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GAME2 ルール


 舞台は無人の遊園地。

 集められたプレイヤーは10人。その全員に生殺与奪の権利を握っているとばかりに首輪が付けられている。

 GMゲームマスターは冷酷なのにそのシルエットはハート型というちぐはぐさを抱える着ぐるみ『ハート』。




 その『ハート』によってデスゲーム『FATAL NUMBER GAME』の説明が始まる。




『まずはプレイヤーの一人一人にゲームで使用する端末を配る』


 ステージ上で機械の合成音声で喋るハートがそのように言うと、プレイヤーたちの前にぞろぞろと小型のロボットが現れた。


「何だこのロボット……」

「形がスペードとクラブとダイヤ……トランプか?」

「この端末を取ればいいのね」


 プレイヤーはそれぞれの前に止まったロボットから端末を受け取る。


(手帳サイズで片面が液晶パネル……まんまスマホのようだな)


 警察官、高橋も同様に受け取った。




『その端末はゲームの進行に不可欠な命同等に大切なものだ。紛失、破損などしないように気を付けるんだな。

 側面のボタンから起動、そしてステータス画面を表示しろ』


 ハートの言う通りに端末を操作すると。




〈プレイヤー名 高橋 陽翔はると

〈職業 警察官〉

〈『運命の数フェイタルナンバー』 2 〉




 と表紙される。


(項目が3つ。一番大事なのはこの『運命の数フェイタルナンバー』とやらだろう。これからの命がけのゲームの名前も『FATAL NUMBER GAME』と言っていたのだから)




『さて最初のルールといこう』


 ハートが言うとステージの背後のモニターの電源が入りルールが表示された。



【プレイヤー数は10名】

【プレイヤーはそれぞれ『運命の数フェイタルナンバー』を持つ。『運命の数フェイタルナンバー』は被りの無い連続した数である】



『プレイヤーはここにいる10名。そして被りの無い連続した数とは1から10という感じだな』


 ハートの説明。


(1から10……その内の2のようだが、これはただの識別番号なのか? それとも大きい方が良い、悪いなどあるのだろうか……?)


「え……でもこの数字って……」

『おっと自分の『運命の数フェイタルナンバー』は公言しない方がいい。何せ文字通り運命を司る数だからな』


 プレイヤーの一人、優しげな女性が口を開いたところハートが制する。続けてモニターの表示が切り替わった。




【プレイヤーは他のプレイヤーと対面している場合に端末から『アタック』『コール』二つのアクションを取ることが出来る】


【『アタック』は対峙しているプレイヤー同士の『運命の数フェイタルナンバー』の大小を比べて、小さい数字のプレイヤーが死亡する】


【『コール』は相手の『運命の数フェイタルナンバー』を推測して宣言する。当たった場合相手プレイヤーは死亡。外した場合はコールしたプレイヤーが死亡する】




「っ……!」


 表示されたルール、そこに含まれる『死亡』の文字に高橋は息を呑む。


「つまり……どういうことだ?」

「僕らに与えられた『運命の数フェイタルナンバー』の大小を比べたり、推測したりで殺し合うってことですか」

「まるで児戯のようなものに命を賭けさせるってことなのね」


 他のプレイヤーたちもそれぞれで理解を進めていく。




 そしてモニターの表示が切り替わる。




【ゲーム開始から一週間過ぎるか、生存プレイヤーが1名になった時点でゲームクリア。クリアしたプレイヤーは元の生活に帰ることが出来る】




『一週間生き抜くか、はたまた他のプレイヤーを殺しまくって一人になるか。好きな方を選ぶんだな』


 ハートは煽るように言うが、そのルールは高橋にとって朗報だった。


(殺し合いのゲーム、と言っていたが、どうやら一週間耐えさえすれば殺す必要が無いようだな)


 正義感を持って警察官になった高橋にとってもちろん殺すなんて選択肢はない。 




『大筋はここまで。あとは補則だ』


【『アタック』において例外として最大の数は最小の数に負ける】

【『アタック』による勝負結果、負けたプレイヤーの『運命の数フェイタルナンバー』は全体に公表される】


【『コール』による結果は公表されない】


【ゲーム会場は遊園地全域。脱出行為を禁ずる】

【プレイヤー同士の暴力行為を禁ずる】

【端末のステータス画面を他のプレイヤーに見せることを禁ずる】

【禁止事項に違反した場合そのプレイヤーは死亡する】

【ルールが追加・変更されることは無い】


 一気に表示されるルールの補則。




「ちょ、ちょっと。一気に多いんだけど!?」

『心配しなくとも端末からルールはいつでも閲覧出来る。端末は他にも遊園地全域の地図の表示や他のプレイヤーとの通話などの機能も備えている。

 『アタック』『コール』も端末から行うし、ステータス画面を他のプレイヤーに見られても死ぬ。大事にするんだな』




「……ルールはこれで全てなのですかね?」


 総理大臣、加藤が問う。


『ああ』

「ふむ君たちの目的を考えると足りないように思えますが……」

『オレ様としてももっと刺激的な方が好みだがルールは絶対だ』

「その言い分だと君がルールを考えていないようですね。……なら一体誰が考えたのでしょうか?」

『ノーコメントだ。とにかくオレ様ではなくルールが絶対である、それだけだ』


 煙に巻くハート。


(足りないルール……? 加藤総理大臣には何が見えているのだろうか?)




「私からも質問良いかしら?」


 怜悧な雰囲気の女性が手を挙げる。


『何だ?』

「この端末のステータスに私の名前『中村澪』と職業『教師』であることが記されていた。さっき名乗っていたそこの警察官さんや誰でも名前を知っている総理大臣と違って、ただの高校教師な私の名前が事前に分かる訳がない。

 つまり……ここにいるプレイヤーは無作為ではなくて、狙ってこのゲームに招かれたという認識で良いかしら?」

『……その通りだ。このゲームはこのプレイヤー10人だからこそ成立するもの』

「どういう意味かしら?」

『ルールとは別にこのゲームの隠された意図や法則について考察するのも良いだろうな』

「……なるほど説明するつもりは無いということね」


 女教師、中村は不服そうに頷く。




(無作為じゃ無くて……選ばれた……? だったらどうして俺は選ばれた……? 警察官であるのにわざわざ……いやそんなこと歯牙にもかけていないってことか)


 自身の力の無さを改めて突きつけられる。




『質問はもう無いようだな。

 では『FATAL NUMBER GAME』の開幕を宣言する。

 一週間後、はたまたそれより早くゲームクリアを成す者が現れるか。

 GMゲームマスターのオレ様『ハート』が見守らせてもらう。ハートボイルドにな』


 『ハート』はそのように開幕を宣言するのだった。


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