七話
†
wood Islandに楓華が飛ばされ、ルーナから神器を授かった一行が依頼を受けたり魔獣を倒したりと動いている一方、同じクラスメイトの2人が影で動いていた。
帝国アイラン・サイラル
城下町 夜
街の中でも一際目立つ教会の屋根の上に4つのシルエットがほのかに浮かび上がっていた。
うち2人はTetumaとRe2
相対するは豹の半獣人が2人
今まさに戦いを始めんとしているところである。
屋根の上に緊張が走る。
その緊張を裂くように白豹の獣人が右手から伸びる強靭な爪を繰り出す。
しかし何の気なしにそれを左手の中指と人差し指でRe2が止める。
その力は尋常でないらしく、白豹の獣人がその指から逃れんとするがピクリとも動かない。
だがその状態を隙だと見たのか黒豹の獣人が右脚から渾身の蹴りをRe2の右のこめかみへと繰り出した。
しかしその攻撃もRe2の右手の人差し指で容易く止められる。
ここまで数秒の出来事。
しかし2人はRe2に強さを思い知らされたのか、手足が解放されてからもそのまま動かずにいた。するとTetumaが
「ハッ俺ならそんなうごなんてせずとも鼻息だけで吹き飛ばせるわw」
「ァ?」
Tetumaの言葉に少しイラついたRe2が衝撃波を生み出しながらTetumaへと殴りかかったがそれを容易く躱し、姿を消したと思えば飄々とした顔でRe2をお姫様抱っこするTetumaが現れた。
「ちょ、ん………‼️」「HAHAHA遅いなぁw」
その一部始終を見ていたやがて口を開く。
「「大変申し訳ございませんでした!俺は(僕は)あなたに一生ついて行きます!ご主人様!」」
と服従の旨を述べ、その場に跪いた。
「ふん。ま、まあいいわよ、その代わり私について行くなら場合によってはこいつにも従ってもらうわよ。それとー」
Re2がふとかがみ、左手でマントを捲ると月の光に照らされて白く細い左の太腿が顕になった。そして太腿に着けているレッグホルスターピストルを2丁取り出した。
そしてそれを2人に向け、
「今からあなた達には私の血の契約を結んでもらう。この2丁の銃はそのための道具。私の血液から生み出された弾丸であなたたちの心臓に向けて撃ち私の血液を身体中に巡らせる。少し痛いかもしれないけど…ガマンしてね♡」
と、少し恐怖も覚える笑顔を顔に出したRe2は銃に弾丸を込め射撃モードに変え、照準を2人の胸へと定めて引き金に指をかけた。
「行くわよ」
「「はい!」」
パァン‼️ 乾いた音と共に空を切り裂きながら弾丸が2人の心臓を捉え射抜いた。
「「ギャァァァァァァ!!」」
その瞬間2人は倒れ込んだ。が、すぐに起き上がり確かめるように撃ち込まれた胸を触りだした。その胸には紅色に渦巻くような紋章が描かれており、どうやら契約は成功したようである。
「成功ね、よし、あなた達が私の初めてのペットよ。最後に一つだけプレゼント」
Re2がふとナイフを取り出し自分の腕を切りつけた。
するとサラサラな血が流れだしそれはやがて
棘が着いた犬用の赤い首輪を形成した。
「これを首につけて。」
「「御心のままに」」
2人は首元のボタンを外しそのスタッズが埋め込まれた首輪を首につけた。
「うん、よしよし。…お手!」
2人は屋根に膝をつけ黒豹の半獣人は左手を白豹の半獣人は右手をRe2の手に乗せ、「わ、「ワン!」」
と吠えた。
Re2はと言うとふと考え事をし、「これ以上はTetumaに見られたくないし、、、そうやなぁ場所を変えるか」
そしてRe2は「ワープゲート、原初の森」
と唱え2人を連れて姿を消した。
「はぁ抑えられなくなったか…ま、いいか。俺も眠いしそろそろ城に戻るか。ゲート、城内。」
そしてTetumaも姿を消し教会の屋根には誰もいなくなった。
†
場所はRe2が移動した原初の森の中でも倒木によりできたギャップ地点。
よし、ここなら誰も見てないわね。
Re2は改めて2人の姿をじっくりとみていた。
片方は白豹の半獣人で耳がへたっている
目つきは鋭く口元も怒っているようだが、たまに素で可愛い一面が出るので憎めないな。格好は白シャツに緑のネックスカーフ、羽織っている白いカーディガンの片方は肩からズレ落ちており手元には噛み跡がつき耳がボロボロになったクマのぬいぐるみを抱えている。尻からは白くて毛並みのいいしっぽが見えている。
下は灰色の短パンで短い靴下を履いているため脹ら脛と膝までが外に出ている。
黒豹の半獣人は耳が天を貫くほどたっており白豹の半獣人と同様に目付きが鋭い。口元も似ているがこちらの方がやや怒っているようにも見える。そして白シャツに赤いネクタイをつけており、風でなびくのを防ぐためかネクタイピンをつけている。白豹と違いカーディガンは腰に巻いているようだ。そして白豹とは違い尻からは黒くてモサモサのしっぽが見えている。
下はリスより裾が短いハーフパンツで同様に短い靴下を履いているため脹ら脛から太腿の3分の2が見えている。
ショタっ子とか可愛いのが好きなRe2にはたまらない姿だ。
「さて、君たちには本当に私のペットになったのか最後の確認をしなければならない。が、その前に名前ね、黒豹の半獣人の君、今この時をもって〈レス〉と名乗りなさい。」
「御心のままに」
「そして白豹の半獣人の君、今この時をもって〈リス〉と名乗りなさい。」
「御心のままに」
「それとリス、あなた私に敬語使うのやめな。」
「へ?」
「リス可愛いからさ、敬語使わ無いでいいよ。」
「その代わりあなたは私のペット。首輪はその証。レスは…砕けきった喋りは控えなさい」
「、わかったッス」
「リスは?」
「ん、分かった」
言いながらリスは顔を背けクマのぬいぐるみを抱きしめた。可愛い。
「よし。ということで最後の確認よ。」
「リス、レス、仰向けになりなさい。」
豹に関して、前世でどの文献を漁っても服従の意があるのかはわかることは無かったが、同じ四足歩行の犬でさえ仰向けは服従の意を持つ。
プライドの高い豹にしてみればそれはさらに屈辱と服従の意を持つのではないだろうか?
