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79話 幕間 3

本編の執筆が間に合わなかったので、緊急で幕間です。

前話より間が空いたので簡単なあらすじを。


前回、庵は購入した衣装をイラストにするため、資料として自分で着ようとしたが、絵面が大変なことになるので、明澄が着ることになりました。

「これで、どうでしょう?」


 着替えて出てきた明澄は白のナース服姿だった。

 スカートタイプのワンピースで、ニーソックスとの間から腿がちらりと見えている。またガーターベルトも付属していたらしく、ソックスからスカートの中へ伸びているベルトが妙に艶かしい。


 着たことの無い衣装の所為と、足だけとはいえほんのりと露出しているため、明澄は赤らめた表情でスカートを押さえている。


 ナース服はコスプレ用で少しタイトなこともあって、意外とボディラインが顕著で、それがまた明澄の羞恥心を煽っていた。


「俺が着なくて良かったなこれは」

「ほんとです。こんなのを着てるあなたを見たら、ショックでした」


 庵のイラストが彼のコスプレによって成り立っているという、想像したくない絵面を回避するために明澄がコスプレをしてくれている。


 これは感謝しなくてはならない。庵の精神的にも、目の保養としても。


「バニーにしなかったんだな」

「ば、バニーはちょっと、後にしてください。心の準備が……」


 庵は初めバニーから着ようとしていたから、てっきり明澄はバニー衣装の姿で現れると思っていた。

 ただ、あれは露出がかなりある。好きでもない男に乙女の柔肌を簡単に見せるわけが無いのだ。


 そりゃそうだ、と庵は納得して明澄に申し訳なく思った。


「さっさと、撮ってください」

「分かってる。じゃ、これ聴診器もって、腰を折って、こっち向けてくれるか?」

「……分かりました。こうですか?」


 用意のいい庵は聴診器を明澄に手渡し、指示通りにポーズを取った明澄を余すことなく、写真に収めていく。


 露出は少ないけれど、動く度にスカートが舞ってちらりと肌の面積が増える。

 庵は思わず視線を外しそうになるけれど、明澄も恥ずかしさを押し殺して協力してくれている。真面目にやらないと怒られるだろう。


 少しだけ不埒な妄想がよぎったが、カメラのシャッターを切り続けて、煩悩を吹き飛ばした。


 被写体である明澄の頬はやや朱色が差しているが、表情は笑っていない。

 敬愛するイラストレーター相手とはいえ、同級生にこんなコスプレ姿を晒しているのだから、無理もなかった。


「さて、一段落したな」

「……やっと終わりですか」

「うんにゃ。まだ、これが残ってる」


 構えていたカメラを下ろすと、明澄は疲れきった様子で軽く息を吐きながら、ポージングを解く。

 これで、ナース服の撮影は終わったと思ったらしいが、庵が間髪入れずに懐からある物を取り出すと、明澄は「え……」と身を引いていた。


「なんで、猫耳なんです?」

「いやぁ、猫耳ナースも一応と思って。最近、俺の猫耳のオリキャラが人気でな」

「あー、あの子ですね。ええと、リリーちゃんでしたっけ?」

「そうそう。……だめか?」

「はぁ、仕方ありませんね」


 庵がダメ元で尋ねてみると、溜息をつきながら「ここまでしましたしね」と明澄は諦めて猫耳を受け取った。


「さんきゅーマジで助かる」

「あなたのためではありません。リリーちゃんのためです。先生のオリキャラの中でも好きな子なので」


 素っ気なく受け取った猫耳を明澄はナースキャップと付け替えて装着する。

 その流れに乗り、庵が猫の尻尾を引き出しから取り出すと、全てを察した明澄に「貸してくださいっ」と、恥ずかしそうにひったくられた。


 そうして、猫耳、猫尻尾ナースの明澄が誕生し、実はネコ科動物が好きだったりする庵は一種の感動を覚えていた。


「流石に『にゃあ』は言ってくれないよな」

「あなた、欲望丸出しでは?」

「冗談だって」

「……三枚」

「ん?」

「三枚。リリーちゃんのイラストを三枚描き下ろしてくれるなら、言ってあげます」


 明澄はか細い声で切り出し、指を三本立ててそう言った。

 余程、そのキャラが気に入っているらしい。語尾やセリフと引き換えに明澄は交渉を図ってきた。


「分かった。構図とシチュの指定まで付けよう」

「交渉成立ですね」


 イラスト三枚はかなりの量だが、明澄の『にゃあ』が聞けるなら、と庵はオプションまでつけて快諾した。


 まぁ、庵としては明澄よりも氷菓のファンなのでそちらの意味合いの方が強かったりするが、機嫌を損ねそうなので黙っておく。


「……で、では行きますよ?」


 セリフは明澄にお任せすると、数十秒思案した明澄はおずおずとカメラを構えるように促す。


「け、健診の時間だ、だにゃあ。さっさと服を脱ぐにゃ……」とか「早く元気になるにゃ……お、お薬飲ませてあげる、……にゃあ」とか「お、お注射するにゃ?」


 明澄はそんなセリフを羞恥で顔を赤く染めながらも最後まで口にし、セリフに合わせてポーズまでとってくれた。

 猫の手ポーズは、可愛さのメーターがあるのならば振り切っていたことだろう。カメラロールには素晴らしい画が記録されていた。


 明澄も氷菓を意識していたのか若干寄せていて、思わず庵が無言で拍手しそうになるほどのクオリティだった。


 ただ、代償というか反動というか、やり終えた明澄は真っ赤になりながら、「もう、に、二度としませんからっ」と、近くにあったナースキャップで顔を隠してしまった。


「とりあえず、スパチャさせてくれ」

「そんなことより。イラストを描いて下さい」


 もう庵としては大満足である。

 いつの間にか真顔で財布を取り出していた。


 そんな庵に明澄は「ばかなんじゃないですか」と赤らめた表情をそっぽ向けて、次の衣装の着替えに行ってしまった。

めっちゃ昔の話を今更になって、すみません。

あと、まだ距離があるの時のお話なので、甘々でもないですし……

どうか、あすみんのナース姿と猫ちゃんナースでお許しください。

それと、いつになるかはわかりませんが、幕間はまだ続きます。あとはバニーとセーラー服……


次回はちゃんと本編に戻ります(ノД`)

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― 新着の感想 ―
[良い点] あまい。そしてあまい。さらにあまい。 [気になる点] 個人的にどのラブコメでも思ってることなんですが、いくら鈍感でタラシでもこんなにスキンシップ多かったら、あれ?こいつ俺のこと好きなんじゃ…
[良い点] 明澄のヒロイン力が増していく…………。 [一言] たまには筆を休めるのもありですよ。
[良い点] 猫耳最高です 本編に再登場希望します。 [一言] すぐ打ち消していましたが、庵くんが不埒な妄想をしていたのは良いと思いました。 明澄とのスキンシップをたんたんと受け入れていたので、父と幼児…
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