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日本人の不始末  作者: 下田花 咲
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第一記録 胸で語る主張 色を好む色知らず 都合良すぎな死生観

乳癌対策を無償化しろ

帝国政府の協定塔前には、そんな声明が轟いていた。


講義の為に集まって来た女性やエルフ達が、顔より大きい乳でお互いを圧迫しながらデモ行進をしている。

あれでは兵士がデモ妨害に踏み込む前に圧死するだろう。

"日本人が施す恩恵"のナンセンスさのお手本のような状況だった。

帝国西の辺境で発生した現象と聞いていたので、対策を講じる時間は十分あるとお偉いさん方は考えていたようだが、私はそれを聞いた次の日には専属の日本人のコネを通じて、治療機関の特設を依頼していた、彼らの発言や倫理観と逆のことをすれば、いつだって私個人の実績は上がるばかりだ、明日にはこの牛乳大河も干上がることだろう。


次の日、帝都内に特設された医療施設には患者が溢れて、半日で問題は解決した。肥大化そのものは整形なりでどうにかするしかないが、極度かつ急速な乳の肥大に伴う体調不良や奇病、癌の治療はこれで問題ない。


後は報告書を作成して提出するだけだ、相手にも家柄によって得た権力と威信があるので、間違っても今回のデモを鎮圧したのが私個人の功績と思われないように、言葉を選んで筆を走らせる。


全く、お互い楽な仕事だ



"恩恵派日本人"の不始末に対処するために、政府の移民政策部門から派生した機関「転生監視委員会」

民衆からは「面接官」の愛称で親しまれている。

移民の役割を果たせる日本人のみを受け入れ、出来ない者は隔離する、そんな感じの仕事だ。

転生日本人への対処は、ドラゴン一匹を倒す程の人手と時間がいるキツい仕事だが、私の仕事は基本的に対処法を講じて実行を任せる内勤なので、比較的安全も保証されている。

たまに現地調査で身を晒す危険はあるが、私の武器は基本的にこの筆一本で事足りるのだ。



次の仕事


日本人が経営する人間牧場の取り締まりと、被害者への対処。

日本人と言うのは転生現象が確認された黎明期から、やたらとエルフや高い身分の女を奴隷化したがる習性があった。

恩恵派ともなれば、催眠や洗脳、あるいは実力行使で"家畜"を大量に集め、生産する。

それが日本人の本能から来るモノなのか、国民性や文化によるモノなのか、そこを理解してこそ彼らとの真の和解がなると、政府はよく言うが、たぶん後者だ。

日本人は「英雄、色を好む」を地で行く割には、異性に対する社交性が無さすぎる。

おおかた彼らの国では生産性の無い偶像崇拝が盛んなのだろう、さぞかし出産不足が叫ばれているに違いない。


問題の牧場へ到着した、面接官であることがバレてはマズイ為、奴隷商の貴族を装った服装で潜り込む。

"私物化"することで高揚する日本人の背徳感を象徴したような体中のラクガキとタトゥー、精液風呂にでも入って洗っていないようなひどい臭い、枷で拘束されて、ほとんど牛舎の牛扱いだ。

この場所の内情をぶちまけて、潰すこと自体は容易いが、牧場の解体後も帰る場所がない女も多い。

野党まがいの日本人や得体の知れない魔物と交尾しまくった穴を持つ女など、家族にいるだけで負担になるだけだからだ。

日本人は女を堕としきった後のことは、まるで寸劇の終わりの先のように、これっぽっちも考えない、つくづく自分達の見たいものしか見ない種族なのだ。


一通り調査を終えた数日後、いつも通り牧場の経営関係者は暗殺ギルドに任せ、女やエルフは更生施設に入れた。

自分が被害者女性に近づいて調査する案件の場合、性癖が歪みそうなのであまり近寄らないようにしている、奴隷に興奮することが厳禁なのだから、日本人の悪趣味な部分を影で楽しんでいる男にはゼッタイ無理な仕事だ。


次の仕事


新生日本人に当たってしまった転生保険加入者の保険金給付の受理、つまり書類整理。

日本人の中には、生前の人生から何も得られなかった結果、こっちの世界で生まれ変わってやり直そうという性根の腐った奴がいる。

自分が頑張らなかったせいで人生を無駄にして、世の中が自分の思い通りにいかなくて駄々をこねていたような人間、そんな人間が前世の記憶持ちで転生して来たら、ましてやそれが新生児であるなら、危険因子であることは明白、即殺処分だ。

もちろん生んだ母親や見守って来た父親は悲しまない、ただ無駄になった日々に悪態をつくだけだ。


作業を終える、今年の新生日本人は60人ほど、対した数じゃなかった。

転生の恐怖が国内で騒がれたせいで、出産数が激減しているのもあるのだろうが。


無心の作業が終わった途端、どっと疲れが出た。

今日は、ジョンさんの酒場よりも、牛丼屋に行って、ひたすら胃袋に詰め込みたい気分だった。

日本人は陰険で最悪な奴らだが、先進的な国で育ったためか、自国の文化を引っ張り出してきては国の発展に貢献している事実もある。

大嫌いな日本人のことも、仕事の為に調べていれば良い所も見つかる、シャクだが。


・・・いや、やっぱり牛丼も良い文化とは言い切れない。


日本人が牛丼を我が国で普及させたせいで、ミノタウロス信者9割を抱える隣国からの旅行者が途絶えたし、それを巡って国内でも不毛な討論が絶えないのだから。


明日も日が昇る、勝手にしろって感じだ

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