12話
王国ダンジョンにて攻略が進められる一方、楓華達も同様に訓練をして来る戦いへの準備をしていた。
†
時は5日ほど前に戻る
楓華は、Wood Islandに襲来した古龍を倒して服を失い、1つは戦利品として1本。もう一つは下級天使というペット付属で1本槍を手に入れ戦闘スタイルを考案しながら日々素振りや研究をして過ごしていた。
時には暇つぶしにアタッカーの仁と模擬戦をした事もあるし、ふらっとこちらの世界に現れた誤とも何戦か交えて訓練をしていた。
そんなある日、楓華が島の中でも一際高い崖の上で寝ていると、ペットである下級天使「アンジェラ」が目の前に現れた
「楓華様!私です!お久しぶりです!」
「何?眩しい…」
「もしかしてもうお忘れになられましたか?私ですよ!先日楓華様のペットになりました、下級天使のアンジェラです!」
「あぁ、アンジェラか。どったの?」
「いえ、少々時間を持て余しているように見えたので面白いものをお見せしようかと思いまして!」
「ん?なんか暇つぶしになるものなの?」
「もちろんでございます!」
「ふーん…で、面白くなかったらどう責任取るの?」
「もちろんこの身を好きにしていただいて構いません!」
「何でもするの?」
「何でもします!」
「あっ、ふーん(察し)ま、いいや見せてよそれ」
「ええ!只今!เหจวเขขจาลมชา่จบอเจ」
アンジェラがそう唱えると、突如天空から光が刺し、崖の先に純白に光を放つ扉が現れた。
「おぉ!…これが面白いもの?」
「いえ、本題はこれからです。」
「なるほど、その前に3人を呼んできてもらえる?」
「わかりました、呼んで参ります」
「うん、お願いね。あ、ちょっと待ってアンジェラ」
「どうなさいましたか?」
「あのねアンジェラ、3人が一緒にいる間は二足歩行しててもらえる?」
「わかりました///」
そう、すっかり定着していたので気づかなかったが、楓華に隷属の首輪をつけられて以来アンジェラは全裸で四足歩行をして過ごしていたのだ。
2人に見せたら、それに同級生の誤もいることだし少し気まずいのだ。、、、まああの、私も全裸なんだけどね?へへへ
何はともあれそういうことだ。
と、話を戻そうか。
アンジェラが面白いものとして見せてきたのはまずこの巨大な扉。
私が縦に重なって8人、それを横倒しにしても少し余裕があるようなサイズである。
しかしこの扉、足場がないから入れないではないかな。
もう少し近くに設置することはできなかったのかな?
それとも(「じゃじゃーん、空中に浮く足場デースすごいでしょ!ご主人様ご褒美くださいにゃ!」)とかでも言うつもりなのだろうか?関係なく私は後でご褒美をあげるつもりだが。
そんな面白くないテンプレを出してきたらちょっとボコろ。
楓華が考えをめぐらせ、あれやこれやとムフフな結末か物騒な結末に行きそうになっていると、先程3人を呼びに行ったアンジェラから声をかけられた。
「楓華様!只今御三方をお連れしました!」
「やっほー楓華さん」
「お、何してるの?楓華ちゃん、面白そうだね」
「何してんの?楓華。」
「みんなやっほー、なんかね、久しぶりに会ったなと思ったらアンジェラが面白いもの見せるって言ってすんごい扉出したから呼んだの。期待させといて面白くなかったなんてことないだろうから(圧)楽しもね」
「おぉ!面白そうだね!」
「それでは行きましょうか!*ஜ۩۞۩ஜ*」
そういうと、目の前の純白の神聖な光を強く放った荘厳な扉が開き、並列して花の香りを漂わせながら白い足場が現れた。
(ん、ここまで予想通りだが?)
