ひらけ、ぼくの世界
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
ぼくはフルーツ缶詰。
パイン、桃、みかん、そしてシロップ。ぎゅっと詰めて、365日常温保存。
賞味期限は3年。だけど、冷蔵庫には入れなくても平気さ。
生まれてすぐ、工場のベルトコンベアを旅して、ピカピカのラベルを身につけて、段ボールに詰められた。
その日から、ぼくの“待つ時間”がはじまった。
スーパーの棚、誰かの買い物カゴ、そしてやがてたどり着いたのは、町外れの小さな家。
床の軋む音が優しい、ちょっと古びた台所。
そこからは、ずっと戸棚の奥。
電気も届かない場所で、ぼくは静かに時間を抱いていた。
何度も冬が過ぎ、春が来て、
近くの戸棚のスナック菓子たちは、賞味期限が切れて捨てられていった。
でも、ぼくだけはずっと、まだ“開けられない”。
「これは非常用なのよ」
ある日、女の子がつぶやいた。
「ママが大事な時にだけ開けていいって言ってたの。だから、ずっと取ってあるの」
非常時って、なんだろう。
泣いてるとき? 怒ってるとき? それとも、笑えなくなったとき?
そうしてまた時が流れた。
ある日、女の子が台所に戻ってきた。
もう背は大人と同じくらいになっていた。
手には、缶切り。
そして、ぽつりとつぶやいた。
「ママがね……今日、旅立ったの。天国に」
それだけ言って、静かに缶切りをぼくの頭に差し込んだ。
キィ、キィ……
蓋がゆっくり開いて、光が差し込む。
「久しぶりだね。私、ちゃんと生きてるよ」
ぽたん。ぽたん。
ぼくの中のシロップに、小さなしずくが落ちて混ざった。
その日、彼女はスプーンでぼくをすくい、空を見ながら食べてくれた。
「甘い……でも、ちょっとだけ、しょっぱいかも」
そう言って、笑った。
ぼくはもうすぐ空になる。
でも、その笑顔と一緒なら、もう十分。
やっと開けてもらえた。
やっと、君の“非常用”になれた。




