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未来のオレへ

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

終電を逃した駅前。

ネオンが濡れたアスファルトを照らし、水たまりが街の灯を映して揺れていた。

男はその縁に立ち尽くしていた。

よれたスーツ、濡れた革靴、赤く点滅するスマホの電池残量。

上司に怒鳴られた今日、ボーナスは白紙、企画は紙くずの山へ消えた。

小さく息をついたその吐息すら、もう自分のものではない気がしていた。

──そのときだった。

ポケットの奥。指先が、硬い何かに触れた。

取り出すと、それは角が欠けた、古びた折りたたみ式の携帯電話。

「……高校の頃の……なんで今ここに……?」

不思議と懐かしさが同時にこみ上げた。

開いてみると、ひとつだけ通知が残っていた。

《音声メモ:2002年》

親指が震える。

それでも彼は、画面の「再生」を押した。


「えーと……未来のオレへ」

かすかなノイズ混じりの、幼い少年の声。

教室の雑音、ペンの音、誰かの笑い声。懐かしい日々の音が遠くに響く。

「オレさ、大人になるって、すごいことだと思うんだ」

「未来のオレは、きっとビルの上のほうの階で働いてて、

 頼られててさ、世の中変えたりしてんだよ、きっと!」


男は思わず、息を詰めた。

つい、かすれた笑いが漏れる。

「……そんなカッコよくねえよ」


「でもね、大人って自由だろ? なんでも自分で決められるし、

 夜中にゲームしたり、朝まで起きてたり……最高じゃん!」

「未来のオレがどんなでも、オレは……信じてるからな。

 ちょっと誇らしいんだよ、未来のオレがさ」


──ピッ。

それきり、録音は終わった。


静かな夜が戻る。

遠くで踏切が鳴る音がする。ビルの窓には、まだいくつかの明かり。

今の彼は、隅の席で、誰にも気づかれずに時間を過ごしている。

頼られるどころか、透明な存在だ。

変えたものは、何ひとつない。

夢に近づいたかすら、もう思い出せなかった。

「……悪いな」

誰にともなく、呟いた。

「思ってたより、遠いわ」


だけど──

胸の奥が、不意にあたたかかった。

あの声は、疑わず、未来を信じていた。

世界なんて変えなくていい。ただ、自分を信じてたあの頃の自分。

そのまなざしが、いま、背中をそっと押した気がした。


「……よし」

ガラケーを閉じ、男は夜空を見上げる。

遠い記憶の空より、少しにじんだ今日の空。

その下で、また一歩だけ前に出た。

かつての夢は遠い。けれど、あの声に恥じないように。

今日の一歩が、未来のどこかへ続いていることを、

信じてみてもいいと思えた夜だった。


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