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誰かに似てる?

 





 ピンヒールを脱いだ私は防御に適していた。オットーはサボりまくり、前々回で見せた舞を踊ることは無かった。本当、あの舞の回は一体こいつに何が起きたんだ。エミリーはずっとビクビクして、私を挑発する事もなく、タロットカードの技を使う事もなかった。一応戦うのだが、ただタロットカードを私に飛ばすだけでは防御をした私にダメージを与えることはなかった。ファビアンは怯えるエミリーが気になり、技が私に決まることはなかった。


 精神力が0から5に回復し、私は闇のムチを選択した。


「闇のムチ!」


 自動モードの私は高らかに叫んだ。何百本もの黒いムチが敵の足元から現れ敵の身体に巻きつき動きを封じる。闇のオーラが私を包み身体の傷を癒した。


 ーーこれで私の勝ちね! 世界は滅ぶが仕方がない。元々そういう運命なんだ。私はようやく死ねる。


 私はうっとりと微笑んだ。抵抗するが闇のムチを振りほどけない4人の攻略キャラクター達。エミリーが小刻みに震える。


「…………んか」


 か細いエミリーの声。


 ーー何を怯えてるんだか。ざまあないわね。


 ご機嫌な私はエミリーを嘲笑った。ピンクの瞳は涙を溜めていた。ファビアンはそんなエミリーが心配のようでじっと見つめていた。


「エミリー! 今の気持ちはどう? 私はあんたのせいで何回も死んだ! 私の所為であんたが転生したとしても、私はあんたを許さない!」


 闇の力により感情が高ぶった。エミリーは私の発言に呆然としたが、すぐにキッと睨んだ。涙が流れていては怖くも何ともない。


「意味わかんないことを言わないでよ!? 」


 ーーまあ。エミリーからしたらそうだわな。


 冷静になった私は無表情になった。


「まあ。いいわ。とりあえず死んで?」


 別の時空のエミリーこと運命の女神とは仲良くなれたが、このエミリーとは無理そうだ。願うのはエミリーの死のみだった。


 震えるエミリーは拳を握る。


「......世界が滅びようが知るもんか!? 私は私のしたい様に生きる!!」


 そう叫ぶエミリーに既視感を覚えた。果たして一体誰に似ていると思ったんだ。容姿が同じの運命の女神とも違う。結局考えてもわからないままだった。


 その発言から周りの生徒はざわつくが一瞬だった。


 エミリーの胸元が内側から光だした。ぶわっと広がる光に視界が一瞬奪われた。眩しすぎて目をつぶった。瞬きを繰り返して視界を取り戻した。エミリーがいた場所には一振りの剣が床に刺さっていた。柄は青色、金の装飾が美しかった。刀身は白く輝いている。闇のムチはエミリーの場所だけ消えており地面から生えてくる事もなかった。


 周りの生徒は剣を見て「本当に光の聖女様なんだ」と目を輝かせていた。


 ーーしまった!? スキル、聖剣の乙女を発動させてしまった!! しかし、誰も装備できない状態でよくその姿になったな!?


 私は闇のムチの唯一の弱点を発動されて戸惑う。精神力10も消費するそのスキルは技を1度も使わなかったエミリーには発動可能だった。


 ーーまあ。エミリー1人ぐらい何とかなるわ。


 他の4人が動けない様子を見て私は落ち着いた。


 ▼選択して下さい。


 ●たたかう

 ●防御

 技 ●乱れ打ち●緊縛

 魔法 ●闇の羽衣●闇のゆりかご

 装備●コルセット

 ※この戦闘は逃げられません。


 と表示された。


 精神0になると3割で気絶するので●たたかうを選択した。ムチが敵全体を攻撃したが、ダメージを食らったのはニクセとオットーだけでそれぞれ1だった。


 ーームチって全体に攻撃されるんだけど、攻撃力弱いんだよねー。


 はあと真っ赤な唇からため息が出た。


 闇のムチが巻きついた4人から体力を奪いターンエンドとなった。


 エミリーのターンになったようで床に刺さった聖剣の刀身の光がぶわっと辺りを照らし視界をまた奪う。光がおさまると1人のピンク色の髪に瞳の少女が立っていた。エミリーはもう泣いてはいなかった。健康的な肌に涙の跡は残っていなかった。


「シャーロット。貴女も転生者だったとは驚きね。でも、私の方が強い。ダークルートを切り開いたこの状況が何よりの証拠よ」


 私はエミリーの言う通りなのでムカついて顔を歪めた。


「あまり調子に乗らないで下さる?」


 攻略キャラクターの3人はエミリーまで意味不明な発言をする事に戸惑う。茶色の目がまん丸な少年、ファビアンはエミリーを案じた。


「エミリー大丈夫? 」


 エミリーはハッと公衆の面前で発言したことに気づき、「だ、大丈夫。ちょっと気が動転してただけ」と周りに聞こえるように大きな声で取り繕った。





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