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001 プロローグ-1

 俺の名前は佐久間勇気。

 どこにでもいる普通の高校3年生。

 運動神経もそこそこだし、勉強もまぁまぁ。

 これと言った取り柄もなくこの18年を生きてきた。


 そんな俺にももうすぐ大学受験の時期が迫ってきている。

 つい先日高校に合格したと思っていたけど時の流れは早いものだ。

 人によって感覚の差異はあるだろうが、無慈悲なことに時の流れだけは万人共通にて永久不変。

 この先どれだけ科学が進歩しても変わることはないだろう。


 時間の流れを変えられるのだとしたら是非ともクラスのヒロイン「高木玲奈」と喋っている時間を悠久にして欲しいものだ。

 どうせ俺みたいなコミュ力皆無なクラスの端っこがテリトリーの陰キャは事務連絡しかできないだろうが話せるのなら永遠に事務連絡でも言いってもんよ。


 ………。


 はぁ…。


 大学に行ったらこの性格も変えられるのかな?

 高校デビューは盛大に失敗したけど今度こそは成功してみせる!

 え?高校デビュー失敗って何をしたのかって?

 それはまた別の話だから今は置いておこう。


 しかしだ。


 明日は僕にとっては脱陰キャができるかも知れない数少ない分岐点だ。

 もし今日何かが起これば俺は一発逆転大富豪を狙えるかもしれない。

 明日からはクラスの端っこなどという小さな閉じこもったコミュニティの中で引きこもらずにクラスの真ん中で堂々と高木さんに愛を叫べるかもしれない。

 

 まぁそんな上手くは行かないだろうけど。


 長引かせたけど明日がなんの日かと言うと。


 そう!ハロウィン!


 『ハロウィンとは毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭のことである。現代では特にアメリカ合衆国で民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっている。カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする…………(Wikipediaから引用)』


 うん。


 長い!!


 要するに陽キャたちがドンチャン騒ぎをする年に一度のパーリータイムである。

 ハロウィン以上に騒ぐというイベントはなかなか無いのではなかろうか。

 クリスマスやバレンタイン、お正月なんかは比較的地域規模で騒ぐだけで特筆すべき騒ぎにはならないだろう。


 しかし、ハロウィンはそうではない。

 ハロウィンにあってその他のイベントにない特徴。

 それは仮装である。

 クリスマスにサンタコスをするものがいるかも知れないがそれはごく一部だろう。

 しかしハロウィンは参加するほぼ全員が仮装をする。

 西洋の妖怪から近代のアニメキャラクターまで仮装内容は多種多様なものになっている。


 仮装をすることで人はどうなるか。

 人は自分を自分ではない他の人だと思い込みそれを演じるようになる。

 自身より強いものの仮装をすれば心なしか強くなる。

 可愛い仮装をすればいつもより自分が可愛く見えるなど……

 ハロウィンの仮装の魔力は絶大なものだ。


 感の良いみなさんなら分かっただろう。

 

 そう、僕は仮装をすることで心を擬似的に陽キャにすることでそのまま学校でもそのキャラで行けたら良いな作戦を実行するのである!


 そんな上手いこと行くか?と思うだろう。


 私も思う。


 しかし、実行に移す前に頓挫するよりも実行して失敗の方が良いだろう。

 かの有名な某天才も「失敗は成功の母」と言っていただろう。多分。


 というわけで僕もこの計画を実行に移すことにした。

 行動力だけはある方だと自負している。

 ただしそのせいか余計なことに首を突っ込みやすい。

 先日も学校へ登校している途中に落とし物を降板に届けたら色々と書類を書かれたくさん状況を聞かれやっと開放されたと思ったら遅刻をした。

 あれは事情を説明して先生には目を瞑ってもらったが他にも興味や好奇心から色々なものに手を出しては失敗をしている。


 しかし、実行するとしても一人では少し心細い。

 やはり根は陰キャいくら心の底から陽キャを演じようとしても芯の部分は変わらない。

 やはり少しは怖いのだ。


 ジャングルの奥地。

 肉食動物の群れが闊歩する中。

 一人で肉食動物のコスプレをしてその群れに飛び込んで、楽しんで、遊んで、はしゃいで、エンジョイするなんて無理である。

 不可能だ。


 だから僕はそうならないようにこちらも群れを用意した。

 貴重な友人である「峰岸貴也」と「横浜龍虎」だ。

 貴也は超が付くほどの陽キャでクラスでも人気者で俺とは正反対の人種だ。

 何でそんな奴が俺の友達なのかというとただの幼馴染。

 昔からの腐れ縁と言うやつである。

 龍虎は隣の家に住んでいる一つ年上の大学生。

 龍虎とも昔からの友達で小さい頃から貴也、龍虎、俺の3人で良く遊んでいた。

 性格も子供のような奴で息をするようにイタズラを仕掛けてくる。

 そのせいか俺達は龍虎を年上だと全く思っていない。

 中学生くらいから遊ぶ頻度は減っていたが、今でも事あるごとに遊ぶような仲だ。

 今回のハロウィン陽キャ大作戦も二人に話したらノリノリでオーケーが出た。

 俺がクラスに馴染めずにいたのは二人とも知っていたから、俺が変わるキッカケになるなら協力するとのことだ。


 うーん!

 明日が楽しみだ!!!!

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