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      第10話 ブリーカーボブスの戦い -本当の戦い-

 

「村を出てから、もう八日……」

 白蘭は飛空艇の甲板に立ち、握り締めた拳をワナワナと震わせていた。

「アイズ達は見つからない。そして今日もまた、もうすぐ日が暮れようとしている……なのに」


「わーっ、いい眺めですねー、ロバスミさーん」

「村で見る夕焼けも綺麗ですけど、やっぱり海で見る夕焼けも綺麗ですよねー」


「なーんであんた達ってばそんなにノンビリしてんのよーっ!」

 振り返り、白蘭は怒鳴った。

 背後で朗らかに談笑していたナーとロバスミが「ん?」と顔を上げる。

「だって白蘭、焦ったって仕方ないじゃないか。こっちの方に向かったことくらいしか手がかりがないのに、そう簡単に見つけられるわけもないし……」

「何よーっ、ロバスミのくせにーっ! あの二人が心配じゃないのーっ!? ナー、あんたはどーなのよーっ!」

「半径100km以内に人工の飛行物体はないですーっ。って言うか、とっくに進路変更して大陸側にいるんじゃないですかー?」

「何よーっ! ナーのくせにーっ! あんた時々メガネ外すようになってからナマイキよーっ!」


 白蘭達は今、ブリーカーボブスから200kmほど離れた海域に入っていた。この辺りには浮遊島が多く、その中の一つにはプライス博士の研究所もあるのだが。

「研究所の設備を使えば、トトと直接交信することもできると思うんだけど……どれがどれだかさーっぱりわかんないわ」

「生まれ育った場所じゃなかったの?」

「うるさいわね、ロバスミのくせにっ。研究所はハイムの追跡から逃れるためにカモフラージュされてんのよっ。ナー、あんたわかる? ……ナー?」

 ナーは一人、釈然としない表情で周囲の景色を見ていたが、

「何だろう、この感じ……っ!?」

 突然レーダーに“ある反応”を捉えた。

「ロバスミさん、緊急着水! 動力炉を停止させて!」

 驚いてナーの視線を追う白蘭とロバスミ。すると、海と空の境界線がぼやけていくのが見えた。

「アステルの風が来るわ!」

 即座に着水して動力炉を停止させるロバスミ。甲板の物を縛りつけに走り回る白蘭とナー。アステルの風に押し流されて、浮遊島が次々と移動し始める。


 やがてすべての作業を終わらせる間もなく、アステルの風は飛空艇を直撃した。




第10話 ブリーカーボブスの戦い -本当の戦い-




 ブリーカーボブス、外壁。

 光の翼を背に立つフジノの前には、輝きを失い倒れているノイエの姿があった。

「自爆が……止まった……?」

 グラフを羽交い絞めにすることも忘れ、呆然と呟くアート。

 解放されたグラフは即座にノイエの魔力を探り、今まさに爆発しようとしていたはずの全魔力が消失していることを確認した。

「相殺したのか。あれだけの魔力を、一瞬で……!」


「あ……あれは……」

 驚愕の余りに言葉を失くすスケア。

 その腕に抱えられながら、ルルドが小さく呟く。

「……ママ……?」


「フジノ・ツキクサ……!」

 震える腕で上体を起こし、ノイエは目の前にいるフジノを睨みつけた。

「君まで。君まで僕達の邪魔をするのか? こんな奴等の味方をする必要なんかないじゃないか!」

 フジノの答えを待たず、ノイエは話し続ける。

「君には力がある。戦いに勝利する力がある。何より君は、戦うことが好きなはずだ。僕にはわかるんだよフジノ……でも、あいつらは!」

 ノイエはオードリーやカシミール達を指差した。

「あいつらは違う。あいつらは話し合いで物事が解決すると思ってる。甘いね、そんな考えは甘いんだ! この世界の基本は弱肉強食だ、戦いに勝利し続ければやがては国も強くなる。そうすれば戦う力のない大多数の国民も平和な暮らしを得ることができる! それを可能にするのが僕達のような兵士なんだ!」




