3.【素材の置き方➀】「はじまりは……アジサイ」織花かおり著、「悲しみはお薬です」織花かおり著、「火を見て、日々を観る」幕田卓馬著
【素材の置き方➀ ~遠近法で風景を作る】
前ページでは「勘だ!」と言い切ったものの。
いやいやそれはちっと説得力なかんべよ? と自分でもツッコミを入れまして、己が何をしているのか言語化チャレンジしてみます。
素材を集めてひとつの風景を作ります。空を置き、建物を置き、花を植え、人を置き……。このとき使うのが遠近法。基本的に手前の物を大きく、奥の物を小さく。
ちょうどバナーNO.7の「はじまりは……アジサイ」がいい例ですので、そちらで説明します。
【バナーNO.7】
「はじまりは……アジサイ」
作者:織花かおり様
https://ncode.syosetu.com/n6288gg/
《ストーリー》
転校生のマヤは、友達がいません。前の学校で優等生だったマヤはいつも皆に囲まれていたから、どうしてよいかわからなかったのです。隣の席はとくに取柄もないけれど、なんだか人気者の山瀬くん。アジサイの話がきっかけで、マヤは大切なことに気づきはじめます。(童話、約2000字)
~バナー屋の独り言~
物語のキーになるアジサイをメインに。そこに校舎や子どもを登場させて、物語全体の世界観を表すことにしました。このときは最初から、校庭の端から学校全体を見渡すという構図が浮かんでましたね、ハイ。
まず青い空、そこに校舎、そして校舎を取り囲んで咲いているイメージでアジサイを左右に置く。
校庭に人物が立っているように見せるため、校庭の奥に建つ校舎や人物の大きさを決定。手前の物を大きく、奥の物を小さく――そうコレ遠近感ですね。
でも、これだと印象に残したい素材が風景としてすっかりなじんでしまうので、目立たないんですよね。
そこで皆さんご注目。メインのアジサイ、かなり大きいと思いません? 実は、校庭に生えているアジサイをイメージしつつバナーの装飾ツールにもしています。それから人のシルエットも目立たせるために、校舎を実際の遠近感よりも小さめに、そしてアジサイを人と被らないように配置しました。
こんなふうにして風景のあるバナーは出来上がります!
私がこのバナーで一番気を遣ったこともモチロン言わせてくださ~い。
それはなんといっても二人の性格を表したシルエット選び&配置距離&方向です! ストーリーに沿うように、超慎重に決めたのだあ( ✧ ̫ ✧ ) あ、あとアジサイの色味も控えめだけどカラフルにしたっ(*´▽`*)
【バナーNO.8】
「悲しみはお薬です」
作者:織花かおり様
https://ncode.syosetu.com/n4867ii/
《ストーリー》
悲しみとは、辛いもの、避けたいもの。ですが、それだけではないのかもしれません。悲しみは私たちに、なにか大切なものを与えてくれているのかもしれません。(詩、約500字)
NO.7に続きこの作品も織花かおりさん。織花さんは、童話をとても沢山書かれています。アイデアが豊富でスゴイ! 人間への優しく温かな視線が基になって、作品が生み出されているのをとても感じます。まっすぐ心に飛び込んでくるんですよね( ˶’ᵕ’˶ )
~バナー屋の独り言~
損失の悲しみがテーマの作品ですので、花は必需と思いました。可愛らしい白い花で柔らかな雰囲気に。花が白いから、薬は色味のあるものがいいなと思い探したところ、綺麗な水色をバックに散らばるカラフルな薬素材を見つけたので、これに決定。
この白い花は弧を描くように置いた方が、タイトルにも薬の素材にも合うなあと思いついて、やってみました。これこそ「勘!」ですね(*´▽`*)
あ、そうか、勘を言語化するんだっけ……そうですねえ……薬も点在しているし、タイトルを中心としたバナーとしてのまとまり感を出したかったのかな。おお、言えた!⸜( ◜࿁◝)⸝︎︎
文字は、メッセージがソフトに、そしてしっかりと伝わるような線のフォントを選びました。これ、色は黒に見えるかもしれませんけれど、実は濃紺なんですよ。
【バナーNO.9】
「火を見て、日々を観る」
作者:幕田卓馬さま
https://ncode.syosetu.com/n5491gu/
《ストーリー》
アラサーの慎三郎と穂乃果は腐れ縁の幼馴染。穂乃果が慎三郎にもちかけたキャンプへの誘いによって、二人の関係は変化し始めます。自然の醍醐味に触れた二人はキャンプにのめり込んでいきます ――初心者キャンプライフは、失敗と、発見と、学びの連続。キャンプは日々の縮図でもあります。なぜ人はキャンプに魅了されるのか、そこには人生の答えがあるのかもしれません。二人の繊細な心の動きと、キャンプの魅力がたっぷりつまった作品です。(現実世界〔恋愛〕、約125000字)
幕田さんは五感で文章を書く!と私が感じる達筆な作者さま。恋愛の繊細な心模様を描くかと思えばコメディー、ワイルドなSF、ホラーなどなんでも書かれています。筆の幅がスゴイ!
~バナー屋の独り言~
ズバリ、火がメインでしょう!
とマルオ君よろしく、バナーづくりの最初は焚火素材探し。手元でメラメラ燃えてじっと見つめていられる火。それがコレ。
焚火をドンと置いたバナーにしたかったのですが、これだけだとキャンプだとは伝わらない。……うーんじゃあ複数場面を使って表してみるか、と選んだのが、この漫画のコマ割りみたいな方法。この割り方はCanvaの既製品を参考にしました。
次に取り掛かったのは、キャンプ素材探し。テントをいれれば一目瞭然なんだけど、ベタすぎるし、作品タイトルと合わない気がするなあ……と感じて、主人公たちが火や空を、自分の日々を観るには……そうだ座ってじっと見つめるじゃん、じゃあ椅子だ!と。で、アウトドアのチェア探し。二人で青空を見つめているような、最高な椅子素材を発見(=゜ω゜)ノ
ところでバナーの中央は、星空(正確には銀河の写真)。夜空に舞い上がる火の粉にも似ているし(そう見えるのは私だけw)、これに決定!
フォントは、作品のテーマから、きちんと感がありながら堅すぎないものに。文字色は背景からして白しかありえない、でも末尾が昼間にかかって見えないよぉ~、となったので、超若干真ん中よりも左に寄っています(⌒-⌒; )
素材探しは基本こだわって探しますが、このバナーはニュアンスが大事だったので探しに探しました。しかも三場面。頑張ったぞ!
皆さん、気になる作品ありましたか?
れっつ、ちぇけら!!