そして扉が開ききると同時に爽やかな風と共にコスモスの白い花びらが舞い流れてきた。
そこには天使達が膝を着き、こちらをその中へと招いている。
そしてその先には2人のキューピッドがラッパを斜め上に構え、一番奥には大天使がこちらを見て手を振っている。
「うわぉ、想像を越えた。ん、てか待ってよアンジェラ、これ中入っても成仏しないよね?」
「あはは、そんな御冗談を、もちろんそんなことございませんよ」
「わあぉ、こりゃすごいや…」
「すごいねぇこれ。どうなってんの?さっき扉の後ろには何も無かったような?」
「面白い…これは、空間魔法?」
「そうで御座います、誤様」
「お、その声は…誰?」
「私は大天使サタシャーリア。この空間を治める者です。質問はございませんか?」
「なるほどね」
「先生、質問です!」
「?先生…、私ですか?楓華様、どうぞ」
「ここはどういう空間なんですか?」
「コホン、ここはあらゆる天使が集う場所、天界です。
皆様は空間魔法を通してここにこられましたね?ここにはたくさんの施設があります。
まずここ、大講堂。
ここでは集会を開いたり、お客様を一番にお招きします。
次に特別大食堂。
ここは名前の通り食事をすることが可能な場所でして、各テーブルに仕込まれている特殊な属性を持つ魔力によってあらゆる食事を生み出すことが出来ます。
次に訓練所。
ここには特に力を入れていて、仮想空間にて下級の魔物から伝説級、神話級、幻想級と、最上位の魔物と戦うことが出来る闘技場や、痛みは感じるものの実際は一切怪我をおわないで戦うことが出来る闘技場、何度死んでも生き返ることが出来る闘技場、そしてあらゆる天候の中的と戦うことが出来る闘技場があります。
他にも下級、中級、上級、超級、特級と5つに別れた居住区や、神秘的な景色を見れたり、あらゆるタイプの風呂が並んでいたり、エッチなことが出来る風呂がある大浴場、ソファに見えるトイレや座面が低すぎるトイレ、小さすぎたり大きすぎたり、仕切りが低すぎたり、兎に角Hなトイレが沢山ある一般トイレ等、沢山の施設が集まっています。最後にひとつ覚えていただきたいのですが、ここで過ごす時間は、現実では0.0000000000000000000000001秒と、ほとんど時間が停止しているにも近い時間を過ごすことになっている為、ここに長くいすぎて現実滅んでた、なんてことにはなりません。なので、定期的にここに来ては修行をして己を磨き、強くなるということが出来ます」
「そりゃすごい。んだけどひとつ聞いていい?」
「はいどうぞ」
「…なんでそんなにちょくちょくピンクな所があるの?」
「…私たち天使族はエッチなものが多く、その強さは人間の一般男性の451倍、810倍とも言われています。そして年中発情しているので沢山発散できる場所を作っておかないとすぐ乱れた花園が生まれてしまうのです。特にそこの仁様、お気をつけください。あなたほどのイケメンともなると…その、襲いたくなるので。」
「え、俺?…?!視線すご!」
「仁兄ちゃんは僕のもの!ダメよ!」
すかさずにゃいの一言。
すると視線は散り、再び天使たちは跪いた。
「あぁ、なるほどね私もしょっちゅうムラムラしてるのは天使族の血が流れてるからなのか。」
そうで御座いますか。なるほど、闘技場とか食堂とかなかったらただの風俗じゃん。暴れるか。
「なるほどね、大本命は訓練所か。
みんな、準備はいい?ちょっくら訓練所で鍛えていこうよ!楽しうじゃない?」
「いいね!」
「僕も賛成!」
