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10、7歳になった2人


「パフェよこせ!」


「ダメに決まってるだろ!」


といつも通り真由と言い合いする。ここに来てもう2年程経つのに真由は本当に変わらない。ここでは7歳になったが真由はもう充分大人の筈だ。


「今日はもういいんじゃないかポール。パフェ位食べさせてやってくれ。」


と部屋の扉から王子が現れて言う。


「あっはい。」


と返事をしてすぐに王子から離れ部屋から出る。やはりどうしても王子が怖くてたまらない未だにあの全てを見透かすような目が怖い。デイブは気にするなと言うが彼の言う事でもそれだけは聞くことができない。

ちらっと扉の隙間から2人を覗き見る。7歳になって2人はますます距離が近付き仲良くなっている。


「なんだかお姫様と騎士みたいだ。」


と思う。僕のド偏見で申し訳ないが真由は完全に騎士のように色んなものから王子を庇うようになった。特に思うのが人との挨拶だ。婚約者と名乗り大体の受け答えを真由がして王子はニコニコとしているだけであまり話さない。そして2人きりになると王子の背を摩り吐きそうな王子を介抱する。

王子は以前よりも笑顔でいる事が多くなった。真由といる時の笑顔とは全く違う作り笑顔だが人当たりが良くなったともっぱらの噂だ。王はますます真由を選んで良かったと言うようになった。確かに僕もそう思う。王子は本当に笑うようになったし子供らしくなった。


「真由は本当にパフェが好きだな。」


「うん。それにあの街のフルーツジュースも。」


「そういえば今年も2杯ずつ飲んだな。来年は何にしようか?」


「うーんやっぱりあのホットドッグは外せないね!」


「好きだもんな、それに城では食えないし。」


「うん。来年も誕生日のお祝いしようね。」


「ああ。」


そして2人だけの秘密も多くなった。子供なのに色んな事を大人には言わずにあの小さな背中に大きな何かを背負って生きているようだ。

僕は真由の執事で身の回りの世話をするように仰せつかっているが彼女の事で知っている事と言えば元彼は最低だった事とホストクラブに行こうとしてた事位で後は何も知らないし彼女は殆ど自分の事を話さない。

一度少し話した事がある。


「真由は弱音を吐いたりしないね。僕は口が堅いしなんでも聞くよ。」


と言うと、


「ポールってほんまに上手に何かを隠してるよね。ユーリじゃないけど私もそんな人には言われへんわごめんね。気持ちだけもらっとくありがとう。」


と言われてしまった。真由はやっぱり大人なんだと思った。よく人を見ていて気が付くのだろう。

でもその理論でいけば王子は全てを真由に話し真由も王子に。そりゃ仲がいいはずだ。


「さあパフェを持ってきましたよ。」


と声をかけて部屋に入る。僕が入るとピタッと話が止まりすぐに違う話を始める。


「ありがとうポール。」


「美味しそうだ。」


「では僕は下がります。後はお2人で。」


と部屋を後にした。2人の声は聞こえない。



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