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決戦3

 

 膝枕をしてもらって、ヒールをかけてもらう。しかも生膝枕とか、女の夢でしかない。


「ああ…ここが天国だ…私はさっきまでどこに行こうとしてたんだ…」

「ちょ!ちょっと…頭すりすりしないでください!くすぐったいです」


 こんなことしても、怒らないとか天使かよぉ!この太ももと一つになりたいと心から思う。もし私が太ももだったら、相棒が歩くたびに相棒の相棒が私にぺちぺちと当たるのだろうか…ぐへへ。

 そんな不埒な考えをしていたら、相棒が白い目で見ている。


「レイさん!今変なこと考えてたでしょ!そんなこと言ってるともうヒールかけませんよ!」

「ごめんごめん、もうしない」


 くぅぅぅぅうう!!!可愛すぎる!!!なんだこの恋人みたいな会話は!?

 処女歴 = 年齢の女冒険者でこんなことしたことある奴いないだろう。そもそも、こんなにも尽くしてくれる男性など世界中探してもいまい。つまり、私が世界一幸せな女ということだ。


「レイさんホントにひどいけが…こんなお腹のところまで」

「ぴぅぅぅうう!!ご…ごめん、くすぐったくて、変な声が出た…」

「あはは!治療なんだから我慢してよ」

 

 頭の中で幸せという文字がスパークする。くすぐったかったんじゃない、本当は気持ちよかったんだ。もっと私のお腹を触ってほしい。そして、願わくばそのもう少し下も…。そんな時にぴったりのサービス文句が飛んでくる。


「レイさんお加減はどうですか~、かゆいところはございませんか~なんちゃって」

「ああ、少し痛いところがあってな…さすって欲し…いや、何でもない」


 危なかった…ナチュラルな流れでセクハラするところだった。もう本当に愛おしい。体が無事だったら絶対にいますぐに押し倒しているだろう。現に禁断症状が出始めている。


「ぐうううう、おさまれ私の右腕!!」


 回復してもらった手が自然と要らぬところを触ろうとしているのだ。それを動く左手で押さえつける。いや、違う左手も触りたがってる。左手と右手が喧嘩しているのだ。だが、私にとっては好都合だ。触りたいが、触ったら相棒に嫌われる。

 だが、こんな至福の時間も長くは続かない。

 

「坊や!!女!!まだかの!!こっちはもうギリギリじゃ!!」


 長老から声がかかる。モンスター娘軍も押されているようだ。やっぱり、あの天嵐狼…数でどうにかできる相手ではないのか?冒険者組合で言うならSランクが対応する案件だろう。


「くっそ、この狼全然動き止まらねえ!」

「傷ついた奴は後ろに下がれ!絶対に一撃でも貰うなよ!」


 戦場では怒号が飛び交う。ゴブリン娘は指示、蜂娘は上空から攻撃、狼娘はかく乱、植人娘は後衛、見事な連携だ。しかし、天嵐狼には傷を負わせるまでには至っていない。それにまた、あの充電が間に合ったら…。


「相棒、私はもう大丈夫だ。体も動くようになってきた」


 何とか、動けるようになった。一時は死ぬかと思ったところからよくここまで持ち返したものだ。

 ふと、頬にポタリ、ポタリと水が落ちるのを感じた。

 


「相棒…泣いてるのか?」

「いや!その!ごめんなさい。レイさんが生きてるんだと思うと…安心しちゃって、その!まだ早いですよね。全然まだ助かったわけじゃないし、あはは…」


 ふと、心に小さな炎がともる。

 


「相棒…私なんか見捨ててくれても良かったんだ。そんな泣かなくても…」

「そんな考え…できませんよ」



 相棒が泣いているのが辛い。慰めてあげたい。



「私みたいな冒険者…掃いて捨てる程いる…泣く必要はない」

「そんな、考えできませんって言ってるでしょ…だってレイさんは僕の…大切な相棒なんです!!」



 心の炎は大きくなる。

 


