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青炎紀  作者: 二十二郎
〈1〉破魔之役:紅玉の従者
8/18

7 蠱惑の商人

「しっかしのんびりしてるな...。」


アールンは窓から外の景色を眺めながらそう呟く。

ソーラとの話し合いが一段落したので、彼は自分の部屋に戻り、昼餉までの暇つぶしに部屋の両開きの大窓を開けて外の空気を入れつつ、ぼんやりと景色を眺めていた。


今はちょうど昼近く。


周りの民家はどこも飯炊きと思われる煙をうっすらと上げている。

天気は雲一つない青空で、うららかな日差しがトラーウェム家の中庭に生えた1本の広葉樹の葉に注いで煌めいていた。


ふと、背後に気配がしたので振り返ると、部屋の入口にはソーラが立っていた。


「どうした?」

「いえ、特に用事はないのですが、その...手持ち無沙汰で。」

「そうか。...何時までそんなとこに突っ立ってるんだ、別に入ってきても構いやしないよ。」


すると、黒髪の少女はそろそろと入ってきて、入口近くに腰をおろした。

その表情は逆光でよく見えないが、あまり良い表情はしていないようだった。

ソーラはなお黙ったままなので、アールンは自分の方から口を開くことにした。


「...まだ、根に持ってる、いや警戒してんのか。」

「...何をですか。」

「ほら、最初に会った時、とんでもないこと言っちまっただろ。」


アールンは思い切ってそのことを切り出した。この先も暫くは一緒にいることになるだろう相手なので、なるべく確執は解消しておきたいのだ。


「...怒ってはいません。でも、分からないんです。貴方という人のことが。」

「分からない?」

「はい。確かに最初はとんでもない人だと思いましたが、ここ数日共に過ごす中で、貴方は結局ついぞ私には手を出さなかったし、あんなに怒っていたのに何回も私を助けてくれた。一体貴方は私のことをどう思ってるのか、好きなのか、嫌いなのか。それが分からないんです。」


ソーラの言葉に、アールンは自身を顧みる。

全てを話してやるつもりは無かったが、とはいえこの娘の今の言葉は率直そのものであったから、全て有耶無耶にして返すのも平等ではないだろう。


「...率直に言えば、今あんたを具体的にどう思ってるかは俺もよく分からない。ただ、あん時は戦場でのあんたの誤判断がきっかけで大事な仲間が死んだから、それなのに超然としてたあんたの態度が頭にきてたんだ。その後もあれみたいな態度続けられたら話は違ったかもしれないが、今は別にあんた自体を嫌ってるわけじゃないし、だからこそ危ない時は助けようと思った。それに、どう見たって年下で、しかも女のあんたに暴力振るうってのも、落ち着いて考えてみれば有り得ねえ話だしな。」

「年下で、女だから...?」

「うん。って、そこに困惑されるのはちょっと想定外だぞ。」


そんなとき、階下から昼餉の用意ができた旨のリンの声が聞こえてきた。


「お、昼飯だ。は〜何日ぶりのまともな飯だか。」


アールンはそう言って腹をさすりながら立ち上がって部屋から出ていった。

ソーラは暫くその後姿を見ていたが、やがて自らも立ち上がって階段の方へ歩いていった。



昼餉の献立は根菜と鶏肉を混ぜたご飯に白菜と青菜の漬物という簡素なものだったが、それでも久方ぶりの温かく美味しいご飯は二人の胃に大いに染み渡った。


昼餉の最中にレーミーが戻ってきたが、どうやら干し作業が長引いているらしく、今日服屋へ行くのは無理かもしれないと言われたので、ソーラの買い物は明日に回し、今アールンはエーダの街の散策に出ていた。


エーダを東西に貫く幅の広い表通り沿いには、農具や工具などを売る道具屋や、菓子屋、絹織物や麻織物を売る店、雑貨屋、資材屋、酒楼、医院など、生活に必要なありとあらゆる店が揃っているかのようだった。


街の中央、街の北に位置するエーダムレーグ神殿に続く参道と表通りとの結節点には、かつてこの地を治めていたサンダ王国の代官のものだった大きな屋敷が面している。今はその表が、フージェンの商店である”アドルイェール商会”の店舗となっていた。

高い石造りの白亜の商館は、重厚で装飾の多く施された3重の張り出し屋根を持っている。

その威容は、まさしくいまなお”領主の館”であると言って差し支えないだろう。


(いずれ、ここも見てみるかな。)


一先ず、アールンは商館に背を向け進路を参道、神殿の方へ取った。



エーダムレーグ神殿の南大門、南側の僧坊に埋め込まれるようにしてあるその門は開け放たれていて、参拝者は神殿の前殿までは自由に出入りできるようになっている。

この時間は彼の他に参拝者はいなかった。一人中に入ると、広大な沙石の前庭が広がっていた。

よく手入れされているのだろう。雑草一つない薄灰色の丸石の海の景色は、どこか現実とも思えなくて、彼はその中に一人取り残されたような気分になった。


(人っこ一人いないな。)