そんなことを思ってRe2は2人を仰向けにさせた。
「「わかりました」」
2人は草むらの上に仰向けで寝転がった。
半獣人だからなのか、仰向けになった2人の腕は肘から曲がって頭の方に軽く握った手が向き、足はM字開脚で尻をRe2に向けた姿勢になった。
それを見てRe2は大興奮。
ヨダレをダラダラと垂らしながら細く白い指をリスから順番にズボンの中やシャツの中に入れ弄りだした。しかしここは暗闇であり3人と私の間にはおおきなとうぼくがあるのでこれいじょうみせることはふかのー。
だからそうぞうにおまかせするのだ。
そして2人の体をまさぐり終え、リスとレスが汗ばんできた頃、「あともうひとーつ。そのままの体勢で少し間を空けなさい。」
すると耳を真っ赤にして喘ぎながらも2人が少し間を開けて再び寝転がった。
「ということで、2人ともテントを張り始めたね。ということでリスの支柱からいただきます♡」
突如Re2はリスの張るテントの支柱を吸い始めた。
そして咥えたまま、「あぁ言い忘れてたけどこれは最後の契約よ。私は実は吸血鬼なんだけれど、純粋な吸血鬼じゃなくて少しだけサキュバスの血も入っているのよ。この行為は…ジュボこの行為はあなた達の体液を私が取り込むことで私に逆らえなくなるの。」
だからといってこれはどうなのか、まあいっか。
そして2人のお手製のマヨネーズを堪能した後、契約が完了した。
しかしその過酷な契約のやり方により2人はまだ股を広げ破れたテントのシーツからそびえ立つ支柱を震えさせている。
この様子を見たRe2は既にかなり疲れているにもかかわらず
「可愛いなぁ本当に、豹って欲求不満なのな。」
といい第2Rを始めた。
でもこれ以上は本当に見えないのでもうほんとにそうぞうしてね。
解説してたら私も辛くなってきたからちょっと天国イッてくる。
という乗りで契約という名目の夜の運動会を始めた3人であった。
Re2は本当に強いなぁ。
一方そのころ
神器を手に入れ装備も整った、燈威、美帆、中鳥、遊田、アイリスは各々で素振りをしたり自分の手に終える限界の敵を1人で倒したりとひたすら修練をしていた。
その中でも一際正義感が強い遊田は、夜みんなが寝静まった今も素振りやマネキン相手の攻撃練習をしていた。
短剣を振り回し、加護により鉄製マネキンを切りつける。
訓練場には金属が当たる音と遊田の足音だけが響く。
遊田の持つ力は強い。その気になれば自分より高いレベルの敵すら簡単に倒せるであろう。
楓華を失った件の戦いでも遊田ロードの側近を討ち、戦況を有利な方へと傾けた。
しかしそれは「西園寺・ローズベルク・楓華」という強力で信頼のおける存在がそばにいたからこそ、自身も勇気を持って戦うことが出来た。
今の状態のパーティーで周りが信じられないとは言わないが、それでも敵を簡単に一掃するような強大な存在が意図も容易くどこかへと飛ばされたのだ。それそれはトラウマもあるだろう。しかしそのトラウマもみんなで協力して乗り越えようとしている。つまり、みんながひとつの目的のために動いている。
だからみんな足を引っ張ったりしないように誰も見てないようなところでこっそり修練している。遊田も今は全力で修練に励んでいる。
しかし集中は続かないし、5回に一回は的を外すしてから短剣が滑って飛んでいったこともしばしば。このままでは修練など無駄。ただ寝る時間を捨てているに過ぎない。そして彼の修練にはほかのメンバーと違い問題がある。ほかのメンバーは対戦の相手を見つけ共に強くなろうと努力しているのだが、彼はそれをしないのだ。
地球にいた頃入っていた部活では多くの人間と共に練習をしていたのに、だ。
悩みを打ち明けることも出来ずただひとりで剣を振るのみ。
もちろんそれでも少しは足しになるだろう。しかしそれだけではダメだ。型だけではなく実戦イメージバトルをせねばそれこそ手に入れた型を用いることは不可能。
練習で用いるのが固定された的なのに、実戦に赴き、思考して動く的とどんな戦いが出来ると思う?無理だ。はっきりいって不可能。
それを頭で繰り返し自問自答して、それでも自分がわからなくなってしまった彼に今は何も出来ない。
