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さなぎが孵る

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

その家の奥の部屋には

ひとつの箱が置かれていた

いや、箱ではない

布団だった

分厚い布団が何重にも巻かれ

紐でぐるぐると縛られている

まるで

巨大な繭のようだった

その家に住む女は

毎日その繭の世話をしていた

朝になると紐をほどき

そっと布団を開く

中には、男がいた

いや、男だったもの

身体はひどく縮こまり

関節は固く曲がり

皮膚は蝋のように白かった

長い間

外へ出ていないのだ

その男は

ほとんど喋らない

喉の奥で

小さな息をするだけ

女は

男の口へ粥を流し込む

男はそれを

ゆっくり飲み込む

そしてまた

布団の中へ沈んでいく

まるで

眠っているようだった

いや――

眠っているのではない

育っているのだ

女は、そう思っていた

この男は

ただの病人ではない

何かの途中なのだ

さなぎのように

かつてこの男は

村でも評判の働き者だった

背が高く

力が強く

誰よりも声が大きかった

だがある日から

急に外へ出なくなった

人を避け

部屋へ閉じこもった

そして数ヶ月後には

身体を丸め

布団の中で動かなくなった

医者は言った

「精神の病でしょう」

だが女は信じなかった

これは病気ではない

変化だ

女はふと

物音で目を覚ました

奥の部屋から

かすかな音がする

さわ

さわ

まるで

何かが布を擦るような音

女はそっと襖を開けた

暗い部屋。

月の光が

細く差し込んでいる

布団の繭が

ゆっくりと揺れていた

中で、何かが動いている

さわ

さわ

さわ

その動きは

人の寝返りとは違う

もっとゆっくりで

もっと粘つくような動きだった

女は息を呑む

布団の紐が

少しずつ緩んでいく

誰も触っていないのに

中から押されているのだ

ぐ……

ぐ……

布団が膨らむ

何かが

中で身体を伸ばしている

女は思う

そろそろだ

さなぎは

ずっと同じ姿ではいない

殻の中で

静かに形を変える

そして

ある日

別のものになる

布団が裂けた

細い指が

外へ出てくる

その指は異様に長く

骨ばっていた

次に、顔

男の顔だった

だが

目が違う

深い穴のように暗く

じっと光っている

男はゆっくりと

這い出してきた

女を見た

その顔には

昔の面影が少しだけ残っている

だが

もうそれは人間の顔ではなかった

何かが

殻を破って出てきた顔だった

男は立とうとした

身体が

ぎしり、と鳴る

そして

ぎこちない足取りで

一歩踏み出した

女は

静かに微笑んだ

「ほらね」

小さく呟く

「やっぱり孵った」

男は

しばらく女を見つめていた

そして

喉の奥で

かすかな声を出した

それは言葉ではなかった

だが女には

はっきりわかった

その声は

生まれたばかりの声だった


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