六話 同族殺し
人と天使のハーフ、ルナンは魔物狩の最中に川へと転落。川に流された先で魔人の少女ローチと出会う。ローチに連れられて魔界の国「ヘカトンケイル」を訪れたルナン。おしゃべり骸骨のボンテッド「ブゴス・イン」の店主ブゴスと共にシェアハウスをすることに。
あっという間に時間は経ち「ブゴス・イン」に来てから一週間が経とうとしていた。
ルナンはブゴスにお使いを頼まれていた。ボンテッドも付いてきている。2匹はコフィン・バザーという市場を訪れた。
「ここはコフィン・バザーって言ってよぉ!その名の通り近くには棺桶族が住んでる!しかし最近棺桶族も色々問題があるらしくてなぁ」
ボンテッドがいつもの様にペラペラと饒舌に話す。
「問題、それはどういう?」
「なんて説明すりゃいいんだろーなぁ」
ボンテッドが腕を組み考えていると、コフィン・バザーの奥がざわつき始めた。
「お!見に行こーぜ!」
ボンテッドがルナンの手を引っ張り、コフィン・バザーの奥へと走り始めた。魔物達をかき分けてルナンとボンテッドは進んでいく。大衆の視線の先にいた者は鎧を装着した1匹の魔物だった。
「まさかと思ったがコイツだったか」
「ボンテッドの知り合い?」
「いや、コイツが棺桶族の問題を引き起こしている張本人『同族殺しのグリード』だ。」
そう言われてルナンはグリードの後ろを見た。
グリードの後ろには、100を超えるほどの棺桶が引き摺られていた。
「あの棺桶全部に仲間の死体が入ってるらしいぜ…」
ボンテッドが話している声が聞こえたのか、グリードはルナン達を睨みつけてきた。
「おぉ、怖ぇ怖ぇ」
グリードは直ぐに視線を前に向け、棺桶を引き摺って歩き出した。ルナンはグリードに睨まれて恐怖した。だがグリードの睨みつける目は何処か寂しそうで苦しそうにも見えた。
グリードが遠くに行った頃
「あんなのとは関わんなよ。人間よりもタチが悪いぜ」
ボンテッドがそう言った。
ボンテッドが人間の話をしたのは初めてだ。
「ボンテッドは人間の事をどう思ってる…?」
ルナンは聞いてみた。
「人間?そりゃ無差別に俺たち魔物を殺す敵だろ。どうしたんだ急に」
「いや、そうだよね…なんでもない」
ルナンは天使と人間の間に産まれた子だ。ローチの
魔術で鬼人の姿に変身しているがルナンは人なのだ。
今では大切な友人となったボンテッドの一言に、少し物悲しく思うルナンだった。
そしてその日の夜。
買い物を終えて、いつもの様にローチに魔術をかけて貰う。場所は決まってローチの部屋だ。
魔術の詠唱が完了し、ルナンの鬼人の姿になっていられる時間が増加した。
「ルナン顔色が悪い。何かあったか」
ローチがルナンの様子を不思議に思い、そう言った。
「実はさ…」
ルナンはコフィン・バザーでボンテッドに言われた事をローチに話した。
「ごめん、私のせいで」
「そ、そんな事無いよ!」
ローチは少し考えて
「ルナンは、私の事好き?」
「え…」
「私はルナンの事好きだよ…だから色々教えてほしい」
「色々って…何を!?え…ひ…ひやぁぁぁ!」
その頃、「ブゴス・イン」一階では、
「いいなぁ、ルナンのやつ」
「・・・」
顔を赤らめるボンテッドと、考えこむブゴスがいた。