おいら、冷蔵庫
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
おいらは、冷蔵庫。
白くてでっかくて、音がちょっとだけうるさいやつ。
でもな、それでもこの家族の“まんなか”にいたんだ。
最初にこの家に来たのは、昭和の終わり。
ピカピカの新品で、キュルキュルと音を立てながら、胸を張って立ってた。
そのとき、まだ赤ちゃんだったあの子――
あいちゃんが、おいらのドアをバンバン叩いて遊んでたんだ。
「だめだよ~!あいちゃん、そこは食べ物のおうちだよ~」って、
お母さんのやさしい声が響いてた。
おいらは、牛乳も、プリンも、お父さんのビールも、全部守ってたんだぜ。
あいちゃんが小学生になると、
冷凍庫の中にはアイスが増えた。
冷蔵室には、運動会のための唐揚げが山盛り入ってた。
おいらの前で家族が輪になって、
「今日ね、リレーの選手に選ばれたんだ!」
なんて笑ってた。
お父さんは、こっそりビール飲んで酔っぱらってた。
おいら、見てたんだよ。
全部、そこにあったんだよ。
でも時が流れて、
あいちゃんは高校生になって、
お母さんは疲れた顔が多くなって、
お父さんは転勤であまり帰ってこなくなった。
冷蔵庫の中も変わった。
お惣菜パックが増えて、
賞味期限が切れた牛乳が、長い間眠ってた。
それでもおいらは、
「開けたら、なんかホッとするなぁ」って言われたくて、
モーターが苦しそうでもがんばって冷やしてた。
やがて、あいちゃんは家を出た。
春の日、玄関でスーツケースを持って、
「じゃあね、お母さん」って笑ってたけど、
台所の角で、お母さんは泣いてた。
おいらのドアは、もうあんまり開かれなくなった。
野菜室もスカスカで、冷凍庫は氷だけ。
それでも、おいらはそこに立ってた。
“帰ってきたときのために”って、お母さんが言ったから。
でもある日、
「冷蔵庫、買い替えようか」と言う声が聞こえた。
壊れたわけじゃない。
でも、おいらの冷えはもう少し足りなかったんだ。
おいらは知ってたよ。
このときが、いつか来るって。
業者さんに運び出されるとき、
おいらは最後にキッチンを見た。
あの子が立ってた踏み台。
お父さんがよく座ってた丸椅子。
お母さんの割烹着がかかってたフック。
ああ、いい景色だったなあ。
廃棄場に並べられて、
最後の電源が落ちるその瞬間まで、
おいらの中には、ちゃんとあの家族のぬくもりが残ってた。
おいらは、冷蔵庫。
ただの白くて大きな箱だけど――
あの家族の「日常」をずっと見守ってきたんだ。
だから、もう十分だ。
お役御免でも、悔いはない。
ありがとな。おいら、しあわせだったよ。