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p.1

 高校を卒業してから十年目の今年、SNSで同窓会開催の知らせを受けた。卒業してから連絡を取っていたのはほんの数人だというのに、その連絡は俺のところにも漏らさず届いた。ほんの少しの繋がりから元クラスメイトの連絡先を突き止めてしまうことができる世の中に、便利さと不自由さを覚えながら、参加については「検討する」という無難な回答を出しておく。


 しばらくすると、同窓会用のSNSグループが作られた。これで、個別に連絡を取らなくとも逐一全員に連絡することが可能になった。実に、合理的で恐ろしい世の中だ。


 同窓会はお盆に開催される予定らしい。多くの人が帰省をするだろうから、それに合わせてとのことだ。確かに、就職をして地元を離れている者も多いだろうから、なるべく多くの人の予定を合わせようと思ったら、盆や正月といった帰省しやすい時期を狙うのは当然かもしれない。


 俺はと言えば、高校を卒業後実家から一時間半かけて大学へ通い、就職も地元でしたので、今だ実家から出ていない生粋の地元組で、帰省のついでに同窓会に参加しようなんて浮かれる気分にもなれない。


 そもそも、連絡を取っているのが数人という時点で、それほど仲の良かったクラスでもない。そんなメンツと十年振りに再会して、一体どんな会話で盛り上がれというのだ。


 巷では、同窓会で焼け木杭に火が付くなんて話もあったりするが、俺には焼け木杭どころか、新品の杭さえあった覚えがない。クラスのマドンナと再会して「実はあの頃、私……」なんて、心ときめくイベントが発生することもまず考えられない。


 同窓会というイベントがただの億劫な集まりになりそうで、気持ちは不参加に傾きかけていた。しかし連絡をすることが面倒臭くて、しばらくそのままになっていた。


 そうこうするうちに、SNSで当日の日程が発表された。予想通りなんてことのない親睦会のようで、地元の老舗料亭で昼食をするらしかった。それならばやっぱり当日は予定があるのでと断ろうと思った矢先、ある文字に目を止めた。


『昼食後は、ビッグイベントを開催予定です。是非ともご参加ください』


 そんな煽り文句が気になり、俺は数少ない友人に連絡を入れる。


 ビッグイベントの内容を知っているかと尋ねたら、知らないが誰かに聞いてくれるというのでしばらく待つと、すぐに折り返しの連絡が来た。どうやらビッグイベントとは、これまた同窓会のど定番、タイムカプセルの開封だという。

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