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16、嫉妬とは違う何か


「ねえ聞いた?王子の噂。」

「ああーうん…まあ。」

「そっかあなたも好きだったもんね。」

「うん。でも付き合ってすぐにあーでもないこーでもないって誰かを重ねるみたいに…多分、本当に好きな人がいてその子に近付けるように命令されるの。」

「ああーそれで。」

「うん。言う事が聞けなかったりあんまり上手にできなかったりするとすぐに別れを告げられちゃうの。」

「うわぁ。幾ら王子でもそれはね。」

「でも顔はカッコイイし王子だしで女の子は沢山いて王子は来る者拒まずだから。」

「もう何人?結構沢山付き合ってたよね?」

「入学してから1ヶ月で12人。」

「うわぁ。」

「犠牲者は多いよ。」

「私は王子無理だなぁ。」

「うん、それでいいよ。彼は好きにならない方がいい。」

「王子、昔はこんな人じゃなかったのに。」

「うん。」

「王子と言えば元婚約者は幼馴染と付き合ってるんだって。」

「ああーやっぱりね。そんな感じだよねいつも一緒にいるし楽しそうだし。」

「ねー。」

「それにピアスも。」

「一緒だもんね。もしかして王子から幼馴染へ?」

「そうかもね。」




「真由、今日も1位だね。」


「体術はね。剣は全然だめ。あなたにはかなわないわ。」


「全然って程じゃないよ。」


「ありがとうもっと努力するわ。」


昼食後にピートと午前中の話をしていると、


「ねえちょっと!あなた王子の婚約者でしょ!」


一般の制服を着た女生徒が騎士コースの運動場に現れた。私達の騎士の制服とは違う。それにしてもめちゃくちゃ怒ってる女の子が来たぞ。


「元やけどね。」


「あいつどうにかしてよ!私の友達あいつにのめり込んで!全てあげちゃって!」


「ワァオ。何の話?」


「あいつ!あの子を!」


と膝をついて泣き出してしまったのでピートと2人で肩を支える。


「ごめんね。もうちょっと詳しく話して欲しいから場所変えてもいい?」


彼女は泣きながら頷いた。私はピートにもお願いして一緒に来てもらい騎士コースの教官とこの女の子の専門コースの先生に午後からの授業は休む事、お話のできる部屋を貸してくださいとお願いすると、私達3人を見回してただならぬ雰囲気を感じ取ってくれたのかそっと小会議室の鍵を貸してくれた。


ピートがお茶をいれてくれてそれぞれの前に置いてくれる。


「ありがとうピート。それじゃお名前を伺っても?」


女の子は少し落ち着いたのかお茶を飲みぽつりぽつりと話してくれる。


「ミア、私はミア。私の友達が王子を好きになって。王子に言われるままに全てをあげた。」


「全て。」


「それだけじゃない。使いっ走りみたいに物を持ってこいって命令されたり、学校の仕事を代わりにしたり」


「ふむ。」


「挙句の果てに、お前はあいつと違うって言われて急にうるさいって叫び出して!もう顔を見せるなって!」


思い出して感情が甦ったのかまた声が大きくなっていく。ミアが叫んだ時、耳に鮮やかな黄色のピアスが見えた。


「ふむ。わかった、でどうしたいの?」


「どうしたいって?」


「ユーリをどうして欲しくて私の所へ?文句を言いに来ただけ?」


「……傷付けた事に対して反省して欲しい。」


「分かりました。とにかく話すわ。」


「はい。」


ミアはそれだけ言うと肩を落とし歩いて帰ってしまった。


「ピート、ユーリに好きな人を探せばって言ったの。でもこんな方法で探すなんて思いもしなかった。」


「ねえ僕も一緒に行こうか?」


「うーん大丈夫1人で。」


最近ピートの名前を出すだけで不機嫌になってしまうからなぁ。




「ユーリちょっといい?」


城に帰って来たユーリをユーリの部屋の前で待って話しかけた。


「なんだ?俺は忙しいんだ。」


「今日ユーリの話を聞いた。女の子を傷付けてるって。」


「噂だろ。」


「1人じゃなくて沢山の女の子を傷付けてるって。聞いた色んな人から。」


ユーリは少し体を緊張させている。あの低く掠れた声でこちらを見ずに言う。


「だったらなんだ?俺の事を捨てたお前に関係ない。」


「えっ先に捨てたんわ君やん。私はホストを諦めて君の婚約者になる決意したのに。急激な責任転嫁やめて。」


「あれは……違うんだ。子供だったし。」


「いや最近まで言ってはりましたやん。」


「それは……。」


「ねっ?だから私が捨てたわけじゃない。私を捨てたんでしょ。そんな事より女の子と付き合うのは勿論良いけど傷付けるようなやり方はやめなさい。ちゃんと愛してあげて。」


「良いのか!俺が誰と付き合っても関係ないって!そうだよなぁお前はピートと付き合っているだからな!だったらお前にも関係ないだろ!ほっといてくれ!」


ユーリはバタンと扉を閉めてしまった。


「あれぇ?おかしいぞぉ。」




「で真由どうしたの?」


「王様びっくり仰天です。」


「えっなになに?」


「ユーリは本当に最近まで私を婚約者と認めないって言ってたんすよ。」


「うん知ってるぅ王知ってるよぉ。」


「はい。でユーリも学校行くししゃあないから婚約破棄しましたよね?」


「うんごめんね。その為に来てくれたのにごめんね。」


「ああそれはいいんですが、ユーリ最近めちゃくちゃ不機嫌で私に対してめちゃくちゃ怒ってて。」


「ええッびっくり仰天!」


「そうなんすよぉ。でも多分私を好きだとかそういうのとは違う気がするんですよね。」


「うーん。どうしようかなぁ。」


「はいどうしましょうか。」


「まあとにかく君はユーリのそばに居て。ちょっと考えるから。」


「はい。」



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