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GAME17 遊び


 ペットの連続不審死事件。


 道に撒かれていた毒入りの餌を食べたことによる中毒死、飼い主のいないところで殴殺、火を付けられて焼殺…………様々な方法による悪意がかよわいペットに振るわれた。

 問題だったのがそれぞれのケースに関連が無かったこと。


 対象のペットも犬、ネコ、ねずみ、は虫類など関連が無く、使われた方法も様々。犯行が行われた場所もバラバラ。

 分かることは犯人が残虐であるということだけ。

 ある時を境にパタリと事件は収まったが、犯人はついぞ特定が出来ないまま年月が経ち風化していった。


 しかし、姉はどうやら推理で犯人の目星を付けていたらしい。






「あはは、回すぞ、回すぞ!」


 その容疑者というのが目の前にいる保育士、佐藤陽葵。


「ちょ、ちょっと早すぎますよ!」


 フリーターの鈴木は一緒に乗っているコーヒーカップを思いっきり回転させられて目を回す。




 ゲーム三日目の朝、玄関の前で待ち構えていた佐藤による遊びの誘いに鈴木は乗ることにした。

 そもそも佐藤は悪人であり、わざわざこのデスゲーム最中に遊びに誘うなんて罠でしかない。

 断ろうかとも思ったが、それでは佐藤の意図も分からないままだし、逆にこちらから探りを入れるチャンスだとも思って誘いに乗ることにした。


 そういうわけで朝からゲーム会場である遊園地の様々な遊具で二人で遊んでいる。

 朝から遊び始めて、現在は昼過ぎ。


「次は何に乗ろっか!」


 今のところ佐藤は純粋に楽しんでいる様子しか見せない。




「………………」


 本当にどういうつもりなんだ……?

 まるで遊園地デートのような雰囲気だ。その実態はかたや悪人、かたや殺人鬼なのだが。

 長時間接している内に鈴木は佐藤に対してある結論を持たざるを得なかった。


 保育士、佐藤に裏の意図はなく、その振る舞いは善人そのものである、と。


 ……いや、そんなはずはない。

 ちゃんと悪人ノートに名前が書かれていたんだぞ。あの警察官や女格闘家に対する記述は合っていたのに……保育士だけ外す?

 姉さんに限ってあり得るわけがない。


 うーん……自分が信じられなくなってくる。悪人ノートの実物があれば自信が持てるんだけど……。


 鈴木は悪人ノートを隅々まで読み込んでいる。それによって大部分を暗記しているが、完璧に暗記しているわけではない。

 このゲームに連れされられたときに他のプレイヤーと同様に自身の所有物は何も持っていなかった。悪人ノートも現在自宅の引き出しに眠っているだろう。


 いや、でもゲーム開始してすぐ、佐藤に探りを入れた時点で住んでいた場所や四人家族であることなど記憶にある情報と一致していた。

 やはり目の前にいる佐藤は、ペット連続不審死事件の容疑者の佐藤で間違いない。






「どうしたんですか、鈴木さん。そんな渋面で……」


 考え込んでいるところに顔をのぞき込んで話しかけられる。

 その様子は本当に僕を心配しているかのようで…………。


 ……ああもう迷うな。ちゃんと悪人ノートにあったんだ。善人なはずがない。僕みたいに演技しているだけだろう。

 それにどうせもう止まれないんだ。

 悪人は全員殺す。

 だから。




「すいません次に乗る物についてちょっと悩んでいて」

「お、何か乗りたいのあるの!?」


 ここまで遊ぶことに消極的で、ほぼ佐藤に振り回されている状態だった鈴木が、自分から乗り気になったことで佐藤は嬉しそうにするが。


「ええ……それが観覧車なんですけど……」

「えっ!?」


 その言葉を聞いて佐藤の動きが止まる。


 佐藤は高所恐怖症だ。だからゲーム一日目、会場を上空から眺める流れになったときにも乗らなかった。

 今日もここまで高所に行くような遊具には乗っていない。


「一日目に乗れなかったから気になっていて……でも佐藤さん高所恐怖症ですよね? だから一人で乗ってきて…………いやこんな二人で遊んでいるときにそれはちょっと違いますね。やっぱ大丈夫です」


 乗りたいけどやっぱ辞めておくと意見を翻す。

 これまでの佐藤の性格からしてこう言えば……。


「そんな簡単に諦めないでください! せっかく鈴木さんも楽しもうって気分になってきたんですから!」

「でも……」

「…………分かりました。私も観覧車に乗ります! 一緒に乗りましょう!」

「え!? そんな無理しなくて良いんですよ!?」

「いえ、大丈夫です! 別に私の高所恐怖症はちゃんとした病気とかじゃなくてただ単に怖いってだけですから。

 ……はい、大丈夫です。大丈夫、そんな落ちたりとかするはずもないし…………」


 自分に言い聞かせるように呟く佐藤。 


 本当に思った通りに動いてくれるな。ここまで善人の演技を崩さないとは。

 それにしても何となく察していたが、佐藤はどうやら遊びを通して僕を元気付けたいようだ。

 ……元気付ける? 僕は落ち込んだつもりもないし、そもそもそんなことをして佐藤の何になるというか?




「よし、じゃあ乗りましょうか」

「は、はい!!」


 二人して移動してやって来たのは観覧車。スペードのロボットの案内に従って狭いゴンドラに二人で乗る。


 ……まあいい、全てはこの観覧車で勝負だ。

 佐藤の意図を暴き、そして『運命の数フェイタルナンバー』も探ってみせる。


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