20、学友達
「真由、ピート、ヒース合格。」
「トニー、マック合格。」
「リード、ジャック合格。」
「ナイフ、マリス不合格。以上。」
「やったねピート、ヒース。」
「ああ。」
「真由とピートと一緒なら合格は確実だったな。」
「そんな事言ってぇ。ヒースも強いじゃーん。このこの。」
と肘で脇腹をつつくとヒースが私の頭をガシッと掴み体から離す。しばいたろか。
「おい真由ってこんな奴だったのか?」
ヒースが私に指をさしてピートに言う。無愛想で口が悪いが裏表のない男それがヒースだ。
「そこの3人随分余裕そうだね。そこの3人と不合格2人は残りなさい。それ以外は帰ってよし。」
ノーブル教官が微笑みながら言う。くそぉ私語をしたせいで不合格2人の面倒を見ろって言う気だぞ!
「ふふっ君は分かったようだね。君達3人はナイフとマリスが課題が…そうだな…4つできるようになるまで面倒を見てあげなさい。終わり次第君達3人で教官室に報告に来るように。」
そしてノーブル教官は行ってしまい騎士コース専用の運動場に5人は残された。今やった試験は課題が6つあって5つ選んでできたら合格なのだがこの2人は1つもできていない。ちなみに私達は6つ全てできる。ドヤァ。
「真由1人で百面相してないで早くやるよ。ナイフは僕が見るからヒースはマリスを見てあげて。」
「ありがとうピート!じゃあ私は帰るね!」
と歩き出すとヒースが私の制服の襟を掴んだ。
「そんな事させねーよ。俺とピートは怪我をしないように補助に入るんだよ。でお前が教えるんだよハゲ。」
「ぐわぁー。」
「真由頑張ろうね。」
ピートが笑顔で剣を渡してくる。くそぉ。ナイフはムスッとしていてマリスはオロオロとしている。
「俺は女に教わるのは嫌だ!」
ナイフが私に怒鳴る。ふむふむ。と気付いたらナイフを絞め上げていた。ナイフから微かに呻き声が聞こえる。
「えっとこれは三角絞め?やだぁ体が勝手に。」
「あいつ一瞬で後ろを取って膝の裏を蹴って膝をつかせて絞めてるぞ。」
「僕、真由が恐ろしい時があるよ。ほんと。」
「えっええ。えっ助けなくていいの?ねえねえ!」
「マリス世の中には関わらない方がいい事もあるぞ。それが今だ。」
ナイフが落ちたところで3人がかりでマリスの課題に付き合い始めた。
「まずは剣術からね。相手の剣を落とす方法。」
「はいじゃあどうぞ。」
ピートが剣を握りマリスの前に立つ。6つの課題の中で多分これが1番簡単だ。
「ガシャン!」
「ああ!」
「大丈夫?」
ピートではなくマリスの剣が吹っ飛んでいく。慌ててマリスが剣を追いかけた。
「これ今日中に終わるのか?」
ヒースが呆れたように言う。
「終わるわよきっと。」
私はマリスを目で追いながら言う。ピートはマリスの後を追って走っている。ヒースがため息をつきながら私にきく。
「後の課題は剣術2つに体術3つ。どれがいいと思う?」
「そうだなぁ。剣術は後の2つは難しいしかといって体術もなぁ。」
「そうだな。まずマリスはどうして騎士コースにしたのか分からない位、剣が怖いみたいだからな。」
「うんそれは見ててもわかるけど、まあ剣術2つを教えるしかないか。前方を斬ってすぐに後方に振り返り斬る。」
「もう1つは鍔迫り合いから押し勝って後ろに下がり過ぎず斬る。」
「ぐぅ。いけるかな?無理ちゃうかな?」
「だから言っただろうが。体術はどれにする?」
「掴まれた手をひねりあげる。」
「これはギリギリできそうだったから大丈夫だな…大丈夫だよな?」
剣を抜いて尻もちをついているマリスを見てヒースが不安そうに顔を歪める。
「2人共、再開するよ。」
「「はーい。」」
ピートが根気よくマリスに付き合い何とかピートの剣を落とす事ができた手を抜いたに違いない…が。まあできた事には変わりないしね!
「ううぅ。」
「おっ目が覚めたなナイフ。お前も剣を落とす課題するか?」
「……できる。」
「あ?」
ヒースが輩のように眉間に皺を寄せて言う。見た目もオールバッグで背が高く肩幅も広めで目は切れ長なので迫力がある。完全に不良だ。ナイフは怯えきって体を震わせて涙目でヒースから目をそらしている。
「ちょ、ちょっとヒース脅さないで。」
「脅してねーだろ。ならなんでさっき真面目に試験を受けなかったんだよ?」
「……それは…その…とにかく剣を落とすのと手をひねりあげるのはできる。もう少し練習したら剣術2つもできると思う。」
「良かった。じゃあヒース見てあげてね。私はマリスを見てくるから。」
「ああ。来いよ。」
「ヒィ。」
「ヒース!」
「はいはい。」
結局マリスは2時間後にやっと剣術3つをマスターした。
「後は手をひねりあげるやつね。マリス頑張って。」
「う、うん。」
私はグッとマリスの腕を掴むここから腕を抜き手をひねりあげるのだが……。
「マリス?」
「う、うん。やってるよ。」
えっと…待とうか。教えるのはピートに任せよう。ナイフはヒース相手に4つの課題ができたようで帰ってしまった。まあ報告は私達3人だけだし帰ってよし!という気分だが。ヒースは私の横で大あくびをしている。蹴ってやろうか。
「マリス腕を抜くんだよ。」
「やってるよ!真由力強いよ!」
「ええ。じゃあヒースと代わる?」
「ヒースは背が高いから余計にできないよ!」
マリスはわがままだなぁ。どんな相手でもできないと困るぞ。
「じゃあ僕が代わるよ。ヒースよりは背が低いし。」
とピートに代わるとあっさりと終わった。
「マリスできたね。じゃあ帰っていいよ僕ら報告に行くから。」
「うん、じゃあよろしく。」
マリスは迷惑そうに帰ってしまった。
「あいつら礼もなしだよ。俺も早く帰りてえっつうの。」
「まあまあ。また絞めてやるから。2人共。」
「真由マジかっけー。」
「おうよ。」
「さあ2人共行くよ教官室。」
「「はーい。」」
「失礼します。」
ピートがノックをして中に入るとノーブル教官はもう着替えて制服ではなくスリーピースのスーツに身を包んでいた。ベストえーなーかっこいいよなぁ。
ピートがノーブル教官に課題のプリントを渡す。何ができたか誰相手だったかを書いてある。
「ふむ意外と早く終わったね。君達は優秀だからポイントを加点してあげよう。これからは私語は慎むように。」
「「「はい。」」」
「よろしい帰ってよし。」
「「「お疲れ様でした。失礼します。」」」
「気を付けて帰りなさい。ちょっと待ちなさいピートは残るように。」
「はい。」
私とヒースは教官室から出て運動場でピートを待つ事にした。3人で帰りに何か食べて帰ろうと約束していたのだ。
「ピート何故残されたのか分かるね?」
「いえ分かりません。」
「マリスは課題を全て君相手で行い成功している。」
「はい。」
「それでも分からないのかね?」
「分かりません。」
「ふむその優しさはマリスの為にはならない優しさだ。分かるかな?」
「…できるようになりたいと思っていない人に何をさせても意味がない無駄です。無駄な事は嫌いなんですだから早く終わらせたまでです。」
「ほう、君は意外と…分かった時間を取らせたね帰っていいよ。」
「では失礼します。」
「ああまた明日。」