賑やかな表通りや参道とは打って変わって境内は静寂そのものであった。

長く隙間のない石畳の一本道を進み、前殿に入る。


薄暗い屋内は吹き抜けの空間となっていて、天井には鳥や雲、その他幾何学模様の彫刻が彫られている。

それらの彫刻はその背後が淡く光っていて幻想的な雰囲気だ。透かし彫りか何かだろうか。


参詣用の祭壇には、以前に来た参拝者が捧げたのだろう香や花、貴金属の装身具や宝石などが置いてある。

この神殿の神体は、サンダ建国神話に登場する聖なる三霊石の一つ、「美」を象徴する”紅玉の霊石”だ。

供物に美容や服飾に関連する物が多いのは、それに関連してのことだろう。


生憎アールンにはそのような持ち合わせはないので、ただ目を伏せ黙して敬意を表した。


再び目を開けた時、彼は隣に誰かが居る気配を感じた。

そっと横を見ると、彼の横には浅黒く艶のある顔の男が立ち、じっと祭壇を見ていた。

その男も彼と同じく参拝に来たのだろうか。そう思いつつ、二人きりなのが気まずくなってそそくさとその場を離れようとするアールンだったが、男は突然口を開いた。


「君は、この神が本当に居ると思うかい?」


その話し方には、エーダのものともワンデミードのものとも異なる不思議な訛りがあった。

アールンは最初自分が話しかけられているとは思わず周囲を見回したが、辺りに誰もいないのを確認すると遠慮がちに答えた。


「さあ...。居るかも知れないし、居ないかもしれない。」


小さな頃に聞かされた言い伝えでは、建国の時代を始めとした国難の時には、然るべき者が霊石を携えて現れ、この地と人々を救ってくれると言われていた。

しかし、仮にそれが存在したとして、現代は建国の時代以上の国難の時代の筈なのに一向に現れないのはおかしい。

その疑念から、彼はその存在を手放しで信じられはしなかった。


彼の曖昧な返事に、男は彼の方を向いた。


「つまり、分からないということかい?それはおかしな話だ。君はさっきこの祭壇に向かって祈っていたじゃないか。」


随分と初対面で馴れ馴れしい奴だな。そう内心で思いながら、アールンはその指摘に答える。


「大事なのは信じる対象じゃなく、それを信じる者の存在でしょう。現実でも虚構だったとしても、それに対しここに供物を捧げて心の拠り所にする人々がいる限り、それは尊重すべきものだ。さっきあなたは私が祈りを捧げていると言ったが、それは少し違う。私はここの神体、この場に対し敬意を払っていたんです。」


その答えを聞いて、男は少し納得したように鷹揚に頷いた。


「ふうん。ま、それも一理あるね。」

「あなたはどうなんだ。居ると思うのか?」


自分だけに語らせるのは不公平だと思い、彼は男にも聞き返した。

すると、男は笑って答える。


「存在はする、と思ってるよ。でも碌なものではないだろうねぇ。...外界を、そこで行われている血みどろの戦を知っている君なら、分かるだろう?」


その言葉に、彼は弾かれたように飛び退って距離を取った。


(外から来たことだけじゃなく、戦のことまで知っている!?)


しかし男は動かず、手を後ろに組んで話し続ける。


「あそこだって同じサンダだろう。なのにここの神はそれらについては知らんぷりだ。独りよがりで、冷たく残酷。敬意を表すに足るかどうかは甚だ疑問だねぇ。」

「お前、何者だ。」

「...まあ、この街を()()者、とでも言っておこうかな。」


その時初めて、彼は男の頬に紅い刺青のような紋様があることに気づいた。

その紋様が何なのかは彼の知るところではなかったが、どういう類のものであるかは直感的に予想がついた。

そして、この男の正体も。

しかし、男、フージェンは、アールンの返事を待たずに前殿の外へ歩いていく。出る間際、男はこう言い残した。


「ああそうだ。奪いたいのなら、いつでも受けて立つ...と、君の相方さんに伝えておいてねぇ。」




悶々とした気持ちで、アールンは神殿の南大門を出、参道の往来の中を進む。


いつの間にか日は傾き、通りは仕事場から帰る職人や奉公人、夜飯の用意のために奔走する使用人たちなどで昼間とは趣向の違う賑わいを見せていた。


門限間近なのか一目散に参道を横切って走っていく子供たちの一団を避けつつ、彼は歩きながら先の男のことを考える。

おそらくフージェンであろうあの男は、顔は整い物腰は柔らかく親しみ深そうではあったが、彼はその内にどす黒い何かを感じた。

どこか、そのまま信じてはいけないと理性が警告を発する、蠱惑的な雰囲気があの男にはあった。


それに、男は自分たちの来歴を知っていた。

チロン峠の戦いからこの街に来るまで、会った人間といえばせいぜいあの襲撃者ぐらいであったし、それも息の根を止めたので、エーダへ情報が齎されようがない。


ひょっとすると誰か、いや、何かが斥候か追跡者の役割を果たしていて、自分たちの動きがあの男に筒抜けだったとしたら...?