 

「さあ、君はこんな所にいるべきじゃない。僕と一緒に戦おう。そして二人で永遠に戦争を続けるんだ!」





「…………!」

 かつての自分と同じノイエの台詞に、スケアは低く呻き声を上げた。

 昔スケアが口にした台詞は、ある意味現実のものとなった。アインスの死後、リードランス大戦が終わってからもずっと、フジノとスケアの戦いは続いていたのだから。

「まだ……まだ終わらないのか、私達の戦争は……」


「いいえ、スケア。もう戦争は終わったわ。貴方と私の、戦争は」

 ノイエを真っ直ぐに見つめながら、フジノは言った。

「こいつは貴方じゃない。そして私は、もう過ちを繰り返しはしない」

 そしてノイエに問いかけた。

「貴方は“生きる”ということがどういうことか、考えたことはある?」

「戦うことだ」

 ノイエとの応答は、かつてアインスとスケアが交わした会話とことごとく一致していた。スケアが苦しげに顔を伏せ、フジノが小さく頷く。

「そうね。私もそう思ってた。そしてそれは、確かに間違ってはいない。でも貴方は……いいえ、私も。“本当の戦い”を知らなかったのよ」


   /


 ブリーカーボブス深部、シェルターへと続く通路にて。

 レムを連れたトゥリートップホテルの一行は、カルルとハースィードに退路を塞がれていた。

「カルル、レム、ネーナ。かつて花の三姉妹と呼ばれた3人が、今じゃあ殺し合いをしているなんて。なんて運命の悪戯かしらね」

 ハースィードがクスクスと笑う。

 と、突然レムから電撃のようなものが迸り、ハースィードに襲いかかった。

「──っ!」

 咄嗟に避けるハースィード。しかしレムの攻撃は途絶えることなく、徐々にハースィードを追い詰めていく。

 やがて避けきれなくなったハースィードに、電撃が直撃したかに見えた瞬間。ハースィードは大きく姿を変え、裸体に羽毛のコートを羽織った女性へと変貌した。

「な……!?」

 ネーナが、支店長が、グッドマンが。

 そして誰よりもヴィナスが、驚愕に目を見開く。

「それが貴女の……本来の姿ですか」

 毅然とした態度で問いかけるレム。

 見えないはずの瞳で身体の奥底まで見透かされたような感覚に、ヴィナスの背筋がゾクリと震えた。

「ちぃっ、まさか解除されるなんて……!」

 後方に跳躍しながら羽毛を投げるヴィナス。しかし羽毛が手元を離れた瞬間、ヴィナスの正面の空間が歪み、羽毛の進行方向が180°反転した。避ける間もなくヴィナスに突き刺さり、爆発して腕を吹き飛ばす。

「くそっ、何て能力だ! ……ん?」

 ヴィナスは少なからず焦っていたが、レムの変化に気がついてニヤリと笑った。車椅子に座ったまま指一本動かしていないのに、レムが苦しそうに息を切らしている。

「流石ねレム。トトほどじゃあないようだけど、あんたはエンデと同じく【精神の海】の領域に足を踏み入れてきている……でも、もう限界みたいね。今の内に殺させてもらうわ」

