表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/36

運命のいたずら

 


「また、へんなこと言わないでよ?」


「ここセフィロトには神様の次に偉い精霊がいるじゃない。精霊様に神様になってもらうのよ。それには神様を倒す必要があると思うのよ。エミリーが運命の女神になるにも倒す必要があったのよ」


「でも、それだとダークが消滅するって言ってなかった? 大体どうやって精霊に頼むのよ?」


 ーーあー痛いところをついてくるな!!


「精霊についてはあの4人に頼めばいいのよ。神器を宿しているから声が聞こえるのよ。精霊にダークの事はお願いしましょう」


「流石、ゲーマーね」


 ーー褒めてないなこれ。


「でもさ、他の人って世界滅びるって知らないよね? 4人にどうやって説明するの?」


 ーーあーしまった。エミリーと4人は好感度が0だから信じてもらえないかもな。ぬかった。神様倒すとか教会が許さんしな〜。


 教会の大司祭は国王並みの権力がある。神様を倒すって言えば、大司祭が権力を振りかざして私はまた処刑かもしれない。


「ねぇ。とりあえずさ、エミリーは誰が好きなの?」


 好きな人から好感度を上げて信じてもらうのだ。そうしよう。


「ダーク」


 ーーダークは世界滅ぶって知ってるでしょ!? 好感度上げる必要はない。てかこいつ別に好きじゃないとか言ってなかったっけ? 私はエミリーが誰が好きか気づいている。


「嘘よね? ファビアンでしょ?」


「っっ!?」


 エミリーの顔が真っ赤になる。図星だったようだ。私はほっとした。


 ーーうん? ほっとした?


「ファビアンと仲良くなりなさいよ。そしたら、世界がどうのこうの言っても信じてもらえるわ」


「無理よ! 好感度イベント全部終わっちゃった! あんたがいれば攻略できただろうけど、終わったものは取り戻せない。それに陛下が婚約を軽んじるべきではないって言ってたじゃない。ファビアンには婚約者がいるでしょう!」


「あらあら、私は結婚しろとは言ってないわよ?」


「っっ!?」


 エミリーは顔が真っ赤なままキッと私を睨んだ。からかいすぎた。少しだけ反省した。


「ごめんごめん。もちろん結婚するほど仲良くしてほしいって思っているわ。私に任してちょうだい」


「…………どうするのよ?」


「1人好条件な物件を私が今日ふったじゃない。それをファビアンの婚約者に押し付けるのよ」


 ーー私の仲間だと思っていた裏切り者の女。まさか私の言うことを断らないわよね。


 私は暗い笑みを浮かべた。エミリーは寒そうに震えた。


「悪役令嬢って頼もしいわ。てかあんたは4人のうち誰か好きな人いるの? ファビアンならごにょごにょ」


「安心して、4人とも嫌いよ!」


「ニクセも?」


「…………嫌いよ」


「今の間は何?」


 実は2番目にニクセが好きでした。ダークのルートをやらなかったらニクセが1番だった。


「私は国王様に信用してもらおうと思う。なんかすまなそうにしていたし、弱みに漬け込もうと思う」


「うわっ。サイテー」


 ーー褒め言葉として受け取ろう。


「あのさ日本人だった頃の名前聞いてもいい?」


 ーーあーそうねー。教えても良いかもねー。


「私の名前は 川崎 愛 よ」


「……嘘でしょ!? そんなまさか!?」


 エミリーは顔を青くして取り乱した。


「え? どうしたのよ? 顔色悪いわよ」


 ちょっと心配になった。


 ーー私の名前って変か?


「……私のママの名前も愛なのよ」


「愛って名前は珍しくないわよ」


 同級生によく愛って子いた。


「違うの。旧姓も川崎だったの!!」


 ーーお、おう。そこまでくるとすごいな。偶然なのか?


「でも私結婚してないし、子供もいないし、たまたまでしょ」


「あんた別の時空の神様になった私に会ったのでしょ? 別の時空のあんたが私のママでもおかしくないでしょう」


 ーーそんな!? そんなことってある!? まてよ。女神が言ってなかったか? エミリーが転生したのは時空の歪みの所為だって、私の所為だって。


 私は己の罪の深さを知った。このエミリーはもしも 川崎 愛 が死ななかったら生まれた存在だ。いや、もしも私が日本に逃げなかったら生まれた存在だ。


「……貴女の名前は?」


「七海 綾」


 ーー七海か。聞いたことないわね。ああ。でも綾と私って似ているわね。


『......世界が滅びようが知るもんか!? 私は私のしたい様に生きる!!』


 ーーあの時に誰かに似てるって思ったのよね。まさか私だったとは思わなかった。会えない筈の子供に会えてラッキーかしら。


 私はにこっと笑った。エミリーは泣きそうだった。


「私ね。ここに飛ばされて怖かった。1人で秘密を抱えて生きていくのが怖かった。でも、もう1人じゃないんだよね?」


「そうね。寂しかったよね。でも、これからは私が一緒よ」


 頭を撫でてあげるとエミリーは号泣した。


 ーーああ。そっか。私にとっての運命の女神が綾にとっての私か。


 憎らしいと思っていたのは同族嫌悪ってやつだったのか。


 ーー運命のいたずらってやつだな。


「綾。これからよろしくね」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