表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルナンの魔界生活記録  作者: アフ ロウ
4/6

四話 魔界の国ヘカトンケイル

魔界の国「ヘカトンケイル」

複数の手を持つ巨人「ヘカトンケイル」の名がつけられたこの地は、魔界の住民が集まる中心地。

「ドラキュラ」「死者」「ドラゴン」などの住処がヘカトンケイルを囲むように点在していた。

今日この国に、魔人の少女に連れられた一人の人間が迷い込む。



「ついた、さぁ行こうルナン」


ローチはスタスタと歩き出す。


「ま、待ってよ…ここは…」


真っ黒な空。土の上で燃え浮かぶオレンジや青白い炎の光。隣を歩いていったのは、言葉を話すトカゲのような生き物。その他にも骸骨、幽霊、オークなどの魔物が練り歩いていた。


「魔物の国、ヘカトンケイルにようこそ」


ローチの澄んだ声がルナンに響き渡った。







古い木造の家にローチが入っていく。ルナンも後を追って家に入った。家の中には年老いたゴブリンが番台に座っていた。


「親父さん、1部屋空いてる?」


「あぁ…空いてるよ。代金を寄越しな」


「はい」


ローチは重そうな袋を番台に置いた。


「へぇ…分かってるじゃねぇか」


年老いたゴブリンは袋な中身を覗き込み、満足そうに小さく笑った。


「1ヶ月だ、この家好きに使いな。今いる客は適当に追っ払ってやるよ」


「ありがと、じゃ」


「ちょっと待ったー!」


ローチが頭を下げて礼をした後、2階の奥から大声が聞こえた。そのままドタドタと階段を降りてきたのは1体の骸骨だ。


「俺様の名はボンテッド!さっきの話聞かせて貰ったぜぇ!なぁブゲスの旦那!俺様とあんたの仲だろぉ?まさか俺様の事も追い出す気じゃないよなぁ!?」


「俺はブゴスだ…すまねぇなボンテッド。お前も追い出すつもりだよ」


年老いたゴブリン、名をブゴスはボンテッドの肩を持ちそう話した。


「なーんでだよぉ!?先にこの宿に泊まっていたのはこの俺様だぜぇ!?それを…なーんでこんなドチビ2匹に譲らにゃならんのだ!俺様が苦労して取った「ゴブウィスキー」の味を忘れたのかぁ!?ブダラスの旦那ぁ!」


「だから俺の名はブゴスだって。…これを見ろ」


そう言ってブゴスはローチの渡した袋から1本の酒を取り出した。


「これはゴブウィスキーか?」


「そうだ、だがボンテッド。これは100年物の上物だ。あんたが取ってきたのとは訳が違う」


「ひゃ、100年だってぇ!そんな貴重な物をこのドチビ達がぁ!?」


ボンテッドはローチとルナンを見つめてきた。


「な、なぁ頼むよぉ!俺様やっとの思いでこの宿を見つけたんだ!ここを追い出されたら骨になっちまう!骸骨だけに!骸骨だけにぃ!」


「いや」


「ガー………」


ボンテッドの願いをローチが一蹴した。ルナンがボンテッドを見ると、ボンテッドはルナンに涙を浮かべて懇願していた。


「僕はボンテッドさんがいても構いませんけど…」


「ルナン!」


ローチが初めて慌てた。


「おおおおおルナン!ありがとう!ありがとう!はい!これ決定しました!俺様はここに残ります!」


「決まったようだな」


ブゴスが小さく笑った。

ブゴスの宿屋にルナン、ローチ、ボンテッドが住む事になったのだった。


















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