【1-1.それは、始まりの1ページ】
「かい…お——きて……起きてー!」
「ん…んー、どうした?」
「あっ、かい起きた!よかったあ……。ねえ、ここ、 “どこ”?」
となの言っていることに疑問を持った俺は周りを見渡した。
そこに広がるのは……広大な広場!?でも、コンクリートのようなもので舗装されているところもある。
何かの基地なのだろうか、遠くには施設らしき建物も見える。
どうゆうことだ?俺達は図書館で本を借りて……そうだ、思い出した。
あの『不思議な本』を見つけて開いた途端、意識が途絶えたんだった。
「な、なあ……俺達って図書館で本借りてたはずだよな?」
「うん、そうだよね。図書館に外行きのポータルなんてあったっけ?」
「いーや、ないな。」
おかしい、俺達はなぜこんなところにいるのだろうか、そしてここはどこなのだろうか。
この不可解な状況がなんなのかを考えていると、声が聞こえた。
『やーっと目覚めたか!』
「え?誰!?」
声が聞こえた方に目をやると、そこには小柄な女の子らしき人がいた。
『ボクかい?ボクはね!そうだなあ、“案内人”とでも呼んでくれ!』
「『案内人』?」
『そうだ!君たちはここに来る前、『とある本』を開いたのだろう?』
「確かにそうだね
『そうだろう、そうだろう!そんなキミたちに、“その本”について、そして、“ここ”はどこなのかを教えてあげよう!』
* * *
『まず、キミ達が見つけた“本”は空想世錄と言って、“世界”を創成した本なんだ。そのうちの1冊がキミ達が見つけたもので、今はキミ達が元いた世界とは全く別なこの世界のどこかにある。そして、キミ達にはそれを見つけて欲しい!』
ほとんど話に追いついていけなかったが、一つだけ分かったことがある。
「全然わからなかったけど、まさか、これって——」
「ああ、そうだな……これは——」
「「ラノベ的展開!!!??」」
「もしかして本当に、俺達は異世界にきちゃったのか!?」
『そうだともそうだとも!』
「私達の憧れの……ラノベ世界に……!」
となの目が、昼間の青空に煌めく星々を埋め込んだかのように輝いていた。
きっと俺もそんな風になっているのだろう。
『ということでさっそく……』
『案内人』が何かを言いかけたところで、威圧的な大きな声が聞こえた。
「そこにいるのは誰だ!」