極めつけは、最後の意味深な男の台詞だ。


(奪いたいのならって...何をだ?ソーラは何か知っているのか?)


話が全く見えてこず手詰まりを感じていた所で、彼の行く手を突然三人の若い男たちが阻んできた。


「...?」


脇に避けていこうとすると、「おい、どこ行くんだよ。」と言われて押し戻された。


「何だよ。こっちは暇じゃねぇんだけど。」


アールンが苛立ちを露骨に出した声で男たちに言う。


(こいつら、さっきソーラにナンパしてきたチンピラ共か。)


そこでやっと彼は男たちの中に見覚えがある者が居ることに気づいた。

しかし、その全員ではないし、知らない顔もいた。


「いいじゃねえか、ちょっと話があるんだよ。こっち来い。」


そう言って、男たちはアールンの肩を強い力で掴んできた。


(数が多いな。目立つ街中だし、素手で戦うとなると分が悪りぃ、ここは大人しくしとくか。)

「わーかったわーかったって。で、話ってなんだ。どこに行きゃ良いんだ。」

「話が分かるじゃねえか。こっちだ。」


そうして、彼は裏通りへ連れて行かれた。

往来の人々は、その様子を同情の目で見ていた。



「おい、こんなに居んのかよ。」


裏通りから更に入った裏路地の先、少し開けた暗い場所で、アールンは15人近くの男たちの中にいた。

皆身体が大きく日焼けしていて、総じてガラの悪そうなものばかりなので、彼はソーラの代わりに自分がこの場でマワされやしないかと少し不安になった。


首魁と思われる男が、彼の文句に対して馬鹿にしたように笑って答える。


「一対一で話そうなんて言ってないぜ?でよ、話ってのはお前の女のことなんだけどさあ。あの子、俺達にくれない?」


良かった。自分の尻の心配はしなくて良さそうだ。

一安心したアールンは、この受け入れられない要求に対して取り敢えずお茶を濁してみることにした。


「何を言ってるのかよくわからん。」


すると、そばにいた男が彼の頭を掴み、顔を近づけ変な匂いのする息を彼にかけながら話してきた。


「だからさぁ、お前の女!一人でいるとこ襲っちゃってもいいけどさぁ、もしここに持ってきてくれたらぁ、俺達が楽しむところに混ぜてやっても良いって話だよ!!」


聞けば聞くほどクソみたいな要求だ。まるでソーラをモノみたいに言いやがる。

しかし、ここで考えなしに反発すれば、きっともっと酷い結果になってしまうだろう。

彼は一計を案じた。


「...ああ、つまり、皆で仲良く共有する輪に寛大にも俺も加えてやろうってことか。」

「そうだ。悪い話じゃねえだろ?」


首魁の男がそう言うのに、周囲が笑う。


「そうだな、確かに悪い話じゃねえ。よし、乗った。」

「は?」


あっさりと言うアールンに、男は思わずそう聞き返した。

自らの女を守るために慈悲を懇願してきたり、或いはやけになって数差に構わず暴れ始めるかと思えば、この茶色がかった黒髪の青年はおおよそ自分の女のこととは思えぬほどあっさりと手放して見せたのだ。


「こんな裏に連れ込んで、何されんのかと戦々恐々だったが、別に大した話じゃねえじゃねえか。それならそうと早く言ってくれよ。」


これが負け犬の虚勢であれば、男はその程度では動じないが―


(何なんだよこのイカレ野郎!)


目の前の青年からは、そういった雰囲気が微塵も感じられない。本当にこれを良い話だと思っているかのようだ。


「お、おい、あれはお前の女なんだろ?」

「あのな、そもそも俺とあいつは旅仲間以上の関係じゃねえんだよ、なんならちょっと気に入らねえ所もあるしな。だから、別にあいつがどうなろうがどうでもいい。ま、顔はいいから楽しめはするだろうけどな。」


