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ゲームスタート

ムチ技紹介

●しびれ打ち(全体の敵に1回づつ攻撃&麻痺7割)

魔力2精神力3消費

 


 足がふらつく。宙を浮いている様に足元が覚束ない。腹部が締め付けられる痛みに私は、多分私が目を覚ました。


 ーーえ?


 辺りは中世ヨーロッパの舞踏会の様だった。華やかな色とりどりのドレスを纏う女性達。きっちりとでも華やかな貴族の衣装を着た男性達。あどけない少女と色っぽい大人の中間ぐらいの歳の女性達に、無邪気な少年と凛々しい青年の間ぐらいの歳の男性達。みんなして私を見ていた。


 ーーみんな若い!コスプレイベントに来ちゃった! 私おばさんだから? だから注目してるの?!


 よく見ると、目の前には短い赤い髪に赤い瞳の野性味溢れる男がいた。貴族の格好も赤い。その男はピンクの髪を可愛らしく編み込みしてくるんと輪っかにしてまとめたピンクの瞳にまたしてもピンクのドレスを着た小柄な女を庇う様に抱き寄せている。ピンク女は残念そうに一瞬顔をしかめたがすぐに可愛らしく赤い男に媚びを売った。


「さっさとこの女を牢獄にぶち込みましょ〜」


 ぶりっ子キャラのように甘ったるい声でした。


 ーーこの女ってどの女? え? てかみんな白人みたいに顔整ってるな〜。ここは外国人のオタクのイベントかな〜?ていうか頭痛いんだけど。


 貧血気味な頭。腹部が圧迫されて息苦しい。踵が高いヒールを履いているせいか足元がふらふらする。自分の姿を見下ろすと、ありえへんもんが見えた。


 胸の谷間。


 生前は貧乳だった。今のこの胸でかいし重い。


 ーー私にはそんなものなかった筈だ。これは作り物か?! コスプレの技術って怖ああ!え?でも感覚ある?意味わからん!


 ちなみにオフショルダーの紫のドレスを着ていた。足元まで長い裾。中にパニエを履いており横幅が広い。


 顔面蒼白な私にピンク女は嘲笑う。私はキンキンと響く高笑いにますます頭が痛くなり、頭を右手で押さえた。


 すると


 体力:◆◆◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 魔力:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 精神力:◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ↓


 と目の前に画面が現れた。


 ーー何じゃこりゃー!? ついにVRMMOの世界に迷い込んだのか!? え?や、やったー......? 体力低くない? え? 精神力0? どゆこと?


「ふんっ。この後に及んでまだ諦めていないのか!俺がお前に引導を渡してやる!」


 と赤い男が叫びました。俺様キャラの様なイケメンボイスでした。

 赤い男は腰に帯びていた剣を鞘から抜き、こちらにその剣先をむける。


 その後ろにいる青い髪の眼鏡をかけた有能そうなキリッとした青い眼差しの青い貴族の格好の男は手に金属の装飾が施された杖を持って、眼鏡のフレームを人差し指でくいっとあげる。


 赤い男の私から見て右にいる茶色いくりっとした目に茶色い肩まで伸びた髪の茶色い貴族の格好の少年は怯える様に拳を構えた。


 青い男の左には緑の背中まで伸びてる髪の緑の垂れ目の緑の貴族の格好をした男がめんどくさそうにナイフを構えた。


 ーー赤青緑茶色のイケメン男とピンクの女。なんてカラフルなんだ! まるで乙女ゲーム! ん? なんか見覚えがあるぞ! 思い出せない!


 ▼戦闘が開始されました!


 と急に表示が出た。


 ▼選択して下さい。


 ●たたかう

 ●防御

 技 ●乱れ打ち●緊縛

 魔法 ●闇の羽衣●闇のゆりかご

 装備●コルセット●ピンヒール

 ※この戦闘は逃げられません。


 ーーえ? ちょっとたんま。 え?


