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BARダークブルー  作者: 松 宏幸
6/12

話したい人

冷蔵庫が入荷しました。

知り合いの業者さんから安く仕入れられました。

チーズ類、ライム等、保管できるようになったので、メニュー追加しました。

ジンライム、ジントニック、ウォッカライム、ウォッカトニック

チェダーチーズ、クリームチーズクラッカー


また、ビールについても銘柄限定ですが、開始しました。ビール(赤)山梨高原ビール


相変わらず、好きなもの、仕入れ易いもの、作りやすいもの、店主目線ですいません。


「いらっしゃいませ」

(あ、平凡の方)

昨日来ていた女性が今日も来てくれました!

旅行のパンフレットを見ていた女性です。

店主「こんにちは。」

女性「また来ちゃいました!」

コートを脱いでキャメル色のマフラーをほどている。

店主「ありがとうございます。新しくライム系始めましたが如何ですか?」

女性「あ、そうなんですねー、じゃ、ジントニックください。」

店主「かしこまりました。」


店主は初となるジントニックを、長めのグラスと氷、新しい冷蔵庫からライム、トニックウォーターを用意し、作り出す。

お通しはピーナッツにして、お持ちする。


店主「お待たせしましたー」

女性「わー、美味しそう。」

店主「いつも愛嬌いいですよね。お名前聞いてもいいですか?」

店主はさらっと聞いてみた。

女性「紗英、山本紗英やまもとさえと言います。」

店主「沢北紺と申します。」

紗英「紺さん?マスターですよね?」

店主「まぁ、」

紗英「マスターと呼んでいいですか?」

店主「ガラじゃないですけど、どうぞ。」


紗英「店内、マスターの趣味ですか?イングリッシュパブのような感じでいいですよねー。」

店主「ちょっと深い色で雰囲気を出しました。」

紗英「紺さんだから紺色にしたわけじゃないですよね?」

店主「いえ、紺だからしたわけです。」

紗英は笑った。派手に笑うのではなくどこかで見た清楚な女性の笑い方だ。


店主「全部好き勝手に考えました。真似はせず自分の好きなものと、楽できるようにしました。

紗英「楽できるように??」

店主「メニューとか?会話とか?少なくしてます。」

紗英「少なくても良い店です。」

紗英はそう言ってまた清楚に笑った。


紗英「マスター、私常連になってもいいですか?」

店主「え?勿論!嬉しいです。」

紗英「私、"行きつけの店"作りかったんですよね。なんか行きつけの店ある人ってカッコいいじゃないですか?」

店主「確かに。では紗英さんはウチの常連第1号です。」

紗英「やったー!」


店主も、常連が出来て喜んだ。

(こんな店でも、常連になってくれるなんて、嬉しいなぁ。)


紗英「会話も??少なめ?なんですか?」

店主「はい。そう心掛けてます。」

紗英「なんでですか?」

店主「話すのが苦手なのと、お客さまの時間を邪魔しないためです。」

紗英「そうなんですね。わかりました。それがポリシーならば。でも話したいときは、呼んでいいですよね?」

店主「それは、勿論!紗英さんは全然大丈夫です。紗英さん凄く話し易いです。」


店主(あれ?ちょっと話したくなってる?時間の邪魔はしないが、リクエストなら話してもいいか?)


そもそも会話少なめの理由は、お客の時間を邪魔しない。であるが、実はもうひとつ嫌な客が来たときに対応するのが面倒という理由もあった。

(だって嫌じゃん?話したくもない人と話すの。)



会社務めのとき、1日に沢山の話したくない人と話さなければならないことが、凄く苦痛だった。



なので自分の店では、わざわざ嫌な客と話さなくて済むような配置にした。



でもそうか、話したい人とは話してもいいよな。


そうしよう。コンセプト変更。



話したい人とは話す。


話したくない人とは話さない。



そんな店。そんな世の中。


でも、いいじゃないか。


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