「私も、この力をいろいろ試したい」
「では、訓練所に行きましょうか、」
こうして楓華達は天界へと来て早速訓練を始めるのだった。
†
しかしこの時、ナレーターは気づいていなかった。楓華たちが来たのは天界である。
どういう意味か?簡単である。この物語を書き綴り、見守りながらナレーターをしている彼女がいるのも天界。
気づいた時には遅かった。
ガチャリ
「ん?何?どなた?」
「あ、いた。」
「へ、楓華?」
「こんにちは、ナレーターさん。」
「ふぇぇぇ?え、どうしてここが?って、あ!あんた!サターシャリア!あんたがバラしたのね?」
「ふふっ」
「うわーんもぉ、人に見せられる部屋じゃないのに!」
「お、あれ電マ?あっちには拘束具…そんでナレーターさん天使なのか。」
「そうよ、見ないで!」
「ふーん」
スッ…楓華はどこからともなく〈エンジェルスピア〉を取り出した
「は、それは!待ってそれはd、いやぁぁぁぁぁあん///!」
この後めちゃくちゃセックスした。
こうして楓華は初めてをナレーターとするという前代未聞を成し遂げ、訓練所へと向かうのであった。
あ、初めまして、私代理のナレーターのアンです。
よろしくね
「流石天界、どこもかしこも幻想的な景色が見れて最高だねぇ、酒の肴にしたいもんだよ」
歩きながら、自身の筋肉を見せつける仁。
その横にはどこから取り出したのか、大きな綿飴を使い魔の狐達と食べて微笑むにゃい君。
これがメルヘンと筋肉のコラボレーションである。
「上空からは光が刺し、地面と言えるものはなく代わりに雲で構成されたこの幻想的な世界。透き通る水の流れる巨大な滝。あぁこの美しさ、私に新しいメロディを教えてくれるのね、奏でようか〈演奏〉」
四方八方を幻想的な景色で包まれ、うっとりとする誤は、武器であるステッキを取り出して音楽魔法を行使している。
そのメロディは一瞬にしてさらに異なる世界に連れて行ってくれるような、そんな代物だ
一方楓華はと言えば、地上にいた頃は服を纏わず羽で包んでいたその体を露わにし、一身に光を浴びている。
その姿はまさに真の天使。
未発達の部位すら崇拝の対象になり得るような美しさである。
そして4人それぞれが心の底から楽しんでしばらく歩いていると、目の前に巨大な建物が現れた。
「デカーーーーい!」
「説明不要だ〜これ。」
「「!!!!…」」
各々がそう口にする。
しかしそれは訓練所の大きさにでは無く、その前に仁王立ちしている天使に対してだ。
【HAHAHAHAHAHA!!!】
突如その天使から発せられた声は空間ごと破壊するほど大きな笑い声であった。
【お前らがあの〈落ちこぼれ〉のアンジェラを連れて行った奴らか!!!!】
「そうだけど…〈落ちこぼれ〉?聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど?」
【HAHAHAHAHAHA!!!!んな細かぇこたァどうでもいいんだよ!!!お前らがここに来た理由は、強くなるためだったなァ!大天使サターシャリアから聞いてるぜェ!だがよう、そこのチビ、「ちょっくら」とか言わなかったか?それこそ聞き捨てならんなァ!トレーニングを舐めんなぁ!この俺が特別に貴様らを鍛えてやる!〈marionette!〉】
「クッ!なんだ!体が勝手に動くんだけど?!」
【HAHAHAHAHAHA!!!!】
「なんで笑ってんだよこいつ!てかこのボタンなんだよ!むむむむ!指が勝手に!」
ポチッ
((((?!))))