アールンはそう畳み掛ける。最後以外の部分はほぼ事実だが、事実は道具だ、重要なのは使い方である。


「それで?俺はあいつを()()でここまで連れてくれば良いのか?」

「お、おう、ん?いや待て。お前だけ行かせるとトンズラされるかもしれねえ。ここは俺直々に行って品定めしてやる。」


そう宣言した男に、取り巻きが茶々を入れる。


「ちょっと大将〜!そう言ってつまみ食いしないで下さいよ!」


それに便乗し、アールンも発言する。


「確かに、一人だけってのは色々と危なっかしくないか。もし現地で俺が裏切ったら、お前は一対一で戦うのか?いや、彼女だって戦えないわけじゃないからニ対一になるな。」

「そ、そうだな!じゃあ俺含め三人で行く。フーロ!ジェタ!行くぞ!」

「「ウッス。」」


首魁の男は取り巻きの中からとりわけ忠実そうな二人の男を選び出した。

そのうち特に身体が縦にも横にもデカい男の圧力にアールンは若干気圧されながらも、それは噫にも出さずにおどけたように言った。


「ほう!随分と心配性なこって。」

「へっ言ってろ。これで裏切れねえな。」




(一先ず、全員で攻めてくるような事態は何とか防げたな。そんな事されたら流石にどうしようもねえけど、この数を奇襲すれば全然戦える。)


三人を連れて街中を遠回りしつつ歩きながら、アールンは心のなかで言う。


(フン、気色悪い、魔物と大差ない奴らだ。人の言葉を喋って街中に居る分魔物よりタチ悪ぃんじゃねえか。)


しかし、残る問題は数を絞って3人まで減らしたこの()()()をどう処理するかだ。

剣は物騒で目立つからという理由で部屋に置いてきてしまった。

それに、この街で殺人を犯したらどのような制裁が待っているかも未知数だ。こんなに平和ボケしている街なんだから、下手をすれば暴力沙汰でも駄目な可能性だってある。


(詰まる所、殺しは無し、できる限り穏便に無力化か...。こっちの無実の証のために味方になってくれそうな目撃者も欲しい...。こりゃ骨が折れそうだ。)


それに、相手だって十割こっちの思い通りになる相手ではないだろう。特に、首魁の男が連れてる2人の用心棒、あれらは見てくれだけでも手強いと分かる。


(となれば、まずは頭をやるのが良さそうだよな。)


頭数の面でも、統率の面でも。


「おい、いつになったら着くんだよ。」

「おっと、こっちじゃないな。すみませんね、まだこの街にはあまり慣れてないもんで。」


そう言って、アールンは今まで歩いてきた方向とは逆方向の、ソーラの待つレーミ―宅まで歩き出した。




トラーウェム家に帰ってきた時、庭ではリンが掃き掃除をしていた。

ひっつめ髪の下女はアールンを見て安堵の表情を浮かべたが、すぐにその顔は彼の後ろに続いてきたガラの悪そうな男たちを見て警戒のそれに変わった。

手を払ってリンに中にいるように言うと、次に母屋の2階へ向かって声を掛けた。


「おーい、ソーラ。アンタにこの3人が用があるんだってよ!そっからでいいからちょっとこっち見てくれ。」


すると、開けっ放しになっていた窓からソーラが顔を出した。


「何ですか...って、誰?」と、彼女はアールンの後ろの3人を見て困惑したように言った。


そうか、そう言えばこの3人は昼間にソーラをナンパした人間たちではなかったか。

そんなことを思い出しつつ、アールンは3人の後ろへ移動する。


案の定、全員ともソーラの方へ注意が向いている。

機は一瞬。逃してはならない。


彼は真ん中にいた首魁の男の背中の中心に意識を集中させ......そこをつま先で一息に蹴った。

だがしかし、男は倒れなかった。


否。倒れる速度が異様に遅かった。


(これは...!どうやら運が回ってきたみたいだなぁ!)


彼だけが知覚できる世界。この状態は、別に本当に周囲の時間が遅くなっているのではない、と彼は考えていた。

これはおそらく、自分の感覚と体の働きが極限まで研ぎ澄まされ加速した結果であり、傍から見れば彼のほうが超高速で動いているような状態なのだろう。


つまり、この状態で繰り出される拳や足は、矢のごとく速い。

ただ小突くだけでも十分に凶器たり得る。


間髪入れず、アールンは取り巻きの一人、確かフーロと呼ばれていた身体が小さく飛びやすそうな男に狙いを定め、その背に思いっきり殴打を加えた。


(よし...!これなら勝てる!)


しかし、それは彼の油断だった。

フーロの吹っ飛ぶ速度がどんどん上昇していっていることに気づいた彼が周囲を見回すと、既に時間の進みは常態に戻っていた。


「やべっ切れた!?」


思わずそう口に出したが、その直後に轟音を上げて首魁の男と取り巻きその1が母屋の外壁に激突し、動かなくなった。


アールンは最後に残った取り巻きその2を見て、自分がある意味賭けに負けたことを理解した。

ジェタと呼ばれていたその恰幅のいい男は、首魁の男と仲間が伸びても尚戦意を失わず、その怒りに満ちた細い目をアールンへ向けた。


「お前、裏切った、な?」


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