秋の空に溶けて
＊この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の（強制）ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物（アルコール的な物は大歓迎）とすきな煙（火をつけるものならナカーマ）を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください（小並感）
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ～よろしくお願いします（小並感）
翔は家の玄関を蹴るように飛び出した
「勉強しなさい」「進路のことを真剣に考えなさい」
──母の声が耳の奥にまだ残っている。父の「お前はまだ子どもだ」
という冷たい一言は胸に鋭い棘のように突き刺さった
夕暮れ前の風は冷たく、空は鉛色に沈んでいた
雲は重たく垂れ込み、時折吹き抜ける風が乾いた落ち葉を舞い上げる
カサカサと地面を走るその音が、自分の張り裂けそうな心の鼓動に重なった
歩道橋に立ち止まる。見下ろせば車の列が赤いブレーキランプを点滅させ、
まるで都会の血管のように流れている
翔はポケットからスマホを取り出し、震える指で音楽アプリを開いた
流れ始めたのは《A Remark You Made》
ベースが深く沈み、重たい雲を支えるように響く
サックスの旋律は遠い夕焼けのように柔らかく、それでいて寂しげに空を撫でていく
その音色が、翔の心に直接触れた
「子ども扱いするなよ……」
声にならない声が唇から漏れた
本当は、ただ「わかってほしい」だけだった
未来を不安に思っているのは
親だけではない。自分だって、誰よりも怖いのだ
進む道が見えない暗闇の中で足踏みしている気持ちを
誰かに伝えたかった
曲はゆるやかに進み、ベースは地を這いながらも確かな道筋を刻む
サックスは細く長く伸び、時に切なさを滲ませ、時に慰めるように語りかけてくる
翔の目には、幼い日の記憶が浮かんだ。父に肩車をされて見上げた花火
母と一緒に作ったカレーの匂い。どれも当たり前すぎて
今では忘れかけていた温もり
「まだ子どもだ」──その言葉は、きっと侮蔑ではなかった
心配から生まれた言葉だったのだろう
けれど思春期の翔には、ただ自尊心を踏みにじられたように響いた
空を見上げると、灰色の雲が裂け、夕陽が細い金色の線を差し込んでいた
オレンジに照らされた雲はゆっくりと形を変え、紫から深い群青へと溶け込んでいく
その移ろいはまるで音楽の即興演奏のようで、どの瞬間も一度きりの輝きだった
翔の胸にも、わずかな光が射した
「……俺だって、変われるのかもしれない」
ポケットの中でスマホが震えた
画面には母からのメッセージ「ご飯作って待ってる」
目の奥が熱くなる。読み返すたびに、文字が滲んで形を失った
曲は静かに終盤を迎える。ベースは余韻を残し、サックスは最後の囁きを放った。
まるで「大丈夫」と言っているように
翔は歩道橋の手すりに手を置き、深く息を吸い込んだ
秋の空は気まぐれだ
雨を落としたかと思えば、一瞬の晴れ間に光を注ぐ
人の心もきっと同じだ。曇ることもあれば、光を取り戻すこともある
イヤホンを外すと、風の音と落ち葉のざわめきが耳を満たした
翔は歩き出した。帰り道の先にある家を思いながら
空には、雲の切れ間から星がひとつ、瞬いていた
