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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

だって、可能な限り全ての要求を叶えてくれるって言うから!

作者: おふとん

どうやら私は、自らの幸福が国に繁栄をもたらす癒しの力を持ったご都合主義の聖女になったらしい。


「ほ、ほんとに、ほんとの本当に旦那様をこの方達の中から選んでいいんですか?しかも、私の望みも叶えてくれると?」


「勿論。王家の後ろ楯で浮気等もさせぬ、安心してこの国で婚儀を挙げて欲しい。」


聖女召喚された御年三十路一般通行人の私は歓喜した。

やった!!仕事行かなくて良いんだ!!結婚を焦らなくていいんだ!!一人暮らしの安アパートで何ヵ月も干してない煎餅布団で寝なくていいし、自炊の為に貴重な体力を消費しなくていいし、合法的に休める!!免罪符付きで休める!!ネコチャン飼いたい!!!


色々限界だった私は召喚後のお偉方からの懇切丁寧な説明で混乱の極致に立ち、休みたい心と体を引きずりながらメリット一杯の国政を聞かされて夢のような欲望をそのまま暴走させた。


「アッ、アッ、アッ、じゃ、じゃあ!じゃあ!細マッチョさん!えっと、細いけど筋肉ある人!この中にいますか!」


半数が手を上げたので、その中から更に絞り混んでいく。その様は「ヘイ、shi○i」と今晩のおかずを絞り混んでいくようだった。


「アッ、アッ、アッ!じゃ、じゃあ、じゃあ!髪色別に分かれて欲しくて!自分の好みとか分からないから!ちょっと選びたくって!」


商品を陳列して野菜を吟味するおばちゃんの様相で男性達をジロジロ見ては、うーむこれじゃない……等と流し見ていく。

普通なら人間性とか、社会的地位とか、そういう色々を考えるのだろうけれどこの時完全に夢見心地だった私は欲望のままに行動した。


「うわ、このお兄さんとってもえっち……この人とっても精悍……うわあぁ……」


陳列された商品を吟味されている側はとても不愉快だっただろうとその後大変な後悔をするのだが、この時の私はなんにも考えずヤベー喪女を披露していた。


「清潔感のあるカッコイイ人か、えっちなおにーさんか……うむ……あっ、いや、やって貰えるならやって欲しいことがある!決めました!!」


「…………左様か、どの者を伴侶にいたす?」


「こっちのえっちなおにーさんをください!!」


何度もえっちなおにーさんと言われた人は絶望感たっぷりの表情で王様に懇願する視線を送っていたようだが対人能力の低い私は何も気付いていなかった。


「それで、お願いを聞いて貰えるんですよね!私、このおにーさんに日常的にえっちな女装をして欲しくて!言葉遣いも女性的に!すね毛は剃っても剃らなくてもいいんで!!」


「そういった趣向はお互いによく話し合うとよい。王家は貴殿達の婚姻を認め、祝福しよう。」


「いえ!是非、後ろ楯になって願いを聞いて欲しくて!私、結婚して子どもも産みますけど、このおにーさんにはこっちのカッコイイおにーさんと週1でいいから私の前で是非!是非是非!えっちしてほしくて!リバが好きなので掘り合って欲しいんです!場合によっては人数も増やしたいなって!ここで決めないといけないならメンバーすぐ決めますから!

わああ、夢みたい!あっ、もしかしてアレも出来る!?男根連結ダンス!何人必要かな……。その時の為だけに人数確保しておこうかな……。お尻の拡張も必要だもんね。最低30人は必要かなあ?1、2……


あっ!ちょうどここにいる人たちで足りそう!王様!ここにいる人達のお尻の開発がしたいんです!私の目の前で乱行パーティーして欲しくって!見るだけ!参加しない!!企画と演出したいだけ!!


もし良ければ自分の父親と禁断の近親相姦プレイとかも見たくって!だれか関係ある人いないですか?みんなカッコイイからお父さんもきっとカッコイイでしょ?絶対素敵だと思うんです!


すごい……たのしい……!こんなに興奮するの久しぶりすぎる……!えっちなおにーさんと結婚して、日常的に官能的なBLを見れて、男達の、ドキッ☆乱行連ケツ白濁噴水パーティーができるなんて……!


あ、えっちなおにーさん、ご兄弟いません?私、家で親の居ない間にコッソリ毎日のように体を貪り合う関係って大好きなんですけど……。」



「陛下!!!!貴重な機会を頂き誠に感謝の意に耐えません!!ですが!!大変申し訳ないのですが!!!!!この場、この機会を辞退したく!!」


「私も辞退したく!!!」


「私もです!」



そう大声が大反響して耳を塞いでいたらいつの間にか全員が玉座の間から出ていってしまった。嘘でしょ?


「……えぇ???あっ、王様、もしかしたらもっと出てくるかも知れないんですけど、取り敢えずさっきの条件を叶えてください、宜しくお願い致します。」


ペコリと頭を下げると王様は目眩を起こしたのか真っ青な顔色で心配になってしまう。

逆に今まで一言も喋らなかった王妃様はちょっと気の毒そうな感じで私に話しかけてくれた。


「全員を巻き込むのはやりすぎです。」


「でも願いを叶えてくれるんですよね?私、浮気しませんよ?」


「お相手に相手をあてがうくらいが妥協点だと思います。家族関係を変えるのは危険です。父親には妻もいますし、兄弟には婚約者や妻がいますから。」


「なるほど……。取り敢えずさっきのえっちなおにーさんが気に入ったので宜しくお願いします。国でも選りすぐりのメンバーなんですよね。きっと幸せになれると思います。女装と女言葉、私は教える事が出来ないのでお任せしたいのですが。」


「絶対の条件なのですか?」


「たまに出る男らしい言葉にキュンと来るんです。普段はしなのあるえっちなおねーさんになってて欲しいです。私の前だけでなく、普段から。」


「……一度卿に確認をとり、説得を試みます。しばし城の客間でお待ちください。お疲れもあるでしょう、今は体を休めることやこの国について学んで頂けるとよいかと。」


「はい。ありがとうございます。」


ペコリと頭を下げて、やってきた女性の案内に従い着いていく。

客間は広いし、なんだか全部が高級そうだし高級なんだろう。

『ヒェ……こわ……』なんて考えつつベッドの上に乗る。

万年寝不足の体は堕ちるように眠りに溶けた。

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