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青炎紀  作者: 二十二郎
〈2〉破魔之役:金剛の従者
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8 失踪

地下施設の入り口に戻ってきた頃には、ノルンの姿は消えていた。

巨大な扉がひとりでに開くと、外ではどよめきが沸き起こった。


「殿下、剣は…。」


真っ先に声を掛けてきたアルアータに、アールンは懐から”護国の剣”の青黒い柄を出して見せた。


「これは…。」

「これが、聖剣の”柄”だそうだ。そして、あんたを締め出したあいつは、これに宿る…付喪神みたいなもんだった。」

「はぁ…しかし、”柄”だけなのですか?その、刃は…。」

「それは…あまり詳しいことは言えないが、まずは”金剛の霊石”をここに持ってこねばならんようだ。話はそれから。」


アールンは伸びをしながら歩き出し、後ろにアルアータ、ソーラ、メウナが続く。


「持ってこなきゃならんとしたら、結局”従者”探しもしなきゃだよな…。”秘所”の奪還も終わったことだし、そろそろ南への旅を再開するかねぇ。」

「ですね。」とソーラが相槌をうった。


「あなた達、これから南に行くの?」


メウナの問いに、アールン達三人は頷いた。


「じゃあじゃあ、一度ナーレンダムにおいでよ!きっと皆も喜ぶと思うな~。」

「ああ、それはいいかもな。」

「ちょっと、アールンさん旅の主目的忘れてません?」


メウナの提案を二つ返事で受け入れかけたアールンに、ソーラがそう苦言を呈した。


「主目的…?」

「…此度の旅は、そもそも南の王太子女殿下の元に行く為でありました。」


アルアータの言葉に、アールンは「ああ、それか。」と手を打った。


「やっぱり…。」と、ソーラが呆れ気味に。

「いやでも、休みなしで”サンゼール(中原)”渡り切るのは大変だろうし、中継地として寄るぐらいはアリだと思うぞ?」

「”王太子女”…もしかして、それってアールンのお姉さんってこと?」


メウナの疑問に、アールンは頭を掻きながら答えた。


「ん、ああ。正確には、”異母姉”ってやつだな。今は南の…エルマード山脈の更に向こうの地を治めているらしくて、一応目上だから、こっちがご挨拶に出向かなきゃならんらしい。」

