002 プロローグ-2
本編まだです。
でも大事なことが沢山書いてあるのでちゃんと読んでください。
ついに計画実行の日がやって来た。
そう!今日はハロウィン。
俺が陽キャになれるか現状維持を続けるのかその分岐点なのである。
ここでの選択を一つでも間違えたら陽キャへの道を進むことができない。
心を陽キャにしてなんとか間違わないようにしなくては……
朝起きて顔を洗った俺は鏡を見つめ鏡の中のもう一人の俺に向かって、そう覚悟を決める。
それじゃ、とりあえず仮装の準備でもしようかな。
でも集合は昼だからまだ時間あるしもう少しゆっくりしてても大丈夫かな?
う〜ん。悩む。
あと30分で9時からいつも見ている特撮ものが始まるのだかそれを見てからでも遅くはないか?
しかし………う〜ん。優柔不断なところも治さないとな。
よし、決めた。先に着替えて9時までにやれることはやっちゃえ。
そうと決まれば話は早い。
俺は早速ネットで買った仮装用のアイテムを片っ端から床に起き何処から始めようか考える。
先に着てみるか?
それとも顔にペイントするのが先か?
でもこういうときは勘だな。
よし先に着替えちゃお。
俺は届いていたコスチュームを身に纏い、窓に薄く反射する自分を見る。
うぉ。何かコレだけで結構それっぽくになるな。
最悪、これだけでいいのでは??
いや、だめだ。
こんなところで手を抜いてメリットがあるはずがない。
何事にも全力で。これ大事。
……おっと、色々とやっている間にどうやら9時になってしまったようだ。
一旦、休憩だな。今日は確かハロウィン回だったよな。どんな敵なんだろう。
あれから30分がたった。
今回は結構良かったのでは無いだろうか?
例年なら怪人はジャック・オ・ランタンだとかドラキュラ辺りだろう。
しかし今回の敵キャラはなんとDJポリスだったのだ。
いや、驚きである。
確かにハロウィンと言えばと聞くと何人かはDJポリスと答えるだろう。
しかし、ここを選ぶか……
こんなところにまで現代社会の波は押し寄せてきてるのだなぁ……
はい、休憩終了。
メイクの仕上げにかかろう。
あ、そう言えば言ってなかったかな。
俺が今日する仮装はゾンビである。
何でそのチョイスにしたのかって?
それはもちろん、テレビで歩く屍のドラマを見たからに決まっているだろう。
何にしようか考えていて、もうこれでいいやってなったんだけなんだけどね。
と言うわけでゾンビのメイクスタートだ。
ゾンビ仮装の半分近くはメイクで決まると言っても過言ではないだろう。
そのくらいゾンビにとってメイクは大事だ。
絶対に失敗は許されない。
慎重に……慎重に………
寸分違わないようにシールを貼り、その上から分からないようにカモフラージュ。
顔色を悪くするために白く塗って少し青を入れる。何か変だな。
腐ってる感じが出ない。
うーん。赤とか茶色系を足せば良いのかな?
色々と試行錯誤してなんとか及第点が出た頃には既に時計の針はてっぺんに辿りつこうとしていた。
危ない危ない。
危うく陽キャ計画が頓挫するところだった。
ついメイクが楽しくて夢中になってしまっていたのは内緒だ。
かばんの中にスマホやら財布やらバッテリーやらなんやらかんやらを入れて出発!
さて、まずは隣の龍虎の家に行こう。
12時に約束しているのだが10分くらい早くても平気だろう。
家のドアを開け、鍵を締め、徒歩3秒で龍虎の家のインターホンの前だ。
リビングとお風呂くらいの絶妙に近い距離に俺たちの家は位置している。
龍虎の家のインターホンを押す。
その瞬間、家の中からここら近所一体の騒音を集中させたかのような音が鳴り響く。
ドンガラガッシャンでもガラガラドーンでも無い。
多分、この音を形容できるようになった時日本語はさらなる進歩を遂げるのだろう。
ある程度すると音は鳴り止みジャスト12時。
勢いよく龍虎の家のドアが空きそこからフルマラソンでもしたと勘違いされてもおかしくないほど息切れした狼男が出てきた。
おいおい、今は満月じゃないぞ。
そんなツッコミは置いておいて。
この狼男の仮装をしている金髪チャラチャラお兄さんが龍虎だ。
一見するとチャラチャラしたイケメンに見えなくもない。
しかし、その正体は極度のゲームオタクである。
一応、俺とは違い社会との繋がりは保ってあるらしく、大学にも友達は多いらしい。
しかし、家に帰るやいなやパソコンを開きゲームをダブルクリック。
そのまま次の講義の時間までオールでゲームなんてザラにあるらしい。
どうしてその両立ができるのか不思議でたまらないがこれが持つべきものと持っていないものの違いなのだろう。
こんな俺をいつまでも何だかんだ気にかけてくれるのも龍虎なりの優しさだろう。
本当に心の根から良い奴なのだ。
まぁ…イタズラは良くするけど。