初めての共同作業
「きゃあっ!?」
「うわぁっ!?」
衝撃でエミリーとファビアンが落ちそうになるがダークが灰色の翼をバサーと広げ2人を支えた。
私とヒュドラはよろけて少し落下したが体勢を立て直す。
ーーごめん! 乗ってたの忘れてた!
「お気にせずに戦って下さい。エミリーさん貴女に勝敗はかかってますよ」
「私!? えっ精霊じゃないの!?」
「精霊は参加しているだけでいいんですよ。後はどう倒すかが重要で、光属性のエミリーさんが鍵を握ってます」
ニクセが「水の矢!」と叫び魔法を気絶してないヒュドラの目に刺した。悶え苦しむ1つの首。サラマンダーがその首に近づいてアーダルベルトが剣で首を深く斬りつけた。
「ウオオオオォ!?」
大ダメージを負わせることに成功する。
ーーやるわね。エミリー私たちもやろう!
「我が主人がエミリーさんと協力したいそうです」
もしかするとできるかもしれない。そんな冒険する気持ちが私を後押しする。
ーーダーク。ファビアンをよろしく。
「わかりました。ご健闘を祈ってます」
「どうしろというのよ? 考えが全くわからない」
シルフがオットーを振り回して竜巻を発生させた。ヒュドラは目を回した。シルフとオットーもふらふらだ。
ーー聖剣になるのよ!!
「聖剣になって欲しいようです」
「はあああ!? 使い手いないじゃないの!? 意味ないし!?」
ーー大丈夫。任して。
「任せろって言ってます」
「……だあも〜。わかったわよ〜」
ファビアンを運ぶダークは「楽しみです」と呑気に空に飛んで行った。
ええ。確かに楽しみね。わたしとエミリーの絆、川崎 愛 と 七海 綾 の血の繋がりははたして剣に認められるのか?
私はエミリーを手で掴んだ。エミリーの緊張した表情に大丈夫だよっと励ました。ヒュドラより高く高く真上へと飛ぶ。
「シャーーーッ!」
ーーいくよ!
ドラゴンが頭から下へと真っ逆さま。ドラゴンの姿からシャーロットの姿に変化した。エミリーは聖剣となりシャーロットの手の中に収まる。
「何だと!? 闇の者が聖剣を握るのか!? ありえぬ!?」
「ありえねーのはお前ら親子の方だわ!?」
聖剣の剣先をヒュドラの胸に突き刺す。
「愚者の微笑み!」
「グオオォォォ!?」
白い斬撃がヒュドラの胸を割き、血飛沫を上げる。ヒャドラは黒く光ると魔導石となりパラパラと粉々になり地上へと崩れる。
「エンドね」
聖剣を鞘に戻したところでどうやって空を飛ぶのか迷った。ドラゴン姿になれない。魔導石と一緒に落下するしかないのか。
ーー「シルフ、サラマンダーを神の器として認めます」
エミリーの声が頭に響いた。これは運命の女神?
シルフとサラマンダーが光り、形状を変えた。シルフは金髪が伸びて肌の色が黒くなり、大人な女性になった。風の魔法でオットーも私も浮かしてくれる。
「ありがとうシルフ」
「いいのです。これぐらい当たり前です」
「シルフ……心も成長した?」
「かもしれませんね」
ーー音痴な歌を聴かずに済みそうだ。
サラマンダーはひとまわり大きくなり炎のドラゴンになった。聖剣が光り輝きエミリーの姿に戻ったのでドラゴンに乗っけた。
「これでヒュドラを倒して、精霊も無事神化できたわね。次行きましょう」
「……ママ。私達には絆があったんだね」
「……みたいねぇ。認めるしかないか」
「何を?」
「あんたが私に似ているってこと!」
「な、にてないし!」
「強情なところがそっくりね〜。もう行きましょ〜」
「はい。次は天界ですね。参りましょう」
シルフの落ち着いた声がやけに響いた。




