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GAME13 二度目の『コール』


『ああ、期待してくれていいよ。これから僕は女格闘家の山本…………君を殺すから』


 無害な羊から有害な狼へと雰囲気を一変させたフリーターの鈴木による宣告。




「何だあ? やる気か?」


 女格闘家、山本も応じて姿勢を低くして臨戦態勢に入る。


 へっ、さっきまでの姿はやっぱり擬態だったか。こいつがあいつを、警察官の高橋を殺した。絶対に仇を取ってやる……!!




 そんな闘志バチバチの山本を見た鈴木は呆れる。


「……はぁ、さっきの話をもう忘れたのか? ここでは『暴力禁止』がルールだって」

「も、もちろん覚えてやらあ!!」


 正直なところちょっと忘れていた山本。


「つまり君を殺すのもルールに則ってだ。流石に君も覚えているだろう、自分の『運命の数フェイタルナンバー』を」

「ふぇいたるなんばー? ……ああ、あれか」


 慣れない単語を復唱するが、山本も流石に覚えていた。

 なーんか妙にこの数字は頭に残ったんだよな。


「一応聞くけど君のナンバーは何?」

「アタイのナンバーは…………って教えるわけねえだろ!」


 このナンバーがバレたら死ぬ。細かいルールは分かっていないがそれだけは覚えていた。だからこそ自身のナンバーを公開した警察官の高橋がかっこよく見えたものだ。




「ちぇっ、残念。口を滑らせてくれればそれで終わりだったのに」

「つうか威勢の良いこと言った割にごちゃごちゃ抜かしやがるな」


「これが正しいゲームの攻略法だよ。相手のナンバーを探って殺す。果たして君のナンバーは1なのかな? 2なのかな? 3なのかな? 4なのかな? 5――――」


「だぁっもうまどろっこしい!!」


 ニヤニヤとしながらだらだらと喋る鈴木に苛立った山本が吠えるが。




「そうか、そうか。よく分かったよ。GMゲームマスター『ハート』に宣言する。『コール』だ」


 淡々と鈴木は『ハート』に対してそのように言った。


『………………』


 『ハート』は黙ったままだ。




「『コール』だあ? ええと……」

「『コール』はプレイヤーが取れるアクションの一つ。対峙している相手プレイヤーの『運命の数フェイタルナンバー』を当てればその相手が死亡。外せば自分が死亡する」


 鈴木が説明する。


「ああ、そんなんだったか。……つまり」

「これで僕か君が死ぬしか無いってことだね」

「……そんなのおまえが死ぬ結末しかねえだろ。アタイの数字が分かるわけねえ」

「だから探ったんだろう? さっき僕が1から順に推測したときに、君は耐えきれなくなったように吠えて僕の話を打ち切った。これは無意識に現れた防御反応によるものだ」

「…………は?」




「つまり――女格闘家、山本紬。おまえの『運命の数フェイタルナンバー』は『5』だ」




 鈴木による宣言。


「…………」


 つまり……アタイのナンバーが『5』なら死ぬ。『5』以外ならこいつが死ぬってことだよな……? だったら――。

 頑張って思考する山本。


 しばしの静寂の後。




「ぐぁぁぁぁっ、ぎぃぃぃぃぃっ……!!」


 苦悶の声を上げ始めたのは――鈴木の方だった。


 ああ、そうだよな。だってアタイのナンバーは『5』じゃない。つまりこいつは『コール』とやらに失敗して自滅したってわけだ。


「ぷぷっ……あはっ、あーははははははっ!! 自滅って何だよそれ!!」


 腹の底から笑う山本。


 鈴木は首元に手を当てながら地面をのたうち回っている。その様子には見覚えがある。さっきアタイもされたように首輪を絞められているのだろう。




「がぁぁぁぁ……ぐえっ…………」


 腕に力を込めて首輪を少しでも緩めようとでもしているのか。だが苦悶の声は止まらない。


 ださっ……ださすぎる。威勢良くアタイを殺すとか言っておきながら、防御反応だとかよく分からんことで勝手に自分で納得して、ナンバーを外す。

 滑稽だ。アタイを馬鹿扱いしやがって、そっちの方がバカじゃねえか。


「しまりが悪いけど……これで仇は取れたな」


 高橋に対して思いを馳せる山本。




「くそっ……違ったのか……? おまえの『運命の数フェイタルナンバー』は…………『5』じゃなかったのか?」


 床に伏せて息も絶え絶えに話す鈴木に対して。


「ああ間違いだよ。アタイのナンバーは『6』だ」


 山本は勝利宣言とばかりに自身のナンバーを明かす。






「そうか――――助かったよ、おまえがバカで」


「……は?」






『コールが実行されました。対象のプレイヤーの『運命の数フェイタルナンバー』を宣言してください』


 鈴木が後ろ手で操作した端末から鳴り響く『電子音』。




「女格闘家、山本紬。おまえの本当の『運命の数フェイタルナンバー』は『6』だ」




 体勢は変わらず床に転がったまま、しかし先ほどまでとは違って覇気のある声でその宣言は行われる。




「な、何を言って……? 『コール』? それはさっきおまえがやったことだろ……? 何でもう一回……?」


 何が起こっているのか分からないが……野生の勘からヤバいことになっていることが感じ取れて狼狽える山本。




 そんな中『コール』の処理が行われる。


 鈴木の宣言は『6』。

 山本の『運命の数フェイタルナンバー』は――――『6』だ。




『コール成功、コール成功』


 端末から電子音にて死の宣告が下される。


「うぐっっっ!!? げぇぇぇぇっ!!」


 山本の首輪が先ほどの警告とは比べものにならない力で絞まる。鍛えた肉体を使ってどうにか首輪を緩めようともがくが、全くもってビクともしない。


 床をのたうち回り意識が薄れていく。






「『FATAL NUMBER GAME』において……バカなのは罪だ」


 立ち上がった鈴木が、苦しむ山本を見下ろしながら勝利宣言した。


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