1/1
0話 私は、思い出す
「マタヨシくんはサイコパスだ」
そんな話を聞いたのは私が高校二年生になった最初の日だった。
この奇怪な話を突然持ち出してきたのは……はて誰だっただろうか。今となってははっきりと覚えていない。
ただ、覚えているのはこんな話は日常の何気ない会話の、一つの拙い冗談でしかなかったこと。誰だってこんな話を本気になどしていなかったのだ。舞香も、絵美里も、そして私も。
高校三年目の夏、私が一番愛していたのは、紛れもなくマタヨシくんだった。
頭の中でずっと溜めていたものを書いてみました。