【おっとぉ、簡単にかかったなぁ。てめぇらそんな簡単に操られるんなら雑魚じゃねえかそんなんでちょっくらとか言ってたんだな。まぁいい。これからしばらく長い時間を4人のみで過ごすことになると思うが、俺の見込みによると必ず最強になれるぞ。だから、この俺を信じて行ってこい。ホレ!】
「クッ!」
私は手を伸ばして立ち上がろうとするも、先程誤が操られて押したボタンのためか、力が入らない。
必死の抵抗で目を開けるも、最後に見たのは自分の体がホログラムのように崩れ、何らかの魔法によって別次元に転送されている様子であった。
†
少しして全身の転送が終わり、不思議なものを目にした。
4人が飛ばされたのはどうやら異空間。
どうやら、花畑を一望することの出来るテラスのような場所にいるようだ。
しかも4人ともそれぞれの椅子に座っている。
中心にはテーブルがあり、武器や道具なんかはご丁寧にそれぞれの背後へ置かれている。
「綺麗な花だにゃー」
にゃい、可愛くなる。
「本当に綺麗な花ね、香りを嗅ぐ度体が癒されるようよ。もしや花に何か効能があるのでは?」
「よっ!御明答!そこのお嬢ちゃん」
「誰だ?」
「私は庭園案内人です。この次元についての説明や質問への回答役をになっています。」
「案内人ね。説明って言うとどういうものがあるの?」
「そうですね、この空間に存在する施設、物、装置やルール等です。皆さんよろしければこのまま説明を始めますね」
「いいぜ。初てくれ」
†
庭園案内人の話をざっくりまとめるとこんな感じだ
・ここは一応天界であるらしいが、広さが天界よりもはるかに広大である。
・ここを出るには10億年の時を過ごさなくては行けない上、基本的に自らの意思で出ることは出来ない。
・私たちがさっきいた天界にある施設は基本的に全てある。しかし、人数に合わせたサイズで存在している
・ここで10億年を過ごすことになるが、現実では10時間しか経過しない。
・一般に聞く5億年ボタンやらなんかとは違い、寝ることが出来る上基本的な三大欲求は問題なくある。
・10億年間ずっと同じ景色はつまらないので、一応四季が存在している。
・ま、頑張れ
ということだ。
「え、10億?長いよー!」
泣き出すにゃい。
「( ˙꒳˙ )」
変な表情の誤。
「10億ってことは延々とこの肉体を鍛え上げられるってことじゃないか。やったぜ!」
いつもより元気な筋肉。
その後もなんやかんや説明を聞くやら質問やらをして3時間過ごした後、庭園案内人は別れを告げ、ついに4人だけになった。
「んー10億年か。ま、そうは言っても刻一刻と時間は過ぎていくわけだし、時間は有効に使おうよ!私はまだ手に入れたばかりの2本の槍をどうやって戦いに持ち込むかひたすら考えることにするよ」
「なら僕はこの拳であらゆるものを砕けるまで鍛え上げるよ」
「なら僕はこの妖術と回復術を極めることにする!」
「私はこの音楽魔法とやらを使いこなそうかな。」
「よし、みんな目的は決まったみたいだね!10億年、長い付き合いになるけど喧嘩もせず争いもせず誰よりも仲良く、そして強くなろう!」
「「「やるぞ!」」」
士気も高まり、4人は修練へと励むのであった…
‡
その一方、ダンジョン攻略に勤しむ一行にも異変が起きている人物がもう一人いた。
その名は中鳥。伍現の1人にしてタングステンを操り攻撃をする「鎢の巨壁」の使い手である。
時は数刻前のこと。
帝国地下にてダンジョン攻略中の中鳥は暗闇へと飛ばされていた。
見渡す全てが闇、闇、闇。
さらにどす黒い血の匂いと強烈な腐臭が漂っている。
そのインパクトにより中鳥は吐き気を催した。
その場から逃げ出そうと体を動かすも、鎖がジャリジャリと音を鳴らすばかりで、身動きが取れない。
どうやら自分はなにかに鎖で拘束されているらしい。
「ここはどこだ!俺を解放しろ!」
「クックック。解放か。無駄だ。ここはダンジョンの魔物に殺され、死んで行った人間の怨念の集う場所。彼らは生きた人間を嫌う。殺したい程にな。」
「なっ!殺したいって?」
「フハハハハ、面白くない反応だな。どれ、ひとつ仕掛けをつけてやろう。」
ピシッ!
