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あたし、クレープ。今日こそあなたに届きたい

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

あたしの名前は──クレープ。

 カラフルな屋台のショーケースに並ぶ、ふわふわの甘い女の子。

 

 あたしの生まれは、遠く離れたフランス・ブルターニュ地方。

 最初はそば粉で作られた、素朴なガレットだったの。

 塩気の効いた生地に、ハムやチーズを包んで、

 田舎の市場でくるくる巻かれて、誰かのランチになってた。

 でもある日、甘い夢を見たのよ。

 「もっと華やかに、もっとスイートに、

  みんなのハートをくすぐる存在になりたい!」

 

 そしてあたしは、進化したの。

 卵とミルクと小麦粉でふんわりとした生地に生まれ変わり、

 チョコやバナナ、いちごやブルーベリー、生クリームにアイス……

 おしゃれなトッピングを身にまとって、まるでドレスアップした貴婦人のようになったの。

 

 でもね、あたしが本当にときめくのは、あの人の前だけ。

 彼──そう、あたしを食べてくれる人のこと。

 時々立ち止まってショーケースを覗くくせに、

 いっつも隣のソフトクリームやクレームブリュレを選んじゃうんだから。

 「いつか、わたしを選んでくれるのかな……」

 心の中で、そっと願う。

 そして今日も、あたしは最高のおめかしをするの。

 

 まずは、ふんわり焼かれたバニラ生地に、

 ふわふわの生クリームをくるり。

 その上に、赤くきらめくいちごのピアス。

 斜めにかかったチョコソースのストールが、ちょっと大人っぽくてお気に入り。

 

 そこへ、カラン、と扉の音。

 ……来た。

 いつもと同じシャツ。

 ちょっと寝癖のついた髪。

 でも、あたしの目にはすぐにわかる。

 

 彼は今日、少しだけ、元気がなかった。

 ゆっくりショーケースを覗いて──

 いつも通り通り過ぎようとして、でも、足を止めた。

 

 「……あれ。なんか、今日のクレープ、かわいいな」

 

 心臓の生地がきゅっと焼きあがるような気がした。

 

 「すみません、いちごとチョコのやつ、ひとつください」

 

 ……選ばれた。

 たくさんの中から、あたしが、選ばれた。

 包まれるとき、生クリームがちょっと照れて膨らんだ気がした。

 手渡された彼の手のひらは、思っていたよりも、あたたかかった。

 

 彼は一口かじって、ふっと目を細めた。

 「……ああ、これ、なんか甘酸っぱいな」

 「……でも、いいかも。ちょっと、元気出た」

 

 それだけで、あたしはもうじゅうぶん。

 たとえ一瞬で消えてしまっても、

 このときめきが、彼の心に残るのなら。

 

 あたしは、クレープ。

 遠い国の市場から、ここまで来たおしゃれ好きな女の子。

 いつか食べてくれる“あなた”の笑顔のために、今日も甘酸っぱい夢を巻いているの。

 

 ──だから、また来てね。

 もっとかわいくなって、待ってるから。


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