「レイさんの少しエッチなところ!レイさんの真面目なところ!レイさんの強いところ!レイさんの好きなもの!一緒に冒険して色んなところを知りました。色んな所を知ってもう相棒って思っちゃったんです!!!僕はレイさんに――()()に生きて欲しい!!!」


 心の大炎は燃え盛る。

 相棒も…レイ君も私のこと相棒って思ってくれてたなんて…。嬉しい、とにかく嬉しい。しかし、もう一つの感情も存在する。

 泣いてほしくない…笑顔でいて欲しいという感情だ。笑って、私を受け止めて欲しい。

 

 するとどうだろう、一つの疑問が生まれるではないか。


「誰だ、相棒を泣かせているのは…」


 私の弱さだ――あの狼を倒すことのできない私の弱さだ。

 どうすれば泣き止むだろう――決まっている…()()()()()()()()()()()


「相棒…私の一生をかけて君を守る。だから泣かないでくれ」

「…え?」

「見てろ、今日は狼鍋だ」

「ちょ!ちょっと相棒!!」


 言ってやった。もう後には引けない。絶対ここでやるしかないんだ――見ててくれ相棒。


「おい!!モンスター娘共もういいぞ。助かった。下がってくれ」


 嫌いだが、相棒の衣服をかっぱらった憎いやつだが認めねばなるまい――私を助けてくれたことを。礼を言わなければなるまい――ありがとうと。モンスター娘軍ももうそろそろ限界であるため、不平不満を言いながら下がっていく。


「ち、なんだよ!無事なら無事って早く言えよ!」

「下がれみんな、あとはあの女の援護だ!」


 ザザっと前へ出る。あの狼は私を視界に捉えてあらん限りの殺気を送ってくる。


「てめえ、さっきはよくもやってくれたな」


 私も殺気を飛ばし返す。

 回復したといっても、体は全快では無く節々に痛みは残っている。しかし、それは相手も同じこと、度重なる戦いで明らかに疲弊している。


「なんだ、来ないのかよ」

「ヴオオ…」


 私の挑発に小さくうなって返してくる。勝負は一瞬だ、お互い期を伺っているのだ。

 

 ……

 

 …パキリ、枝の折れる音


「今だ!!」


 狼と私の影が交錯する。最強の右ストレートでぶっ放す!!懐へもぐりこむ。


「な!?くそ!!なんでそこで止まるんだ」


 天嵐狼は爪ではなくその大きな顎で攻撃してくるようだ。読み間違えている。その大きな顎が近づいてくる。


「んなくそおおおおお!!!」


 体をひねりその大あごを両腕で掴む。体は上顎、手は下顎をとらえている。これでは天嵐狼もその牙を使うことはできない。嫌がった天嵐狼は必死に体をよじる。


「暴れるんじゃねええええ!!このくそいぬううううう!!」


 顎をとらえたまま必死に力を込める…すると、少しずつ天嵐狼の足が浮き始める。焦った天嵐狼は足をバタバタと動かしながら、光を集める。バチバチと毛が音を立て始める。金色の毛はさらに光を増す。


「相棒!危ない!!逃げてください!!!」


 そんな言葉もむなしく天嵐狼のフラッシュは私を飲み込む。バチィイ!!バチバチッ!と周囲から音がする。


「熱い…熱い…がそんなもの効かん!!!私の心の熱さを舐めるなよ!!うおおおおおりゃあああ!!!」


 天嵐狼の電撃などお構いなし。その顎を持ち、振り回し地面へたたきつける。ドッゴーーーンと激しい音がする。それも一回、二回、三回…。

 

 狼はピクリとも動かなくなる。そして、私は右腕を高く突き上げるのだ。

 

「「「「うおおおぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」」」


 あたりはモンスター娘達の歓声に包みこまれる。見ててくれたか相棒…

ここでシリアスムードもおさらば。

次回からまた日常パートに戻ります。

ギャグをかけてなくてごめんなさい。反省はしてます。

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