「?!!?ッ!」
中鳥は突如声すらあげることが出来ない痛みに襲われ、左手を喪った。
ボトッ
そんな微かに重い音を立てて落ちたソレを見て、叫び声をあげた。
「Mmmmmmm!!!!面白くなってきたなぁ!ほら、そう目を閉じてばっかいないで周りを見てみろ!ゾロゾロと武器を持った生ける屍達が集まってきたぞ!Mmmmmmm!」
「ひ、や、やめろ…やめてくれ!俺はまだ死にたくない!殺されてたまるか!!!!」
「Mmmmmmm!Mmmmmmm!」
「タ、鎢の巨壁!…な、発動しない?なんでだよ!鎢の巨壁!鎢の巨壁!鎢の巨壁!なんで発動ないんだよ!おかしいだろ!理不尽だ!」
「Ommmmm!面白いことを言うなぁそこの非力なガキ。理不尽?お前も理不尽ぐらい散々やってきただろう?都合主義で動いて人を棄てて。Mmmmmmm!Ommmmm!全く面白いことを行うなぁ」
「うわああああああああ!!!!死にたくない!死にたくない!…、タ、鎢の巨壁!」
「いつまでもそうやってわめくばかりか。つまらん。ヤレ、腐肉共。」
直後、謎の男によって指示された生ける屍《死徒》の持つ鋭い槍により、中鳥は心臓を穿かれた。
「ギャアアアアア!!!!」
「Mmmmmmm!面白いなぁ全く!そこのガキ。…お?あっさり死んだな。」
「なんで…こんな事、するんだ!そしてここはどこだ!お前は誰だ!」
「そう捲したてるな、時間は有限だが無限と感じられるほどあるんだぞ?どれ、1つづつゆっくり教えてやろうか。まぁ、その間にもお前は腐肉共に弄ばれるんだがなぁ」
「や、めろ!はや、く、こたえ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「喧しいなぁ、人の話を聞く時は黙って聞けよ。それで、一つ目の質問の答えだが、ここはお前が元居た世界とは違う、俗にいうナンタラ億年ボタンによって生成される異界だ。」
「…」
「お前はここで永遠とも感じる時を俺と共に過ごしながら苦痛を味わい続けるのだ。その痛みはお前の罪に比例する。其れは決して逃れること無く繰り返される苦痛。決してなれる事ない恐怖と痛みのレクイエムだ。」
中鳥は絶望と困惑から気絶するが、直後右足に訪れる激痛に目を覚ます。
どうやら脚をもぎ取られたようで、まるでティータイムに眺める噴水にも見える血飛沫が再び中鳥の意識を闇に落とす。しかし痛みが直後に引きずり出して、その痛みにまた闇に落ちる。
「時はまだ半刻すら経っていない。
貴様の苦しみは決して想像することができないが、これが数億年も続くとするとこちらも少し胸が痛む。そうだな、貴様にはいいものをやろう。2つだ。」
「なんあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
疑問を呈した中鳥は、直後に骸骨兵の顎により舌を噛みちぎられ、悲鳴を上げる
「黙って聞け。てめぇが喋るとこいつらがうるせぇんだよ。死ね」
理不尽にも怒りを買った中鳥は〈謎の男〉の力により全身を微塵切りにされ、括り付けていた十字架ごと、粉々になる。
数秒後、中鳥は復活し、今度は✕の形のオブジェに拘束される
「それでいい。では、貴様に与えるものだが・・・ひとつは死者との親和性を上げる力だな。これは貴様が死者に殺される度に上がり、その強さは痛みの強さに比例する。
そしてこれは常時発動であり、貴様にかけた感情固定の禁術により怒り続けるお前は、さらに強い痛みを受け続ける。まぁ、簡単に言えば 痛みは怒りに比例して大きくなる。しかしお前は俺の禁術で怒りという感情を固定され、怒りは増していき、同時に痛みも増していくのだ。どうだ?面白いだろ?
