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とける前に、伝えたかった

*この物語は作者が趣味で、適当に書いてるメモと朝一番の(強制)ラジオ体操中におもいついた内容と妄想を書き溜めたモノをス〇ゼロを飲みながら書いた”短編作品”です。支離滅裂・シナリオ崩壊等の描写がございますが、それでも見たい方は… 好きな飲み物(アルコール的な物は大歓迎)とすきな煙(火をつけるものならナカーマ)を嗅ぎながら…生暖かい目で見てください(小並感)

なお…極力R指定的な作品は掲載しないようにするのでぇ~よろしくお願いします(小並感)

わたしの名前は──アイスクリーム。

 カップにそっとすくわれ、コーンにくるりと乗せられ、

 夏の空の下で、ほんの一瞬だけ輝く、甘くて冷たい夢。

 わたしはよく「夏の主役」と呼ばれるけれど、

 それはきっと、わたしが長く生きられないから。

 ほんの数分。

 日差しと風と、誰かの指先にふれた瞬間から、

 わたしはすこしずつ、とけはじめる。

 でも、それでいいの。

 だってそれが、わたしの“生き方”だから。

 わたしの祖先は、とても昔の時代にいた。

 古代ローマでは、雪を山から運んで蜜をかけて食べたと言うし、

 中国では氷に果汁を混ぜた冷たい菓子があったとも聞く。

 冷蔵庫も冷凍庫もない時代、わたしたちは“奇跡”だったの。

 ヨーロッパを渡り、アラブの知恵を経て、

 冷たい夢は少しずつ形を変えていった。

 ミルクと砂糖と氷が出会い、

 いつしか「アイスクリーム」と呼ばれるようになったの。

 時を経て、わたしは日本にも来た。

 夏の暑さにうんざりする子どもたちの手に、

 恋人たちの散歩の途中に、

 家族の休日の思い出に──

 そう、わたしは、“誰かの夏の記憶”になるために生まれてきた。

 今日も、青空の下でわたしは売られていた。

 コーンの上にくるんと盛られて、まぶしい日差しをあびて。

 ある女の子が、お母さんと一緒にわたしを買ってくれた。

 「まま、いちご味にしたよ~」

 「うんうん、ゆっくり食べてね、すぐ溶けちゃうからね」

 そうなの。

 ほんとうに、すぐ、なんです。

 女の子が、はじめてわたしを舐めたとき、

 小さな声で、ぽつりとつぶやいた。

 「……おばあちゃんと、食べた味とおんなじ」

 わたしの中で、ふいに何かがふるえた。

 ああ……

 きっとあなたのおばあちゃんも、昔のどこかで、

 わたしの“誰か”を食べてくれていたのかもしれない。

 時代は変わっても、場所が違っても、

 わたしたちはずっと、「夏の甘い記憶」として生きてきた。

 とける前に、ちゃんと、伝えたかった。

 ──ありがとう。

 わたしを選んでくれて。

 わたしを思い出にしてくれて。

 わたしはもう、とけてしまう。

 でも、その手のぬくもりと、

 くちびるのやさしさだけは、

 いつまでも冷たく残っていてほしい。

 わたしはアイスクリーム。

 長い歴史を背負いながら、今日も誰かの夏に花を咲かせる。

 とけて消えても、心に残るあまいしずくになれたなら──

 それが、わたしの“幸せ”なの。


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