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罪人として扱われる

 力でその王位と、そして命をも奪おうとした私を、王は許しませんでした。


 もはや女神の祝福を失い、呪いをその身に負うばかりとなった弱い私を王は捕らえ、私は裁きを受けました。


 私は絞首刑となりましたが、女神の呪いのため、一度死んでも半日ほど経てば復活してしまう体となっていた私は、死ぬ事はありませんでした。


 不死、そして不老の呪いを受け、私には死ぬ事は許されなくなっていたのでございます。


 私は、爵位を奪われ、妻とも離縁させられ、王都のとある一角の路地に、足を鎖で繋がれて晒される身となりました。


 見張りのための兵が一人、私のほど近くで私の様子を見ておりましたが、彼はそれ以外には何もしませんでした。


 鎖で足を繋がれ、その場から移動出来なくなった私のもとには、嘗て私から酷い仕打ちを受けた者、家族を殺された者などがやって来て、私に罵声を浴びせ、つばを吐きかけ、石を投げつけました。


 私に恨みを持つ者達は私の所にやって来ると、ここぞとばかりに私に復讐しました。


「お前に殺された、父の敵だ!」


 ある者はそう言いながら、私に剣を振り下ろしました。


「よくも……よくも、うちの子を! うちの子を!」


 ある者はそう叫びながら、私にナイフを突き立てました。


 不逆さからわずの呪いを受けた私は、彼ら、彼女らに反撃する事も、防ぐ事も、言葉で反論する事すら出来なくなっておりました。手で相手を防ごうとすると、とたんに体が動かなくなってしまうのでございます。


 私はただ、何も抵抗できず、なすがままに復讐を受け、その度に生き返りました。


 その当時、私はこのように密かに思っておりました。


 私は、魔王を倒した功労者ではないか。王の位を欲して何が悪いと言うのか。


 私怨や私欲で多少人に損害を与え、奪い、殺したところで、私がなした功績に比べたら些細なことではないか。


 そんな私が、なぜこのような仕打ちを受け、呪いをこの身に受けていなければならないのか。


 確かに私は多少は悪いかも知れないが、これ程までの仕打ちを受ける筋合いは無い。


 不逆さからわずの呪いのせいで、弁明も反論も出来ない私でしたが、心の中ではそのような事を思っていたのでございます。


 後から聞いた話では、私の元妻であったセレスティアは、私と離縁した後、とある地方の貴族へと嫁いで行ったと聞きました。


 また、私の弟と妹は、遠方の親戚の家に引き取られ、そこで生活を始めた、とも聞きました。


 路上で日々を過ごす私には、食事も水も与えられませんでした。雨風を凌ぐ屋根も壁も無く、私は私は昼は渇き、夜は震えて過ごし、しかしながら飢えて死ぬ前に、私のもとに復讐にやってくる人々に殺されては、また生き返る日々を過ごしました。


 死んでも生き返る私には、食事など与えるだけ無駄であるとの判断であったのでございましょう。


「私の妻は、お前に犯されてその後自殺した! 覚えているか! 俺はその夫だ! この恨み、今晴らす!」


 ある日は、一人の男にそのように言われ、私は首を絞められて殺されました。


 不忘わすれずの呪いを受けていた私は、その人物も、そしてその妻も、覚えておりました。そして、おお、確かに私は彼の妻に、以前そのようにしたのでございます。忘れようにも忘れられません。


 私は、戯れに人を殺し、村を襲いました。敵国との戦争中であったとは言え、確かに私は、敵であった者達に、それをしてしまったのでございます。


 私が力を失った後、かつて私の力に頼って大陸を統一した王国に対し、いくつかの地域で反乱が起こりましたが、王は賢明にも対話によって戦争を避け、ある地域には自治を与え、ある民には充分な補償を行い、大陸は何とかその秩序を保ち、大きな戦争は起こらずに済みました。


 そして、かつて戦争に破れた国の民たちは、その恨みと怒りを、この私に向けたのでございます。


 そばに居て私を見張る兵は、私を助ける事などはせず、ただ私の受けた復讐を記録しておりました。それを一体誰に報告していたのか、それは私には分からないことでございます。


 そのようにして、人々から罵られ、暴力を受けて殺されては生き返る、そのような日々が私には続いたのでございました。

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