そして2つ目。貴様に与える2つ目は視覚だ。」
「し、視覚?ぬあ”あ”あ”あ”!!!・・・俺には既にあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!視覚はあるぞ!」
「ほぉう?気の強いこったなぁ。ま、どうでもいいか。俺はこれからお前の視界を奪い、新たな視覚を与える」
そう言い、〈謎の男〉は左手を中鳥の顔面へと持っていき〈 erstatte…〉と呟く。
直後その左手から黒くネバネバとした何かが湧き出て、徐々に中鳥の頭ごと包んだ。
どうやら息ができないようで、「コヒュー、コヒュー」とかすかに空気を求める呻き声が聞こえる
「あぁ、言い忘れてた。チクッとしマース」
刹那、中鳥の目に激痛が走り意識が遠のく。
(なん、、、だ?)
†
数刻後、中鳥は目を覚まし辺りを見回す。
が、何かおかしい。目がよく見えず、黒く淀んだ世界だけが見える。
「なんだよ、、、これ。」
「おぉ、やっと目を覚ましたか」
「おい、、何をしたんだ?前が見えないんだが?」
「ほーん?思ったより冷静だな。いいだろう教えてやるよ。簡単だ。てめぇの眼球をくり抜いて魔眼を嵌め込んだ。それだけだ。」
「は?くり抜いた?まがん?何言ってんだてめぇ」
「これもてめぇの罪を自覚させるための罰だ。思い出してみろ、俺は知ってるぞ。てめぇが感情をぶつけ合い、時に慰め合い、時に笑いあった仲の友をある日突然無視し、人の心の欠けらも無い言葉を女々しく遠回しに使い、気分次第で付き合う友人を取り替え、酷く当たった相手に謝りもせずその厚顔無恥を晒し、見下し、蔑み、自己中に生きている事を!!」
「は、はぁ?そんなの知るかよ。あいつなんてそもそも昔から大嫌いだったんだよ!ゲームに誘っても下手だし、すぐに逃げるし、慰めあっただ?そんなもんあいつが勝手に俺のこと知った気になってるだけだろ?死にたい死にたい自殺したいってさっさと死んでしまえよ!はっきりいって邪魔なんだよ!」
「、、、チッお前、ホンットにゴミだな。生きる価値ねぇわほんと。そういう所が自己中だっつってんだろうが。そもそもそいつにだけじゃねえからな?クソ目障りな野郎だな。悪感情を持っているから捨て駒としてなら使えると思ったがお前はそれ以下だ。ゴミカスにも満たねぇ。特別だ。お前がこの空間で懺悔する時間を65億年に伸ばしてやろう。お前の生まれた太陽系が生まれた日から今までに至る時間を過ごし、無限にも思える痛みを知り、そして懺悔しろ。お前の罪と向き合え。まずは1億年間八つ裂きの刑だ。やれ!!」
「なんでだ!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
直後、✕型の拘束台は倒され、両手両足首には頑丈な縄が括り付けられた枷をはめられた。その縄の先端には4人の悪魔が居り、どれもその縄を硬く握り締め、クラウチングスタートの姿勢を取っている。
「な、何をするだァーッ」
「うるせぇな言ったろ?八つ裂きの刑だよ。おっと、ひとつ忘れていた。お前の身に生存魔法をかけておいたからな。四肢がもがれてもすぐには死ねないぞ。」
「な、やめろ、やめてくれ、死にたく、、、ないぃぃぃぃ!!!!アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
ブチッ ブシャッ ゴリッ ボトッ ポタポタ、、、
辺りには中鳥の叫び声、そして肉がちぎれる音と飛び散る液体の音が響き渡った。
そしてヨダレをすする音。
「あぁ、いい!これは最高の悲鳴!」
「ありがとうございます!シャルル=バティスト様!」
「フッハハハハハハハハ!!!!!!」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!いだあああああぃぃぃいいい!!!!!!」
