空を泳いだ日
*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)
なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)
ぼくの名前は、こいのぼり。
屋根より低い、古い木造の一軒家の軒先に、今年も吊るされた。
風に吹かれて泳ぐのが、ぼくの役目。
赤いぼく、青い兄さん、そして一番大きい黒い父さん。
みんなで、風の道を泳ぐのだ。
……でも、今年は、ちょっとだけ違った。
家の中から、男の子の声が聞こえない。
毎年、風の中で「こいのぼりさーん!」と呼んでくれた小さな声。
笑いながら、ぼくたちに手を振ってくれたあの子の姿が見えない。
代わりに、静かな大人の声と、ときどき泣き声。
「……まだ、つらいかもしれないけど……外の風、気持ちいいよ」
そんな言葉が、春の終わりの風に乗って届いてくる。
ぼくは何も言えない。ただ、泳ぐだけ。
でも、風を受けるたび、願っていた。
「また、あの子が外に出てくれますように」
「また、空を見てくれますように」
五月の風が強く吹いたある日。
ふすまが開く音がした。
小さな足音と一緒に、あの子が庭に出てきた。
顔は少しやつれていたけど、空を見上げたその目は、変わらなかった。
「……こいのぼり、まだ元気に泳いでる……」
その声に、風がひゅうっと吹いた。
ぼくたちは、大きく空を泳いだ。
あの子は、ぽつりと呟いた。
「また、一緒に見ようね、お兄ちゃん」
――なるほど。
もう一人の小さな声は、もうこの家にはいないのだ。
でも、ぼくたちは知っている。
空を泳いでいれば、きっと、誰かの想いが届くことを。
だから今日も、泳ぐ。
涙のかわりに、風をまとって。
来年も、その次も、あの子の空にぼくたちがいますように。