「え~、でも、そのために危ない中原を渡らせるって、そのお姉さんも鬼だね。」

「一応海路って選択肢もあるにはあったんだが、そっちはそっちで大変そうだったからな…。」


陸の脅威は、戦える面子で固めれば突破も不可能ではない。しかし、船上の脅威は逃れようがない。それらを天秤にかけ、前者が選ばれたのだ。


「ふうん…。じゃあ、私もついてくよ!」

「どうした、藪から棒に。」

「私、中原の土地勘なら結構あるからさ。いい道とか危ない場所とか色々知ってるよ。ここはひとつ案内役ってことで、どうかなどうかな。」

「ふむ…。」


何だか懐かしい感じのする誘い文句だ。

それに、彼女の提案も至極もっともである。


「お心遣いは大変有難いんですが…私たちは、あなたの身の安全までは保証できません。それは危険すぎます。」と、そこでソーラがやんわりと断ろうとした。

「そこは大丈夫!私だってちゃんと戦えるんだよ?ナーレンダムからは一人で来たんだし。」

「しかし、ご家族が心配なさるのでは?」

「それはまあ…街に帰ってから相談するよ。多分納得してくれると思うけど…。だから、取り敢えずそこまでは、ね?」

「むう…でも、脅威は魔物だけじゃない、私たちの命を狙う賊も沢山居るんです。巻き添えになってしまかもしれませんよ?」

「大丈夫、自分の身は自分で守れるって!」

「むむむ…しかし…。」


尚も食い下がろうとするソーラを、アールンは不思議そうに見つめた。


「おい…どうしたんだよ。戦えるってんなら、別にいいだろ。」

「いや…でも…。」

「それに、案内役としての彼女の価値は認めるべきだ。そういえば、昔誰かさんが同じような理由でついてきたことがあったな。」

「ッ…今それは関係が…!」


アールンのわざとらしい口調に、ソーラは露骨に頬を赤らめて歯噛みした。

事情を知らぬアルアータやメウナは、唐突なソーラの動揺を見て、不思議そうに顔を見合わせた。


そこへ、大門の前でいつまでも話し込むアールン達に我慢しかねたのか、レイサとオルイが歩いてきた。


「いつまで話してんだい。剣が取れたなら、一度”里”に戻――。」


レイサの小言は、不自然なところで途絶えた。


彼女の表情は徐々に歪んでいき、力を振り絞って背後に振り向こうとするも、途半ばでどさりと地面に倒れ伏してしまった。


その背中、大きな双翼の間には、白く光る金属の”大針”が刺さり、彼女の背中を赤く染めていた。


「は!?何――。」


刹那、”秘所”に数多の煙幕弾が降り注ぎ、次々に炸裂。場が瞬く間に阿鼻叫喚の事態に陥る中、アールンは煙幕の粉塵が目鼻口に入って(むせ)こみつつも、このようなくぐもった声を聴いた。


「回収するのは従者だけだ。あとの者はこちらで処理する。」

「は…?」


それから程なく、ドカドカという乱暴な足音といくつかの剣戟の音、そして呻き声や血しぶきの音が灰色の煙の向こうから響いてきた。


「ッソーラ!?大丈夫か!?おい、返事しろ!!ソーラ!!!」


彼は真っ青になって叫んだが、煙の向こうからの返事はついぞなかった。

背筋に悪寒が走る。


「クソッ!クソックソックソッ!!」


何度も悪態をつき、必死に煙幕をかき分けながら、アールンは自分が第一に守らなければならぬ人の姿を探し求めた。


これでは、あのハニスカへの旅のときと同じだ。

何故、彼女なんだ、何故、いつも自分ではなく彼女なのか。

連れ出したのは他でもない自分自身なのに、何故いつも危うくなるのは彼女の身なのか。


嘘だ、嘘だと言ってくれ。




煙が晴れてくる頃には、辺りは静まり返っていた。


アールンの近くでは、メウナとアルアータが背中合わせで剣を構え、周囲を警戒していた。


そして、ソーラの姿はどこにもなく、”産花”の近くではネユーカの戦士達が血を流しながら倒れていた。


そして、”秘所”の中央、少し前には”ディアネタック(人面馬)”が居座っていたちょうどその位置には、見覚えのある老夫婦が立っていた。


「テメェら…!!」

「ッ貴様ら!」


吠えるアールンとアルアータに、アラートは嘲りの笑みを浮かべた。

その脇に控えるヨウナは、相変わらず無表情である。見た目は細目の老婦人そのものであるだけに、その乖離がなんとも不気味であった。


「ふっふっふ。驚きましたかな?しかし、ここで驚かれては身が持ちませんぞ。」

「何だと…!?」


その時、ムルヤ夫妻の左右に赤い渦が巻き、新たに六人の黒装束が現れた。

彼らはそれぞれ手甲鉤や(まさかり)、大鎌、円環刃、短槍、棍棒などを携えていた。


ムルヤ夫妻を加えて向こうは八人、こちらはメウナの戦力を足し合わせてもいいところ三人。加えて、こちらはソーラが失踪…おそらくは誘拐されたことに対する心の動揺もあり、どう考えてもこちらが不利だ。


