遊園地には畏怖しか感じられないだろう。


「外の様子が分かれば良かったんだが……」

「高いところからなら壁の外が見えるかもしれないわね」

「何か案が?」

「ここに来るまでに観覧車があったわ。あれに乗ればもしかしたら外が見えるかも」

「……確かに。一度乗ってみる価値はありそうですね」


 女教師、中村の提案に総理大臣、加藤が頷いた。




 そういうわけでプレイヤーたちは来た道を少し戻って観覧車にまでやって来た。

 乗り口の前に立っているクラブ型のロボットに乗りたい旨を伝えると『ドウゾ、オ乗リクダサイ』と勧められる。どうやらお金やらチケットやらも必要ないらしい、フリーパスだ。

 というわけで観覧車に乗り込もうとしたのだが、そこで問題が発生した。


「アタシがアンタみたいなデブと一緒に乗るわけないでしょ!」

「何ですとっ!?」


 言い争っているのはキャバ嬢、渡辺結愛とプログラマー、田中暖。


 事態の理由は観覧車のゴンドラが狭く二人乗りとなっていることだった。10人一緒に乗ることが出来ず分けないと乗れないのだが、そこで田中が一緒に乗らないかと誘ったところ手厳しく渡辺に反対されているというわけだった。


「目線がキモいのよ。胸元ばっか見てるでしょ」

「い、いや、そ、そんなところ見てるわけないじゃないですかぁ」

「アンタと乗るくらいなら……ねえ一緒に乗らなーい?」


 猫撫で声を出しながら渡辺が向かった先は。




「ほう。俺を誘うとは見る目があるじゃねえか」


 ヤクザの若頭、小林颯真。


 これまでの道中の自己紹介で。

『隠しても仕方ねえし、そっちも知ってそうだから明かしておく。ヤクザの小林颯真だ』

 と既に名乗っている。


 警察官、高橋はどこかで見たことがあるとどこか引っかかりをおぼえてはいたが、その自己紹介で思い出した。

(過激派なヤクザの中でも近頃頭角を現してきていた小林。武闘派で要注意人物だと署内でも情報が回ってきてたな。デスゲームのルールで暴力禁止なのは助かった。……しかし彼のような人物も誘拐出来たとはな)

 とヤクザとGMゲームマスターどちらにも警戒を強めている。




「あなたがこの中だと一番強そうだし。ねえアタシのこと守ってくれない?」

「くくっ、弁えてる女性は好きだぜ」


 渡辺は媚び媚びな声で小林の腕に抱きつきながら二人で観覧車に乗り込んでいく。




「加藤総理大臣、ご一緒してもいいでしょうか?」

「中村さんでしたか。私は妻のいる身です。誘われてもそう頷くわけには……」

「そういうつもりではありません。少し聞きたいことがあるのです」

「……ふむ、そうでしたか。こんな非常事態につまらないことを考えてたのは私の方のようですね。いいでしょう、ご一緒します」


 女教師中村と総理大臣加藤の二人も続く。




「わ、私はちょっと遠慮しようかな」

「乗らないんですか?」


 保育士の佐藤がおずおずと言い出したところに、フリーターの鈴木が聞く。


「その、高所恐怖症でして……」

「観覧車、駄目なんですか?」

「……あ、馬鹿にしてますね? 観覧車って速度遅いから高いところにいる時間長いですし、風で揺れたりして結構恐怖なんですよ!!」

「あーすいません。無神経なことを言って」

「別に全員が乗る必要は無いですよね?」

「……それもそうですね。だったら僕も残りますよ」

「え? 鈴木さんも高所恐怖症だったりするんですか?」

「そうじゃありません。みんなが乗ったら佐藤さん一人だけ地上に残ることになるじゃないですか」

「……という言い訳で本当は高所恐怖症だったり」

「やっぱり乗ることにします」

「あ、嘘です嘘です!! 一人になるの心細いですしお願いします、残ってください!!」


 というわけで鈴木と佐藤は地上に残ることに。




「さて、俺も乗るかな」


 警察官、高橋は一人観覧車に乗り込む。

 別に最大二人乗りというだけで二人で乗らないといけないわけではない。高所からの偵察をしたいだけのことに二人も必要ない。


「っと、アタイも邪魔するぜ」


 のだが女性格闘家、山本紬が高橋の乗るゴンドラに乗り込んできた。


「な、なんだね君は!?」


 いきなりのことに驚く高橋だが、すでにロボットによって扉が閉められていて追い出すことも出来ない。


「いやあちょっと話したいことがあってさ」


 強引に乗り込んだことを特に何とも思っていない山本はマイペースに話し始める。






「ってことは残ったのは二人……」

「私は一人で乗るから。乗り込んでくるんじゃないよ、デブ」

「何ですと!!?」


 女性作家、伊藤凛は一人で観覧車に乗り込み、置いてかれたプログラマー田中暖はしょぼんと落ち込みながら一人観覧車に乗り込むのだった。

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