「こんなんじゃ強くなれないよな…でも、俺ってなんなんだ?ある日強力な力が手に入った。しかし突然の出来事にまだ飲み込めていないんだこの現状を!なぜみんな順応できる!何故!生まれ持った力でないのになぜそうも何食わぬ顔で力を使える‼️クソが!」
遊田はそばにあった木箱を蹴り飛ばし粉々に粉砕した。しかしそれでも困惑と怒りは収まらず、怒りのパワーを乗せてずっと相対していたマネキンに対して全力で切り付ける。
しかし型がままならぬ力だけの攻撃はマネキンのシャープな外面に弾かれ手が痛む。
しかしそれも気にせずひたすら切りつける。
正しい剣の使い方なんて知らない‼️でも強くならなきゃ楓華みたいにまた誰かいなくなるかもしれないじゃないか‼️この先がわからなくて辛い気持ちも打ち明けられない苦しみも悲しみも寂しさも何もかもこの剣に乗せて壁を壊してやる!
刃が鉄製マネキンのボディにあたる度火花が散る。
遊田は治まるところを知らぬ怒りのパワーから次第にスピードをあげ、残像を残す速さでマネキンを切りつける。だんだんと火花も数を増やし、我も忘れて切りつけ続けて10分が経過した頃にはそこには鉄と鉄がぶつかり生まれる大きな金属音と速すぎて最早光のたまになった火花が遊田と傷が増え耐久値が低くなってきたマネキンを包んみ、その場所を中心にクレーターができている。
遊田自身も己の体力とスピードの限界を知り始めているが、それでも攻撃の手を止めない。剣を握る手の血豆が次々と破れ剣は血で染まっている。
と、その時空から声がした。
「ん?なんかやかましいと思ったら神速の遊田だったのね。」
「やや、その声はクラスメイトのyo—」
「おおっとその名で呼ぶのはやめてくれ、こっちに来てから名前を〈Re2〉に変えたんだ、今からRe2と読んでくれよな。」
「おう…」
「ところで…大声出しながら夜中に訓練場で1人でマネキン相手に戦ってるってことはなにか悩んでるん?なんなら私の対戦せん?遊田。」
「…フゥ。御言葉に甘えて1戦申し込もう。」
Re2が訓練場に降り立ち、これまでに集めていた常に形が変わる血液の塊からロングソードをだした。
「さぁ、始めましょうか。」
Re2が遊田の懐めがけて突進し、遊田のアキレス腱を深々と断ち切った。
「グガァァァァ!!」
「クソ!ヒール‼️」
遊田は即座に中級回復魔法を発動し安静にしていれば大丈夫なほどまで回復した。
そしてRe2へと向き直り、痛みもそっちのけで加護の力を使いRe2へと斬りかかった。
そのスピードはRe2の許容範囲を少し超えるスピードであり、その場にもし別の人間がいても2人の戦いの様子を目で追うことはできないはずだ。
2人は常に残像を残し見る人が見れば残像のせいでその場に遊田とRe2が何百人もいるように見えるだろう。それほどのスピードなのだ。
2人の攻撃は止むことを知らず少しずつスピードを上げさらに残像を産む。
そして両者は粘り続け遂には1時間も切りあっていた。
しかしそこでRe2の疲労が遊田より先に限界を迎え攻撃が止み、そのまま遊田の勝利となった。
「ハァハァハァ、遊田、お前強いなぁ。正直見くびってたわ。速いだけのボンクラだろうってさ。」
「酷いこと言ってくれるじゃねえかRe2。ハァハァハァいい試合になったぜ。」
そして長期間の模擬戦は終わりを迎えた。
直後何故か周りから声が上がり2人は歓声と拍手の嵐に包まれた。
2人が戦っている間に気がつけば朝になっており、2人の剣戟を聞きつけた城中の人間が2人の戦いを途中から見ていたのだ。
「あんたら2人すげえな‼️」「さすがは救世主様だ!」「す、すげえ…」「やばすぎやろ」
様々な声が上がる。
「俺、今まで自分がわからなくて悩んでたけど、少なくとも戦いに関しては自信がついたよ。自分でも想像できないぐらいのスピードで武器を振るい気がつけば1時間も戦ってたんだもんな」
「まさか私とここまで戦えるとは思ってなかったわ。すごく疲れたし、悪いけど少し寝るわね。また戦おう。」
「ああ。」
この戦いを終え、遊田は自信を取り直しこれからもさらに精進しようと覚悟を決めたのであった。