文字の熱
体の中に熱い何かが燃え始めていた
その火種はいつからの物なのかは記憶にないが
弱々しく灯る時もあった
火柱のような時もあった
はたまた
消えかけた時もあった
燃え尽きた時もあった
それを経ても
この熱は消滅することは無かった
ある日、似た熱をもつ人に出会った
私よりも煌びやかに美しい鳳凰のような熱
その美しさに蛾のようにその人に近いたのである
熱は数多の人々を魅了する
既に周りは炎の精や新しい火種で溢れていた
温かいが熱く
熱いが静かであった
蛾は熱の周りを飛ぶ
徘徊したり、触れたり
羽を焦がしていることを無視して
蛾は熱に触れた
燃える中から火種が跳び
蛾に直撃した
ハラハラと落ちていく
蛾は負けたのだ
熱の熱さに
火種の熱さに
しかし笑っていたのだ
その羽が焦げたことでさえ
楽しいひと時だったと言って
熱が生まれた
違う熱が合わさった熱が
何かを生み出すことと
何かを変える火種に
なれると空想して
燃え尽きた蛾の灰を
眉間に皺を寄せながら飲むのだ