 とりあえず、ゲーマーだった頃を思い出して●乱れ打ちを人差し指で目の前の画面をタッチする。画面を触った感覚はないが、タッチ出来た。


 すると私は自動で身体が動きドレスをたくし上げ、太もものガーターベルトに引っ掛けていた鞭を取り出した。


 自分の意思を無視する身体に大混乱な私。表情も自由に動かせなかった。


 ーー太ももをこんな大衆の面前で晒してしまった!? え!? てか鞭なの!? 無知だけに!?


 周囲の男は頰を赤めて、女は目を尖らした。


「何あれ恥ずかしい。女王様気取り?」


 それを黙らす様にバチンッと床に鞭を打ち付ける自動モードの私は、妖艶に笑いながら敵に(?)鞭を打ち付けた。


 バチンバチンバチンバチン


 計4回。1という数字が攻撃を受けた敵の頭の上に表示された。赤い髪の男に1が2回に混乱、茶色い髪の少年に1が1回、ピンクの女に1が1回。


 ーーあのRPG思い出しちゃった。


 私はRPGが大好きだった。ビッグタイトルは大抵やり尽くしている。真のエンドにたどり着くまで攻略法をネットで調べたりした。どはまりすると分厚い攻略本も買った。本当楽しいかった。



 体力:◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 魔力:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 精神力:◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ↓


 と表示。体力が2減って、精神力が1回復しました。


 ーーえ?今の技って体力消費するの?ただでさえ体力低いのにやってしまった。


 赤い男は味方の緑の男に火炎斬をあやまって発動した。火をまとった剣が緑の男に振り下ろされて、緑の男は顔をしかめた。緑の男の服を一部焦がして肌を傷つけた。3と火傷と緑の男の頭の上に表示された。


 緑の男は赤い男に向かって怒る。


「王子!何をするんですか!」


 王子と呼ばれた赤い男は「わ、悪い間違えた」と剣を掴んだまま身体をふらふらさせている。王子の仲間は皆王子からみな離れた。


 ピンクの女は「アーダルベルト殿下ったら!おドジね!」と目を釣り上げて文句を言う。


 ーー赤い男ってアーダルベルト殿下っていう王子なんだ! なんで私は王子と戦ってるの!? どんなゲームだよ!


 また


 ▼選択して下さい。


 ●たたかう

 ●防御

 技 ●乱れ打ち●緊縛

 魔法 ●闇の羽衣●闇のゆりかご

 装備●コルセット●ピンヒール

 ※この戦闘は逃げられません。


 と画面が表示される。


 ーー乱れ打ちは体力削ったから、闇のゆりかごかなぁ。なんとなく回復しそう。


 闇のゆりかごをタッチすると、また自動モードになった私は「闇のゆりかご!」と両手を広げ叫ぶ。初めてここにきてから自分の声を聞いたが、生前と同じ声だった。けど、女王の様に堂々とした声に自分ってこんな声出せたんだと驚いた。


 ピンクの女は「ふふふ。それをまってたの!」と仄暗い笑みを浮かべる。


 私から怪しい黒いもやが発生して、敵に黒いもやがふりかかる。緑の男は立ったまま器用に寝た。あとの敵には効かなかった様でピンクの女は「目覚まし時計持ってるから無駄よ!」とご親切に教えてくれた。


 ーー睡眠系の魔法だったんだ。じゃあ、あの緑の男だけに何故に効いた?



 体力:◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 魔力:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇

 精神力:◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ↓


 と画面が表示した。魔力が4減り、精神力が1回復した。


 ふらふらして目を回すアーダルベルトは剣で自分の腕を傷つけた。頭の上に1と表示される。ふらふらしていた身体は元に戻った。どうやら混乱が解けたようだ。


 ピンクの女がタロットカードをポーチから出して、眠る緑の男にカードを投げる。カードが男の腕をスパッと小さく傷つけた。男の頭の上に1と表示されるが、目覚めない。ピンクの女はそれを忌々しそうに見た。


「だから、目覚まし時計を装備しろって言ったのに!?不真面目も大概にしてよね!?」


 アイテムは装備しないと意味ないんだぜ!というあるRPG序盤の説明を思い出した。


 ーーなるほど!緑の男グッジョブだね!


