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GAME24 3人

 FATAL NUMBER GAME最終日。

 午前10時、ゲーム決着まであと2時間。


 フリーターの鈴木と保育士の佐藤の二人はゲーム開始時に目覚めた屋外ステージ会場にいた。


 現在の生き残りは3名。

 その最後のプレイヤーにこの場に呼び出されたからだ。




「お二人揃って来ていただけたようで何よりです」


 総理大臣の加藤はステージ中央に立って二人を出迎える。




「目立ちたがり屋だな」

「総理大臣たるもの、時にはパフォーマンスも重要でしてね」


「……あとの二人はどうしたんですか?」


 鈴木と加藤のやりとりに割って入るのは佐藤だ。




「二人? ああヤクザの小林君と作家の伊藤さんですか。GMゲームマスターによると死んだらしいですが……そこの殺人鬼が殺したんじゃ無いですか?」

「違います! 鈴木さんは殺していないって話してくれました!!」

「もう既に二人も殺した殺人鬼ですよ。そんな彼の話を…………どうやら信じているようですね。いやはやこんな環境でよくもそんなに信じられますね」


 佐藤の目に宿る意志の強さに加藤は感心する。


(佐藤さんが人を殺すはずがなく、僕自身も二人は殺していない。つまり目の前の加藤が二人を殺したはずだが……)




「まあゲーム終了まで時間もありません。回りくどい話は抜きにしましょうか。……といっても本当に伊藤さんは殺していないんです。どうやらGMゲームマスターに話を聞いたところ……彼女は餓死したそうです」

「餓死……?」


 一体どういうことだ? 食堂にいけばいくらでも食料が出るはずなのに……餓死?


「推測でしかありませんが、食堂に行って他のプレイヤーと出会ったら殺されるかもしれない……ということで自分のコテージに引きこもっていたんじゃないでしょうか?」

「……なるほどな」

「そしてヤクザの小林君は私が殺しました。ちょっと絡んできてうるさかったのでね」

「……やっぱりか。アナウンスは鳴っていない。『アタック』じゃなくて『コール』で殺したんだな」


 数字の大小を比べる『アタック』ではなく相手の数字を当てる『コール』。

 ヤクザの小林は血の気が多い男だったが馬鹿では無さそうだった。自身の数字をバラすようなことはしないはず。

 つまり。


「ええ、お察しの通り。私は『運命の数フェイタルナンバー』の法則を見抜いています」

「……ヤクザの小林がこれまでに殺した人数は8人。つまり『運命の数フェイタルナンバー』も『8』だったと」

「立場上様々な情報を耳にしていますのでね。それにしてもあなたまで人数を知っているとは……探偵の姉さんの調べでしょうか。…………静香さんは本当に優秀でしたね」




 静香。その名前は……。


「おまえが……軽々しく姉さんの名前を呼ぶな!!」


 鈴木静香。僕の姉の名前だ。




「加藤さんと鈴木さんのお姉さんは面識があるんですか……?」

「いえ、それだけではないですよ。僕の姉が死ぬ直前…………探偵として調べていたのは、当時与党で頭角を現してきていた加藤律……その人ですから」

「それは……」

「もっともその調査は最後まで行われることなく、姉さんは非業の死を遂げたのですが」


 だから加藤の悪人ノートの記述は途中で途切れている。




「静香さんは本当に優秀な方でした。部下に欲しくなり勧誘もしましたねえ。しかし彼女はいっぱしの正義感を持って国家のために必要だった犠牲の詳細を暴こうとしていました。そんなことされたら国家の安寧が揺らいでしまいます。

 なので死んでもらうことにしたんですが……どうやら部下は失態したらしく殺し損ねたんです。

 ただ虫の息だった彼女に……どうやら誰かがトドメを刺したようで手間が省けました」


「こいつ……!」


「私はこれまでに国家の犠牲とした人数を覚えています。『運命の数フェイタルナンバー』を見て、すぐにその法則に気付いたのもそのためです。

 そう、その犠牲に応えるためにも私はこんなところで死ぬわけにはいかないのです」


 端末を取り出した加藤に対して。


「おまえが死にたくないのはデカい権力手に入れて好き勝手するのが楽しいだけだろう」


 鈴木も端末を取り出す。




 端末を持ち合った両者。即座に『アタック』もしくは『コール』を行える状態。つまりは一触即発だ。


「……鈴木君、あなたは優秀な姉に比べて凡庸な弟です。正直あなた自身の情報はあまり知りません。

 しかし総理大臣の私が知らないということは取るに足らない一般人ということ。人死にそう関われたはずもない。自身の姉を殺した1回のみでしょう。

 つまりあなたの『運命の数フェイタルナンバー』も『1』ですね?」


「そこまで分かってるなら『アタック』でも『コール』でも行えばいいじゃないか」


「……ですが確定ではない。もしかしたら『1』じゃないかもしれない。そういう無用なリスクを取るのは避けるべきです。……ですからどうぞ、アクションを取ってください」


「僕が間違うことを待つというのか?」


「ええ。そちらの方が可能性が高そうですので」


 加藤は余裕の表情だ。




 鈴木が考え込んでいると佐藤が話しかけてきた。


「鈴木さん……もう止めましょうよ。あと少しでゲーム終了ですよ、無事帰れるんです。もう誰かを殺したりする必要なんてないじゃないですか!」


「……殺す必要なら最初からありませんでしたよ」


「え?」


「僕が身勝手な復讐を始めなければ……警察官の高橋さんを中心にみんなまとまって生活して、全員で今日を迎えられたはずです。でも僕がその平穏をぶち壊した」


「だとしても今止まらない理由にはなりません! 自暴自棄になって罪を重ねる必要はありません!」


 佐藤の言うことはもっともだ。




(まあ僕が殺すのを止めたところであちらが殺すのを止めるかどうか……。

 ……いや、それも別の話だな。

 僕が考えないといけないのはこの復讐劇をどのように終わらせるべきか)




 鈴木は……とある決断をして。


「佐藤さん。―――――――」

「……え?」


 佐藤にとある言葉を伝えた。




「本当若いですねえ。しかしそれ以上ドラマを見るのも退屈ですよ」

「ああ、さっさと終わらせようか」


 鈴木は加藤の方に向き直って。




『コールが実行されました。対象のプレイヤーの『運命の数フェイタルナンバー』を宣言してください』




 端末が操作されて電子音が鳴り始めた。


「やはり『コール』ですか。いちかばちかの『アタック』にも賭けられないほどの低いナンバー。やはり『1』なんですね?」


「ああ、そうだよ。そして――」


 鈴木は加藤に向けて宣言する。






「総理大臣加藤、おまえの『運命の数フェイタルナンバー』は『4』だ」


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