苦悩
マモリが旅だった日のことです。
※マモリ視点。
はぁ…。
どうしてこうなったんだろう…。
今俺はスタートロイを出てカウロイ村に向かっているところ。
俺になんともありえない呪いをかけてそのまま空を飛んで失踪してしまったじいさんを探してだ。
そのじいさん、どういうつもりかわからないけど俺に男物の服を着れない呪をかけてどっか行っちゃった。
全く知らない、いきなり登場したじいさんにだ!
さっぱりわけがわからない上に強制的に女装しかできないようにされてしまった。
まぁ、確かに俺は昔から格好いいより可愛いって言われることのほうが多かったけど…。
父さんのめちゃくちゃ格好いい鎧を身につけてても可愛いって言われてたくらいだからなぁ。
でも。
だからこそ俺は少しでも男らしくしたいって思ってたのに、なんでかこのありさまだよ。
ほんと、マジで何の恨みがあってこんな呪いかけるかね!
そんな俺は今リボンみたいな形の胸当て、スカイブルーのミニスカート、黒のニーソックスって格好で一人森の中を歩いてるんだけど。
ぶっちゃけ心細い。
ミニスカートから風がビュンビュン入ってくるのが、俺の心細さをさらにアップさせてるのは間違いないね。
なんの準備もせずに街を飛び出したのも、正直知り合いの前でこの格好をさらしたくなかったからだし。
ビュゥゥ
「キャッ!」
……。
何今の声!
突然の風でスカートがめくれた。
それに驚いた。それはいいよ。
でも今の声はない!!絶対ない!!
…誰にも聞かれてないよね!?
……。
よし、大丈夫だ。俺は大丈夫。
それにしてもスカートって本当に無防備だな。
「…誰にも見られてないよね?」
一瞬でかなり不安になった。
誰か助けて!
って誰かいてさっきの見られてたら困るけど!
ちなみに俺は自分でもこのスカートの中身を知らないのだ。
ただ感触から言ってかなり布面積が少ないことは間違いない…。
それもかなり窮屈な感じがするけど…その締め付けがちょっと…。
…今少し顔赤くなってたかも。
やっぱり考えないようにしよう。
…でも俺要するに今この格好じゃないと戦えないってことだよな?
やばいじゃん!あんだけの風で中見えちゃうのに闘えるわけないじゃん!!
…あれ?
俺スカートの中見られるの恥ずかしがってるのか?
家では普通にパンツでうろうろしてたのに。
いや、それは母さんしかいなかったからかな?
でも別にジークとだって風呂入ったこともあるくらいだし…。
恥ずかしいなんて変だよな…?
いや、やっぱまずいって!ただでさえ変態に近い格好になってるのにパンツ見られてパンツまで女物だってバレたらさすがにヤバいって!!
こんな布少ないんだし…。あれが…。
…とにかくパンチラには要注意だな。
……女の子って大変だな。なんでミニスカートなんて文化が流行ったんだろう。
まったく、エッチなおっさんと思春期の男共のせいだな。
俺も思春期の男だった。
忘れてたわ。
はぁ。
なんで俺こんな恰好で一人で森の中歩いてるんだろう…。
「とにかくもうこの格好にはあきらめて慣れるしかないか。」
……!!
そういえばスタートロイでたくさん服貰ったんだった。
全部女物だし着ないと思って放置してたけど。
もしかしたらイージスの服よりマシなのあるんじゃないかな!?
ていうか普通の服の方が絶対いいに決まってるじゃん!
俺が絶対領域なんて気持ち悪いよ!
「いろいろあるなぁ…」
とりあえずフルアーマーの魔空間から一通り取り出してみたけど…。
ドレス。まあ城の服なんだから当たり前か。
フリフリワンピース。高級そうだな。さすが。
メイド服。確かに城にはたくさん余ってるだろうよ。
バニーガール。絶対着ない!ていうかスタートロイにカジノはないぞ!?
セーラー…ちょっと違うな。レオタード?なんか月に代わってお仕置きできそう。
これは…母さんが寝る時に来てるのに似てる。スケスケじゃん!
貝殻3枚。なんで!!?
その他ブラウスやスカートいろいろ。
まあ…ほとんど使えないっぽいけど、これはマシか。
カットソーとスパッツ。
闘わない時はできるだけこれにしておこう…。
それにしてもたくさんあるな。
……。
…少しくらい着てみても…。
……。
自分に幻滅した。
…でも。
……体がむずむずするのは仕方がないのだ。
男の子なんだから、女の子の服に興味持つのは当たり前!
のハズ!
…。
駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ。
…こんなことで本当に呪い解けるかな…。
まあさっさとじいさん探して呪い解いてもらわないと、どんどん深みにハマりそう…。
「はぁ…。」