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青い月光

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

深夜のバー

琥珀色のグラスが沈黙を抱え、スピーカーから流れる低いベース音が、闇に溶けていく

照明は落とされ、青白い月明かりが窓越しにテーブルを照らしていた。

そのとき、マイクを握る一人の歌い手が舞台に立った。

吐息のように流れ出す声は、やわらかく、どこか切なく、そして――彼女に似ていた。

十年前、突然失踪した恋人

音もなく去ったあの日の姿が、月光と共に甦る

男は思わずグラスを持つ手を止め、震える指先を隠すようにポケットへ押し込んだ。


彼の胸の奥で、サックスのソロが始まるように、思い出が次々と鳴り響く

「彼女が初めて歌ったのは、あの雨の夜だった。

駅前の地下道、濡れたコンクリートの匂い

傘を忘れた僕の隣で、突然ハミングを始めた。

その声に惹かれて……気づけば世界が消えて、ただ彼女の歌声だけが残った」


バーカウンターに座っていた老人が、静かに頷いた

「わしも聴いたことがある。若い頃、戦後の暗い街でな……

灯りもろくになかった頃、誰かが口ずさむ歌が唯一の希望じゃった

歌というのはな、声そのものが人の灯なんだ」

歌声が高まり、ピアノの伴奏がアドリブを重ねる


客の一人、女は瞳を潤ませ、語り始めた。

「私の弟も歌い手だったわ

けれど病で声を失ってしまった

でも……今の声を聴いていると、不思議と弟がそばにいる気がするの

音楽って、人を超えて生き続けるのね」

声はますます熱を帯び、まるでトランペットが夜空を突き抜けるように響いた。


男はその響きに、もう一度失われた恋人の姿を追い求める

「どうして去ったんだ

あの夜、君は何も言わずに姿を消した

でも……この声が、君でないのなら、誰がこんなにも僕の心を抉れる?」

心の独白は、ドラムのソロのように不規則で、しかし真実を刻んでいた

歌い手は目を閉じたまま、青い月光を浴びて歌い続ける

その横顔は確かに彼女だった

いや、彼女であって、彼女ではない――音楽だけが残した幻影


曲は静かに終わり、最後の和音が月明かりの下で溶けていった

バーに沈黙が訪れる

やがて、控えめな拍手が起こり、それはやさしく波のように広がった


男は立ち上がり、舞台の歌い手を見つめた

「君は……」と声を発しかけたが、次の言葉は出てこなかった


歌い手は微笑み、ただ一言だけ告げた

「音楽は、誰かを思う気持ちのかけらです」

その瞬間、男の心に落ちていた重い影が少しだけ薄れた。


失われた恋人は帰ってこない

それでも、彼女の歌声は夜空を渡り、誰かの声を借りて今も生きている。

窓の外には、冷たい青い月光

枯葉のように散った記憶も、旋律に変わって風に舞っていく

そして、彼は気づいた

――これは彼女の歌ではなく、彼女を思い続ける自分自身の旋律なのだ、と

男は再び席に戻り、静かにグラスを傾けた。

青い月光に溶けていく酒の味は、苦く、そしてどこか甘かった

その夜、深夜のバーには、終わらぬテーマの余韻が漂い続けていた。


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