現状把握とこれから
敵の領軍を謎の意識が屠ってくれた。
そんな意識は自分を門兵などと言っている。
『(じゃあ、門兵さん、貴方の名前はなんだ?)』
『俺か?マシューだ、ただのマシュー』
『(マジですか!!名前かぶってて
わかりにくいな!)』
『元のマシューうるさいぞ、しょうがないだろ』
どうにも話をすると、俺がいた世界とは
少し様相が異なる様だ。
まず、魔法の概念が非常に曖昧。
だがこれは前世でも俺の周りの人間と
魔族、悪魔系の奴ら以外はそう変わらなかったな
サラは元気でやってるかなぁ。
あとは勿論大陸や国の名称なんかも全く違う。
ここはライング王国というらしい。
人々の生活は100年は時代が退化したような
感じだ。俺から見ると少しレトロな感じがする。
『恐らく何らかの理由で同じ名前の
人物に俺が転生してしまった様だな。』
『(転生って、門兵さんは前世の最後を
覚えているか?)』
『俺は勇者の旅に同行して、記憶が曖昧だが
魔神との戦闘で大規模魔法を展開したまでは
覚えている、そのあと気がついたら
この体にいた訳だ。』
『(門兵が勇者と旅とか魔神と戦闘とか
理解できないけど、とりあえずその
大規模魔法の行使で亡くなってしまったか
もしくは何かアクシデントが発生して
俺の体に入ってしまったみたいだな。)』
全く思い出せんが、魔神との戦い。
あれは本当に厄介だった、ついていくのが
やっとのレベルで、、、
本当に俺はやられたのか?
『で?このあと元のマシューはどうする
つもりだったんだ?』
元のマシューの意識は少し間を空けて
『(復讐する)』
『誰にだ?』
『(この王国中央の王侯貴族全員)』
やれやれ、とんでもない奴の体に入ってしまった
様だな。
『具体的な策は?』
『(無い!・・・が門兵さんの実力を見て思った)』
『何だ?』
『(単独で乗り込んで全員ボコる)』
『無茶苦茶だな。』
『(ああ、それほどに奴らを許せん)』
まあ、力は貸してやるか、どうせこの体から
出られ無さそうだし。借りる訳だからな。
『そういえば、お前の父親と兄か?
まだ魔力反応があるぞ?生きてるんじゃないか?』
そうして父親と兄が居る遺体の集合場所へ
大急ぎでやって来た。
『(どうなんだ!?まだ生きているのか!?)』
『限りなく死に近い状態だが、これなら何とかなる』
俺は魔力を十全に込めて
『お前の魔力量と身体の親和性は前世の
勇者や賢者に匹敵するぞ。』
『タイムロール』
時空魔法のタイムロール、起こった現状を
無かった事にする。が魔力霧散、つまり
死亡が確定している状態では意味がない。
万能では無いという事だ。
父と兄が光に包まれて
「んっ、なんだか悪い夢を見ていた様な」
「なんか体が軽いな」
『おはよう、父上、兄さん』
起きた二人と邸に戻り、ことの経緯を説明した。
最初は別人格がいるなどと、なかなか信じて
もらえなかったが、この世界での規格外の
魔法や知識を話して、何とか認めてもらう事ができた
そうしてこの一家が王国に喧嘩を売りにいく
狼煙でもあった。