「ここで殺せとの厳命が下っていますのでね。…来世は、王族に生まれぬことを願うことですな。」


アラートは剣を抜き、アールンに突き付けた。

そして、ヨウナが両手を天に掲げ、こう高らかに宣言した。


「我が”シャール()”よ、汝が威を示さん、我らに力を。」






魔気を纏った大鎌の薙ぎ払いをすんでのところで身を捻って避けるや、そこで生まれた隙を的確につく短槍の一撃がやってくる。かろうじてそれを撥ね上げて短槍使いに肉薄しようとしても、今度はその脇からアラートの剣が襲ってくる。


誰かひとりに注力して攻撃しようとしても、他の仲間が横やりを入れて全く決定打に至れない。


戦況は、アールン、アルアータ、メウナの三人とも、ほぼそのような状況であった。


幸いなのは、敵も「適切な」戦力配分を行っているらしく、アールンが相手しているのは大鎌、短槍、アラートの三人、アルアータの相手は手甲鉤、棍棒、ヨウナの三人、メウナのところには円環刃と鉞の二人という構成になっていたことだ。


劣勢なことには変わらないが、例えば八人全員で真っ先にメウナを狙われるなどをされていれば、一人当たり四人を相手することになる。こちらは為すすべなく各個撃破されていただろう。


これは、向こうの余裕の表れにほかならない。


(くっそ…足が重くなってきやがった。)


息が上がり、傷が増え、思考が雲がかってくる。

終わりの見えぬぶつかり合いに、四肢が悲鳴を上げ始める。

それでも、複数の俊敏にして強力な敵を前に、頭をフル回転させながら立ち回らなければならないのだから、体だけでなく頭も熱を持ち、殺気を帯びた嵐の中でその働きが徐々に鈍くなっていく。


やがて、彼は条件反射のみで動くようになってしまった。



(”超集中”も、全然起こらねえし…。)


刃や穂先を弾き返しつつ、アールンは度々その発動を試みていた。

しかし、反射や受動と”集中”は違う。

むしろ、度重なる側方からの攻撃や魔術による超常の攻撃に、彼の意識はかき乱され続けていたのだ。


立ち止まって集中を増そうものなら、すかさず誰かが致命ギリギリの攻撃を放ってくる。


(ほかの奴らは、大丈夫か…?)


アールンは一瞬の隙を見つけ、アルアータやメウナの戦っている方を()()()()()()()()()()()()


「よそ見なんて、妬いちゃうじゃない。」


その時、凶悪な得物に似合わぬ華奢な声と共に、大鎌使いの黒装束が首筋めがけて大ぶりの斬撃を放ってきた。

被りを深く被っているため顔は分からないが、どうやらかなりの若年の女のようだ。


「くっ!!」


彼は頭を下げ辛うじてそれを回避し、髪の毛に強い風圧を感じた。

だが、そこで彼は右手から短槍使いが放ってきた石突による打撃をモロに食らってしまい、続く体当たりと殴打とで一気に吹っ飛ばされてしまった。


「ッ殿下!?」

「アールン!!」


彼は音を立てて、地下施設入り口前の階段下に墜落した。近くにいたアルアータやメウナもそれに気づいて足を止めてしまい、二人も彼の近くに突き飛ばされてしまった。


地面にうち伏し、口内に血の味を感じながら立ち上がろうとするも、最早三人の体は限界を迎えてしまっていた。四肢は脱力し、動くことすらままならない。


「クッソ…。」

「ぐう…。」

「い…嫌…。」


血まみれで呻き声を上げる三人を見下ろしつつ、アラートはアールンの前に立ち、刑の執行人のような無表情でこう言った。


「今、断罪は成った。」


しかし、そうしてアールンに突き立てられんとした剣に、突然何者かの矢が当たり甲高い音を上げた。


「…何者ですかな?」


矢の飛んできた方向には、小ぶりの弓を携えた黒ずくめの人物が立っていた。

その人物は弓をコトリと地面に置き、腰から見覚えのある曲刀の双剣を抜いた。


「ああ、あなたでしたか。どうもお久しゅ―。」


アラートは微笑んでそう言ったが、その言葉が言い終わらぬうちに、老人の喉には曲刀の刃が突き立てられた。


「なっ…何故…ゴポッ。」


空いていたもう片方の曲刀もアラートの胸に突き立てられ、老人は力なく剣を落とし、その場に崩れ落ちた。


それから、黒ずくめの男の動きは曲刀を自由自在に操り、瞬く間にヨウナや援軍の黒装束たちを切り裂いていった。それは、アールン達が一対三で戦っていたときとも比べ物にならぬほどの圧倒的な殺意の暴風、死の舞踏であった。