 私は緑の男にグッと親指を立てて口角を上げた。


 ピンクの女は「何余裕こいているの?貴女はもうおしまいよ!」と悪役のような暗い笑みを浮かべて私を見る。


 ーー多分。あの子が悪の親玉ね!世界を救えって仙人風のおじいちゃんが言ってたし、あの子を倒して世界救っちゃいますか!


 ようやくこのゲームを楽しむ余裕が出た私に、容赦なくみんなが攻撃してきた。


 青い男が「水の矢」と叫び普通の矢よりひとまわりほど大きな水で出来た矢が私に飛んできた。腕をかすめて痛みが僅かに生じる。私は顔をしかめた。腕を見るとちょっと深めな傷ができた、じんわりと出血する。


 体力:◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 魔力:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇

 精神力:◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ↓


 と画面が表示される。体力が1減った。


 ーーっっいったっあ!わっ体力があと2だ。えってか体力無くなったらどうなるの?


「あの〜。すいません。体力無くなるとどうなるんですか?」


 敵に手をあげて質問する私。ピンクの女が「今すぐに分かるわよ!」と高らかに笑う。


 突如茶色い残像を残して目の前に現れた茶色の少年。申し訳なさそうに眉尻を下げて私の腕を引っ張り投げた。私は背中から硬い床に落ちる。


 ドスン


 衝撃はコルセットのおかげで和らいだ。しかし、痛い。私は涙目になる。それを見て茶色の少年は「痛かったよね。ごめんね」と倒れた私を心配そうに見る。


 ーーごめんって言うなら、人を背負い投げするなーー!?


 私は茶色の少年を当然睨む。怯える茶色の少年にピンクの女は駆け寄る。ピンクの女は私に牽制する様に睨んできた。少年を背中に庇うピンクの女。


「私のファビアンにめんちきってんじゃないわよ!?この悪女が!?」


 茶色の少年はファビアンという名前の様だ。私はピンクの女にムカついた。


「はあ?誰が悪女だって?よってたかってか弱い乙女(乙女じゃないかもしれんが)を集団リンチしてんじゃないわよ!? あんたのが悪女でしょ!?」


 この時 確かに という周りの空気を感じた。残念ながらピンクの女とカラフルな男達には伝わらなかったようだ。アーダルベルトが「エミリーを悪く言うな!」と叫び、青い男が「ふん。負け犬の遠吠えだな」と眼鏡を人差し指で押し上げる。ファビアンはうるうると目を潤ませて「ありがとうエミリー」と感激する。ピンクの女の名前はエミリーの様だ。緑の男は立ったまま器用に寝ていた。


 体力:◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 魔力:◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◇◇◇◇

 精神力:◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 ↓


 また目の前に画面が出た。体力が1減った。


 ーーまた減った!ていうかこの↓何?


 人差し指でつっついて見ると、技と魔法、スキル、装備の詳しい効果と消費するゲージの説明が書いてあった。


 ーー今頃になって重要な情報でたー!?


 ●闇の羽衣(光属性以外の魔法や技を無力化)

 魔力5消費 効果時間、光の波動を喰らわない限り戦闘中ずっと


 と表示された画面を見て私は、


 ーーこの魔法は使える!


 と歓喜に震えた。


 また


 ▼選択して下さい。


 ●たたかう

 ●防御

 技 ●乱れ打ち●愛のムチ●緊縛

 魔法 ●闇の羽衣●闇のゆりかご

 装備●コルセット●ピンヒール

 ※この戦闘は逃げられません。


 と画面が表示される。


 私は●闇の羽衣を連打した。また自動モードになり私は両手を広げ「闇の羽衣!」と叫んだ。


 すると空から、ぶわ〜〜と闇色の羽衣が黒いもやを出しながら私の肩に落ちてきた。


 ーーこれで最強ね!


 ドヤ顔の私。


 まさか、悪女の様なピンクの女ことエミリーが光属性だったとは、この時全く気づかなかった。




●緊縛(敵一体を鞭で縛り付ける)

スキル発動者も動けない

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