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かなたへ 第七部 終焉のかなた 第三章 きざし 第1節

 かなたが街の散策から帰ると総務のマネージャーがかなたを迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、

 有意義だった様ですね」

「もう、なにか連絡が入ったのですか?」

「ええ、先ほど食料品についての特許と専売についての依頼がはいっていました。

 それと、全世界の優良企業からコンサルタント契約の依頼が殺到してますし、広告業界からも幾つも打診が来ています。

 どうされますか?」

「この世界で私の経験がお役に立てる事はわかりました。

 でも契約とか広告とかって……

 確かに異世界探査にあたっては外交、コミュニケーションについての資質の強化は受けましたがこういった事は不得手です。

 ごめんなさい」

「ですよね」

 マネージャーはにっこり笑いかけてきた。

 素敵な笑顔、貴方は?

「私は涼子、今日からあなたの専属マネージャーを拝命しました。

 ビックリされました?

 あちら風の名前が流行しているんです」

 涼子と名乗った彼女は長い黒髪を揺らせて身を乗り出してかなたに握手を求めてきた。

「涼子さん、

 宜しくお願いします」

「はい、こちらこそ。

 それでは最初に探査部との付帯契約をお願いします。

 かなた様のSRでの活動で得られた利益の30%を探査部へ分与して頂きたいのです。あと、専用超宇宙船の建造メンテナンスの費用は別途納付をお願いします。

 よろしいですか?」

「私が個人的に収入を上げれるなんて思っても見ませんでしたから、

 本当にそんなに頂いて良いのですか?」

「はい、駄目だと仰ったらもう数パーセント値引きしても良いと言われてたぐらいですから。

 では、これで契約成立ですね。

 お疲れでしょうからお部屋でお休みになっていてください、

 二時間後に新しいオフィスへご案内するためお迎えに伺います」

「ところで、あの、伝説の船さんは、もうお目覚めになられましたか?」

「はい、コアシステムの起動と覚醒は完了されています。今システムの修復と点検ルーチンのための作業に入っておられますが、メッセージを入れておきましょうか?」

「はい、探査計画なんかも相談にのって頂きたいですから、

 時間ができたらご連絡いただけるようにしてください。

 お願いします、涼子さん」

 かなたは自室に戻ると部屋のユニットの改造を開始した。

 SRの世界においても環境への配慮は重要、例えば水の利用についても水は無尽蔵にあるわけではなくシミュレートされた水は分子レベルで再利用されている。汚水がでればその再処理にもそれなりのコストが発生するため入浴する習慣などこの世界では一般的では無かったが、あちらの世界でゆっくりとお風呂に入れてもらったり、先輩と一緒にお風呂にはいったりした思い出から、是非、風呂場のユニットを組み込みたいと考えたのだ。

 経費は十分あるし、水についても浴室内で浄化再利用できるシステムを組めば大丈夫。有機物などの汚濁を浄化するための微生物を利用したあちらの世界でのバスユニットを模せば大丈夫。そうか、こちらの世界にはこういった微生物という概念が皆無、極度の潔癖症の結果かしら。

 克服された感染症などの疾病をもたらさない様に微生物はしっかり設計しなくては、それまでは……面倒だけれどその都度情報操作で浄化をやってしまいましょう。でも、微生物とかはシムデーモンの許可が出ないかも知れないわ。なら酵素とナノマシンを固着したマイクロアレーを組み合わせてフローをつくって……・、うん、これなら二・三日で出来るかも知れない。宇宙船の居住システムを作ったときの浄化システムを小さくして組み込めば良いんだ。

 かなたはうきうきしながらバスユニットと水浄化アイテムの設計にとりかかった。


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