「チッ何なんだよ…。」


幸運にも最後に残った大鎌使いは、味方の回収もあきらめ、ただ一人赤い渦に包まれて姿を消し、場には呆気にとられて地面に寝転ぶアールン達3人と、倒れているネユーカ達の様子を見つつ、各所に倒れる黒装束たちにとどめを刺して回っている黒ずくめの双剣使い…”荒野の魔王”のみが残された。


「ひっ…。」


荒野の魔王が三人に近づいてくると、メウナが思わず慄いた。

しかし、それを意に介さずに魔王はアールンに手を差し出した。


「ほら、立て。」

「お、おう…。」


アールンは笑いだす足を押さえて立ち上がり、一つ息をついた。

そこで、彼は”荒野の魔王”がアールン以外を放置し、戦闘開始時に地面に置いた弓を取りに戻っていったことに気づき、怪訝な顔をしつつもアルアータとメウナの手を取って立たせた。


「あんた…何で助けたんだよ。」

「何だ、不要だったか。」


アールンの問いを、魔王は鼻で笑いつつそう返した。


「いや…。でも、あんたは向こう側、なんならこいつらはあんたの部下なんじゃないのか?」

「…。」

「この襲撃も…ソーラを攫ったことも、全部あんたの指示なんだろ!?」


怒りに満ちた声で詰問するアールンにも魔王は動じることなく、相変わらずの超然とした態度でこう答えた。


「言いたいことはそれだけか。」

「ッ…テメェ…!」


激昂するアールンをよそに、魔王は弓弦を調整しながらこう言った。


「”従者”が連れていかれたのは南だ。行きたいなら行け。」

「ッ!!…そんな言葉で、俺を嵌められると思ったら大間違いだぞ…。」

「フン、ならばどうする。」

「…一度北に戻る。どうするかは、その後決める。」

「大事に思う女の危難に際して、それでもそれに背中を向けて安全策を採る…か。お前がその程度の男だったとはな。」


そして、魔王は瞬時にアールンの目の前に移動し、低い声でこう言った。


「…私を疑いたいのならば、好きにすればいい。それがお前にとって真に納得のいく選択ならばな。」

「くっ…。」


「…ねえ、アールン。私、この人を信じてみてもいいと思うんだ。」


そこで、メウナがおずおずと声を上げた。


「私、思うの。この人、多分嘘は言ってないって。それに、アールンはソーラさんを助けたいのよね?」

「…ああ。」

「だったら、それには正直になるべきだと思う。どのみち南には行くつもりだったんでしょ?」


アールンはこくりと頷いた。


「なら、その道中で探そうよ。私も手伝うからさ。ソーラさん強いから、絶対どこかで生きてるはず。だから、見つけて助け出して、みんなで一緒に、アールンのお姉さんに会いに行こ?」