「させるかよっ!」

 グッドマンがヴィナスに向かって身構える。

 ヴィナスは腕を再生すると、具合を確認するように動かしながら言った。

「勘違いしないで欲しいわね。レムを殺すのは私じゃないわ、カルルの仕事よ」

 途端、支店長の持つ懐中電灯のネジが外れ、レムの乗った車椅子の車輪が外れた。見れば足元のカーペットもほつれ始めている。

「今のカルルは強いわよ。ネーナ、気をつけないとあんたまで分解されるかもしれないわね。それともその前に、崩壊に巻き込まれて死んじゃうかしら?」

 そうしている間にも分解は進み、ついに床まで崩れ始めた。

「まずいな……このままでは、いずれはブリーカーボブスそのものが分解されてしまう」

 支店長の呟きに、レムがキッと顔を上げる。

「……私の……最後の力で、姉様を止めます」

「そんな、レム姉様!」


 その時、グッドマンが3人を背に庇い、カルルに向かって身構えた。

「レム姉ちゃんはあっちの女を頼む。こっちは俺に任せな!」


   /


「本当の戦いとは、人を殺すことじゃない。物を破壊することでもない」

 フジノは自分に言い聞かせるように言った。

「生きていくこと……そしてより良い自分になるということ。自分自身が理想を持ち、その理想の実現のために努力すること。自らの弱さを克服すること」


   ※


「テーブル、壊してしまって……すいません」

 ブリーカーボブスに到着する直前。

 フジノは食堂での非礼を詫びるため、支店長の元を訪れていた。

「いいんですよ。フジノ・ツキクサさん」

「私のこと……ご存知なんですね。その……恐くは、ないんですか?」

 支店長は頭を掻いて笑った。

「そりゃあね、ネーナや従業員の前ではカッコいいこと言ってますけど、私だって弱い人間です。できることなら面倒には関わりたくないし、自分の身も可愛い。……でも、私はホテルマンなんですよ。そして私には、理想のホテルマン像があるんです。私は少しでもそれに近づきたい」

「理想?」

「そう、理想です。勿論、努力したからといって必ずしも理想通りの人間になれるとは限りませんがね。言ってみれば理想というのは、より良い自分になるための道標。常に理想を抱き、自分の弱いところを見つめ、現実から逃げずに進んでいけば……多分人は、それまでの自分よりも少しだけ、より良い自分になっていけるんじゃないでしょうか?」


   ※


「……そう、本当の戦いの相手は自分自身」

「黙れっ!」

 ノイエがフジノの眼前にL.E.D.を突きつける。しかしフジノは構わずに喋り続けた。

「そして本当の力とは、破壊する力のことじゃない。何かを作り出す力のこと」


   ※


「昔と同じことばかりやってたってダメなのよ、私達はコピー機じゃないんだからさ」

 かつて、まだリードランスにいた頃。

 音楽の指導を受けていた際、ジューヌが教えてくれたことがあった。

「確かに昔の天才のすごさは認めるわ。でもね、私達のするべきことは、彼らの作り出したものの本質を見極め、自分なりに解釈して、まったく新しい自分の表現を作り出すことなのよ。それができなきゃ、芸術家として本当に力があるとは言えないわ」


   ※


「例え何かを破壊したとしても、その先に新しい物を作り出すことができなければ、それは本当の力とは言えない」

「黙れ……黙れ黙れ黙れ黙れっ!」

 叫びながら、ノイエはL.E.D.を振り上げた。

「だったら君には、何が作れるって言うんだっ!」


 戦うために創られた人形。

 人を殺めるために振るわれ続けた両腕が、世界最強の剣を全力で振り降ろす。

 しかしフジノは避けようともせず、L.E.D.の刀身を黄金に輝く手で迎え撃った。


   /


 崩れかける床の上で、グッドマンは能力を解放した。

 周囲の空間が目に見える程に大きく歪み、その身を宙空へと躍らせる。

「グッドマン、何をする気!? ダメよ、今のカルル姉様には近づいただけで分解されてしまうわ!」

「だったら完全に分解される前に終わらせればいい! 支店長、姉ちゃん達を頼む!」

「わかった……しかし、グッドマン君!」

 グッドマンの構えに対応するように、カルルが右手を前に突き出す。かつての戦いでカルルに敗れているグッドマンは、全身を緊張の汗で濡らしながら呟いた。

「俺さ、ほんと言うとすごく恐いんだけど……でも、でもな。姉ちゃん達が殺し合うなんて嫌なんだ。レム姉ちゃんもネーナ姉ちゃんも口やかましくて嫌いだったけど……それでも俺は、姉ちゃん達に幸せになって欲しいんだっ!」