「あぁ勃起してきました。やはり恐怖に満ちた叫び声というのは素晴らしいものですね。1億年間の八つ裂きの刑を終えたあとはたっぷり可愛がって差し上げましょう。」
中鳥の四肢のうち、右足を引きちぎった悪魔であるサタン=リッパーはそう言い、一見して紳士の最たる存在のような綺麗な服装をかき消す様な狂った目つきを向けながら、おもむろに自身のスボンのジッパーをおろした。そこには下着などなく、太鼓のバチを思わせる太さに綺麗に剥け切った極太チンポを取り出し、見た目とは裏腹に毛が剃られたパイパンの根元を見せ、中鳥の股の間に影を下ろした。
「い、嫌だぁぁぁぁぁぁぁあぉぉぉあ!」
逃げようとするが、四肢を失った身では何も出来ず、ただ追撃のように激痛が走るばかり。
「あらぁ逃げようたって無駄よ?私も楽しみだわぁ早く2億年過ぎないかしら。リッパーの開発のあとは私が沢山子宮で可愛がってあげるわ。もう今から楽しみでたまらない」
サタン=メイデンはそう言って、右手に鋭利な刃を生み出し、中鳥の性器を切り取り、握りしめた。
「そして俺は、、、って死んだか。まぁ生き返ったら自己紹介の続きと行こうか。たっぷり時間はあるのだからな。」
中鳥は薄れゆく意識と絶え間なく自身を襲う激痛の戦争の中、ひとつの声を聞いた。
「ジジジ--スキル【死者の声を知りし物】ジジジ-パッシブスキル 【代償】が発動。殺される度、激痛への耐性ジジジ、、、」
そしてここは次元が変わる。
「よーし、早速訓練を始めようか!」
「おっ、仁さんもう始めちゃう?」
「おう!ただな、1つ悩みがあってな?俺ってほら、筋肉キャラだろ?アニメで言ったら某ハゲヒーローとか平和の象徴とか。」
「あ〜わかる」
「ただ筋肉キャラと言っても魔法使えるやつもいるだろ?」
「そうだね」
「そこで、王道の格闘家方面へ行くのか、ピンチになってから活躍するような特殊なヒーロー方面に向かうのか悩んでるんだよ」
「ふーん、なるほど。」
「やっぱそういう反応なるよねー。もう少し悩んでみ──」
「ちょっと待った!いい案があるよ」
「おっ?」
「ふふん、その案とは!攻撃の度に衝撃波が出せるんだけれど、戦い初めはその力が弱くて、ダメージを受け続けるほど強くなってくっていうものが浮かんだ」
「いいねぇ。でもどうやってそんな特殊なものを…?」
「待ってました!フッフッフッこれを見なさい!じゃーん、ユニークスキルメーカー」
「んなんじゃそれ!」
「これは〜俺はこんなスキルが欲しい!って念じながらここにある水晶に一撃を入れるとユニークスキルを手に入れられるという神器だよ」
「神器て…」
「いいから、さ、レッツトライ!だよ!」
「お、おう!」
仁が真心を込めて放った一撃は音を置き去りにして透き通る水晶を襲った。
「ピロリロリン!」
コミカルな音が鳴り、その直後仁のみに見えるウィンドウが現れ、取得したスキルについての説明をし始めた
「なんだこれ!」
「こんにちは。私は技術の神と恩恵の神のアシスタントです。
スキルについての説明をします
このスキルの名前は【逆境の戦士】
他者から攻撃を受けた時、その前後に関係なく発動します
その効果は「怪我」「大怪我」「瀕死」の大きく3つの段階に別れて強化されます。
ちなみに瀕死の際にはサブスキルとして「金剛身」「堅牢なる城壁」「自在の盾」が発動し、スキルの所持者を全力で護ります。さらにこのスキルは、攻撃者が悪意を持っていた場合1.25倍の補正がかかります。」
「えー!ちょwww、やばいって。てかかっこいいなおい」
「それだけじゃないじゃん仁さん!このスキルは攻撃を受けた瞬間から発動するんだから、ここで訓練し放題ってわけじゃん?なんなら10億年後ここを出た頃には1.25倍の補正がかかるってことでしょ?」
「すご!んじゃ俺もう行くわ!」
「あ、ちょま……行っちゃったか。」




