光の在処
掲載日:2026/08/31
重く垂れこめた雲に
ぐいぐいと抑えられるように
下へ下へと下がる目線に
何も見えなくなる
踏み出す足元さえ覚束なくなって
立ち止まったら
もう歩けない
もう歩けない
そんな気持ちに急き立てられて
トボトボ トボトボ
ただ足を前に出すだけ
意味を問えば無意味になりそうで
価値を問えば無価値になりそうで
音にならない
言葉にならない
もやもやと黒いような暗いような
不確かな感情に抑え込まれる
鏡の前で笑う練習をしても
練習は本番じゃないから
いつの間にか曇って見えなくなる
諦めてしまえ 諦めてしまえ
何度も何度も繰り返される
言葉とは裏腹の感情に何も考えられなくなって
立ち止まったら
もう歩けない
もう歩けない
そんな気持ちに急き立てられて
トボトボ トボトボ
それでも歩く自分を笑う
皆嘘つきだ
重く垂れこめた雲を
ふと見上げる
足元を見つめる
光に落ちるはずの影もなくて
不意に我に返る
肌を滑る風の温度に
焼き尽くされそうな夏の終わりを知る
風が吹く風が吹く
吹き過ぎる風に時の移ろいを見る
薄日射す庭に雨が降る
水面に揺れる花に落ちる雫を見る
ぽつぽつ ゆらゆら
ぽつぽつ ゆらゆら
雨が降る 雨が降る
空から降る雨は銀の糸
光集めて降る糸に
光の在処を思う