 瞬間、グッドマンは全速力で飛び出した。


   /


 L.E.D.の刃はフジノに触れてさえいなかった。フジノの手のひらに宿る黄金の輝きに阻まれて、紙一枚ほどの距離を残して止まっている。


 ノイエは悟った。

 目の前の少女は、自分がどうあがいても倒せる相手ではないということを。


 ノイエの両手が力を失い、L.E.D.の柄からずり落ちる。フジノはL.E.D.をスケアに向かって放り投げると、ノイエの問いに答えようとして口を開いた。

「私は……」


   ※


「フジノ。後で先生にちゃんと謝らなきゃダメだよ」

 床に転がったバイオリンを拾って、アインスは言った。

 そこはフジノの部屋だった。家具や調度品が滅茶苦茶に壊され、フジノは窓際に頬杖をついて外を見ている。

「あれは君が悪いんだからね。ジューヌの言ったことは、とても大切なことなんだ」

「どうして? あたしはちゃんと弾いてるわ」

 不機嫌さを隠そうともせず、フジノは言った。

「ジューヌ先生の方が、楽譜と違うことをやってるじゃない」

「それはジューヌなりの表現なんだ。その時々の感情に応じて、自由に演奏する……とても難しい、でも素晴らしいことなんだよ」

「感情表現? 楽しく弾く、とか言うやつ? できるわよ、それくらい」

「違うんだ、そうじゃない……君の感情は、とても浅くて片寄ってしまっている。人の心にはね、まだ君が知らない深い感情が沢山あるんだ」

「よくわかんないわ」

 フジノが頬を膨らませる。

 アインスは困ったように微笑むと、部屋に備え付けられたピアノの椅子に腰掛けた。

「“嬉しい”とか“楽しい”っていうのは何となくわかるんだけど……そう、あたし“悲しい”っていうのがよくわかんないの。“悲しい”っていうのは“嫌”ってことでしょ? だったらそんなの、演奏上の表現とかいうのをしなくても、“嫌”な原因をなくしちゃえばそれでいいじゃない」

「そうだね。それももっともだ。でもね、世の中には私達の力では決して消すことのできない悲しみがある」

 アインスは自身の胸に手を置くと、服の上から呪いの刻印を押さえた。

「私も……ずっと君のそばにいてあげることはできないんだ」

「どうして!? アインス何処かに行っちゃうの!?」

「大丈夫。まだ何処にも行かないよ」

 慌てて駆け寄ってきたフジノを抱き上げ、アインスは自分の膝の上に乗せた。

「いいかいフジノ。この世の中には、避けることのできない大きな悲しみがある。でもね、だからこそ私達は、生きる喜びや楽しみを知ることができるんだ。

 私は君に、もっと沢山の喜びや楽しみを教えてあげたい。君が一人の女の子として生きていける世界を残してあげたい。誰もがどんな悲しみをも乗り越えて、それ以上に楽しいことや嬉しいことに出会える──そんな平和な世界を作りたいんだ。その過程で生まれるに違いない多くの悲しみを、この身に背負うことになったとしても」





 ──いつかきっと、君にもわかる時が来る。


           その時は、君も誰かのために──





   ※


 フジノの脳裏に一人の少女の姿が浮かぶ。


 その美しい髪と瞳に、蒼と紅を受け継いだ少女。

 己をも越える魔力と父親譲りの強い意志を秘めた、幼いながらも大人びた娘。


 振り向けばすぐそこに。

 スケアの腕に抱かれて、こちらを見ていることはわかっている。


 ──けれど、今はまだ。


 もう一度胸を張って、彼女の前に立つためにも。





「私はルルドのために……そして私が傷つけてしまったすべての人々のために! 誰も争う必要のない、平和な世界を作ってみせる!」





   /


 音は遅れてやってきた。

 廊下を破壊し尽くすほどの強烈な衝撃波と共に、グッドマンがカルルに突撃する。

 カルルは避ける間もなくグッドマンと共に吹っ飛び、奥の壁に激突した。カルルを壁に押さえつけたままグッドマンは動かなくなり、カルルの右腕が振り上げられる。

 しかしその手は、力なく床に落ちた。

「ありがとう、グッドマン。今なら、きっと……」

 レムの呟きと共に、カルルの周囲に光の粒子が出現する。途端、ヴィナスが反応した。

「バカな、カルルのコントロールが切れた!? くそっ、こうなったら!」

「おっと、そうはいくか!」

 ヴィナスが何かをしようとした瞬間、バジルが現れてヴィナスに剣圧を叩き込む。カルルの能力と衝撃波の影響で脆くなっていた床はあっさりと崩れ、ヴィナスは瓦礫ごと階下に落ちていった。