メウナの言葉は、アールンの心の奥底まで響いた。


そうだ、ソーラは別にここで殺されたわけじゃない。生きてさえいれば、奪い返しにいくことだってできる。

そして、この”魔王”の言葉を信じるのはまだ少し気が進まないが、それ以外に行方の手がかりも無いのもまた事実。


ならば、今すべきことは一刻も早くソーラを見つけ出し、救出すること。

それが原因を作った張本人としての贖罪だ。


「…わかった。」


アールンは顔を上げ、アルアータの方を向いた。


「あんたは、このことをエーダに報せてくれ。」

「携帯霊信機は…従者様の元でしたね。承知仕りました。」

「ここからエーダまではかなりの距離がある。あんた、確か前に俺のクルキャスに乗ってたことがあったよな。あいつを使っていい。俺はソーラの馬を使わせてもらう。」

「…よいのですか。」

「急ぐには、そうするしかないだろ。」

「その必要には及ばんよ。」


唐突に、彼の背後から声がした。

見ると、驚いたことにそこには、真っ先に大針に刺し貫かれて倒れたはずのレイサが立っていた。


「え…あんた、死んだんじゃ…。」

「死にかけたけどね。でもさっき、何故か針がひとりでに抜けて傷も塞がっちまって、いまはこの通りさ。」


そう言って、彼女は腕を上げてこぶしを握って見せた。

見れば、周りに倒れていたネユーカ達の幾人かも立ち上がり、皆自らの傷の不在に驚いていた。その光景を、三人は何が起きているのかわからずぼーっと眺めていた。


「でも、必要ないってのは?」

「私たち”大翼”は、人一人ぐらいは背中に乗せて運べちまうのさ。いまからすぐに飛べば、明日の夜明けぐらいにはエーダに着けるはずだよ。」

「それは、しかしいいのか?」

「いいさ、”盟友”の頼みなんだからねぇ。それに、こんな小娘一人運ぶのを嫌がる様じゃ、仲間に示しがつかないよ。」

「…はぁ。」


そんなことを言いながらアルアータの肩をたたくレイサに、アルアータは少し不満げにため息をついた。




”秘所”の洞窟の入り口にも、警備のネユーカ戦士たちの死体が転がっていた。

恐らく、あの襲撃者たちの手によるものだろう。


「では、お頼み申します。」

「はいよ。この真ん中に乗っておくれ。おぶる感じで。」


レイサはそう言い、しゃがんで翼を広げた。それを受けて、アルアータは意を決してその背に背負いこまれた。


「頼んだぞ。」

「は。」

「じゃあ、しっかり掴まっておくんだよ。」


そして、二人は空に飛び上がり、一路北の空に飛んで行った。

その様子をしかと見届けたアールンは、メウナに向き直った。


「俺たちも行くぞ。その…あんた傷は大丈夫か。」


先ほどの戦いで、彼女はアールン以上に体や顔の至る所に傷を受けてしまっていた。


「大丈夫だよ。それで…詳しい行方が分からないから、まずは情報集めからかな。」

「…そうだよな。おい、あんた何か知らないか?」


アールンは着いてきていた”荒野の魔王”にそう問うたが、魔王は首を横に振った。


「んだよ使えねえ。」

「ちょっとアールン…。」

「まずは、ナーレンダムという街にでも行ってみたらどうだ。ヘローラム川の上流にある、中原の物資と情報が集まってくる場所だ。」

「あ、確かに!」


魔王の提案に、メウナが目を輝かせた。冷たい目で彼女を見る魔王をよそに、メウナはアールンの手を握ってこう言った。


「ね、そうしよ?」

「分かった。急ごう。案内頼む。」

「りょーっかい!」


そうして、アールンはソーラのネルトレイフに、メウナはクルキャスに乗って、魔王に別れを告げた。

ネルトレイフは人見知りのケがあるらしく、一緒にいる時間がそこまで長くないメウナに若干の警戒心を抱いてしまったため、そうしたそぶりを見せなかったアールンのクルキャスの方に彼女を乗せたのだった。


(あんたのご主人は、俺がすぐに見つけてやるからな。)


その思いを込めて、彼は森の中を進む馬上から、ネルトレイフの黒い毛並みの馬首を静かに撫でた。

そして馬に拍車をかけ、二人は山間の針葉樹の森の中を駆けていった。


(頼む、無事でいてくれ…ソーラ…!)


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