「大丈夫か、レム!?」

「私は大丈夫です……それよりも、グッドマンとカルル姉さんを……」


 グッドマンは皮膚の一部や指先などを分解されてはいたが、晴れ晴れとした表情で気を失っていた。どうやら命に別状はなさそうだ。

「もう……バカなんだから」

 目に涙をためながら、ネーナが微笑む。

「あんたに何かあったら、姉さんどうすればいいのよ!」


 その時、カルルが目を覚ました。慌ててネーナを庇う支店長。しかし、

「……あ……ネ、ネーナ……? ど、どうして……ここ、に……」

「姉様……? カルル姉様!?」

 ネーナは慌ててカルルに駆け寄ると、背中に腕を回して上半身を抱き起こした。

 震える手を精一杯に伸ばし、カルルがネーナの頬に触れる。

「どう、したの……? どうして、泣い、て……るの……?」


 低く落ち着いた声。

 すべてを包み込むような暖かな雰囲気。

 まともに動かないであろう自身の損傷を気にも留めず、家族の安否を気遣う姿。

 実に10年ぶりに、カルルは本来の彼女に戻っていた。


「カルル姉様……! やっと……元に……!」

 優しく拭われた目尻から、更に大粒の涙が溢れ出る。

 傷つきながらも暖かな姉の手を握り締め、頬を摺り寄せて。


挿絵(By みてみん)


 ネーナは、泣いた。


「すまないけれど、ネーナ。再会を喜ぶのは後だ。早く二人の手当てをしないと……落ちていった敵の様子も気にかかる」

「は、はい……すみません、支店長」

 支店長に促されて泣き止むネーナ。

「待ってて下さいね姉様、すぐにケール博士の所にお連れしますから」

「ケール、博士……そう……うっ!?」

 突然、カルルが苦しそうに頭を押さえた。


「どうした!?」

 ヴィナスと共に崩落した場所を警戒していたバジルが、異変を察知して駆けつけてくる。

「これは……カルル君、聞こえるか!? スリープモードに入るんだ、早く!」

 バジルの指示を受け、カルルが意識を強制的に閉ざす。


 レムもまた“何か”を察知し、呟いた。

「来ましたね……エンデ……」


   /


 同時刻。

 アイズ達は南方回遊魚の中からモニターを通してフジノ達の様子を見ていたが、もう一人のトトが“何か”に反応した。

『いけない、彼女を殺しては……エンデ!』


   /


 ブリーカーボブス外壁では、ノイエがフジノの前で圧倒されていた。そこに“何か”が入り込み、ノイエの身体がビクンと揺れる。





 ノイエの唇が、微かな笑みの形に歪んだ。




 

 

【浮遊島】

 空中浮遊する移動性の島。高度や移動速度は規模によって差が出るが、気流に乗って漂流し、時には大海や大陸を横断することもある。エコーデリックや電波の飛び石、アステルの風と同じく世界七不思議の一つ。

 プライス博士の研究所は、かつてリードランス王国が国立天文台を建設し所有していた浮遊島を改造したもの。ブリーカーボブスをも遥かに上回る巨大な乗物としても機能するが、エネルギー消費が極めて激しいため、普段は流されるままに移動している。

 ツェッペリン、L.E.D.そしてリードの体内に宿された魔力炉の原型は、いずれも元々は研究所の移動用動力源及びエネルギー放出機構として、プライス博士とペイジ博士が共同で研究開発していたものである。

 

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マリオネット・シンフォニーは週連載作品です。
更新は毎週水曜日を予定しています。

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作者ブログ 森の詞

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